2025年01月12日

メゾン マムの「テイスティング エンカウンター オデッセイ」にまつわる一考察

2024年4月、シャンパーニュ『メゾンマム』の最高醸造責任者に就任したヤン・ムニエ氏。同年11月に輸入元ペルノ・リカール・ジャパン株式会社(PRJ)の招聘で初来日し、ワイン関係者&プレスを前に「テイスティング エンカウンター オデッセイ」と銘打ったテイスティング手法を披露しました。

 メゾンマムのヤン・ムニエ最高醸造責任者、トレイシー・クワンPRJ代表取締役

イベントは二部構成で、第一部は新感覚のテイスティング、第二部は一夜限りのペアリングディナー@Stellar Works Restaurant & Barでした。内容に関しては、ワイン王国webで確認できます。


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Mumm Taste Encounters
メゾンマムのユニークなテイスティングに表記されていたワンワード“Odyssey
長い冒険の旅とか知的探求を意味する言葉で、語源はホメロスの長編叙事詩『オデッセイア』の主人公オデッセウスが体験する冒険物語に由来しています。

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さて、そのテイスティング エンカウンター オデッセイですが、これは視覚・嗅覚・味覚から受けた印象を言葉で表現するのではなく、片手にマム グラン コルドンのグラス、もう一方の手では、親指と人さし指で、オリジナルオブジェのメタル部分とレザーの異なる素材に触れながら、視覚と触覚で、シャンパーニュに内在する新たな印象を分析。


次なるステップは、透明の球形ガラスとテラコッタのオブジェを観察。ガラスは滑らかでクリーン、テラコッタは粗い質感で、重量も触ってみないとよくわかりません。これらもマム グラン コルドンを利き酒しながら、どちらの素材に近いかイメージしていきます。




触れて感じるメカニズム
五感には、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚があります。今回のテイスティングでは触覚がメインになりました。皮膚の中にある振動(素材に手を触れ擦ると僅かでも振動が発生)や温度など異なる情報を検出する複数種類のセンサが、さまざまな情報をうまく処理することで、物体の粗さや硬さ、質感をチェックしています。出典:NTT研究開発

気になっていた触覚と脳の関係については、生理学研究所が行った実験に興味ある記載がありました。『見て触れる経験が、見る仕組みを変える』と題したプレスリリースで「見て触れる経験をすることで、下側頭皮質後部の活動が素材の外観や手触りの印象をよりよく反映するように変化することがわかった」との記述があり、これにより、脳がさまざまな物を認識したり、質感を感じるメカニズムの全容を解明するための重要な足がかりを得たとのこと。物を見て認識する人工知能の発達にも、新しい見方を与える発見になったようです。今後のさらなる研究に注視していたいです。出典:生理学研究所/2016年3月18日プレスリリース

2012年10月、シンガポール航空の取材で現地のケータリングセンターを訪問しました。同航空のスイート、ファーストクラス、ビジネスクラスを利用する乗客のための豊富な料理メニュー(ブック・ザ・クック)の視察が目的でした。菊乃井の村田料理長が1999年から機内食開発にかかわっていたことから、機上での料理についてお話を伺うチャンスがありました。

料理長曰く「地上で食べてちょうど良いと思う味付けより、もう少し加味した塩梅が良い」。これを“しんみりめ”と表現していました。

機内は、湿度も少なく乾燥しているので、五感も鈍くなります。ゆえに、味覚や嗅覚は、地上にいる時より、濃いめを好むようになります。そのための一工夫が、料理長のおっしゃる“しんみりめ”の味付けでした!


壮大な“オデッセイ”
重要なキーワードOdyssey
アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キュブリック監督のSF映画の傑作『2001年宇宙の旅』の原題は『2001:A Space Odyssey』、やっぱり宇宙に繫がります!

 画像データ:メゾンマム

メゾンマムでは、2020年からテイスティング エンカウンターを行っていますが、それ以前から、宇宙で味わうシャンパーニュをテーマにした壮大なプロジェクトに取り組んできました。2022年9月に宇宙旅行と有人宇宙旅行のためにデザインされた初のシャンパーニュボトルとマム コルドン ルージュ ステラの最終デザインを公開しました。その成果はコチラで🌓

この研究は、宇宙応用物体の設計を司るスペードエージェンシーの創設者オクターヴ・ド・ゴール氏とワインの試飲と知覚の研究に15年以上の歳月を費やしてきた神経科学者でパスツール研究所の研究員ガブリエル・レプゼ氏との連携であり、画期的なテイスティング エンカウンターに関しても、ともに構想を練りあげてきました。

メゾン マムの テイスティング エンカウンター オデッセイの試みは、地球とは異なる空間でシャンパーニュを味わうと、味覚&嗅覚が正常に働かないので、五感のなかで最も発達が早い感覚 “触覚”を使うことが、脳への訓練になる、と感じました。


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一考察を書きながら・・・
映画『2001年宇宙の旅』の人工知能HALが、1968年公開された映画に登場していたことを思うと、キューブリック監督の凄さに改めて脱帽。映画冒頭のリヒャルト・シュトラスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の曲とともに、永久保存版の作品と断言できます。

昨年他界なさった松岡正剛氏が千夜千冊にデヴィッド・ストークの『HAL伝説』について書いていました。これは一読の価値あり、です!


 ドレスコードはマム色のSomething Red
 ヤンさんとクワンさんを囲んで記念ショット

 メゾン マムの新たな冒険の旅に期待しています🌓🌓🌓

2025年01月02日

あけましておめでとうございます!

           東京は穏やかな元旦日和
                               2025年の幕開け、おめでとうございます🌓

      今年はアンリオのミレジメ2014からスタート
                 力強さと繊細さを併せ持つヴィンテージ
      ブレンド比率はシャルドネとピノ・ノワール各50%ずつ


        年末に縁起物の張り子をいただきました。
                       背中にはパワーがみなぎりそうな気配りがしてあり[わーい(嬉しい顔)]  


     2025年に叶えたいことを思い浮かべながら“夢”の字を書き込みました。
     実現目指して頑張るにゃん!


     皆々さまにとりましても、
     2025年 / 巳年が、幸多き一年になりますように🍀🍀🍀
posted by fumiko at 02:03| Comment(0) | ごあいさつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月31日

12月はシャンパーニュの生産者協同組合にフォーカス、進化し続けるCMに注目


 輸入元国分グループ本社(株)の招聘で来日したジャカールのセバスチャン社長
 イベントの様子はワイン王国webでご紹介させていただきました。
 2011年にフロリエンヌ・エズナック女史が最高醸造責任者に就任してから、
 女性目線が生かされ、以前より洗練された印象になりました。

 エズナックさんが2019年にリタイアした後、ジョエル・ヴェイス女史がバトンを継承。
 ジャーナリストとして活動なさっていたヴェイス女史ならではの視点に注目できます。

 60周年記念のデザートにドゥミ・セックを合わせて

 可愛いプレートがついたフィンガーフード


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 生産者協同組合の3メゾンを比較試飲
 ジャカール、ドゥヴォー&カステルノー

 4番目のカステルノー以外、少しコルクが短目
 シャンパーニュの場合、5~6気圧あるので、開栓時、短いコルクは気になりました。

第一フライトはジャカール2アイテム
#1:ジャカール モザイク・シグネチャー 瓶内熟成5年
生産者:ジャカール(CM) 
ぶどう品種:CH40%、PN35%、ムニエ25% / リザーヴワイン25~35%
ベースヴィンテージ:2019年
ドザージュ:7g/L
参考上代:10,450円
輸入元:国分グループ本社

ジャカールの変化を感じさせる1本、温度が上がってもブレ感なし。3品種ブレンドによるバランスの良さ、5年間の熟成を経たシャンパーニュは複雑味と旨味があり、余韻の広がりも魅力。ジャカール60周年イベントでマイベストだったのがコレ。今回改めて試飲してお薦めしたいアイテムと確信しました!

#2:ジャカール ブラン・ド・ブラン2015
生産者:ジャカール(CM) 
ぶどう品種:CH100% 
ドザージュ:7g/L
参考上代:18,700円
輸入元:国分グループ本社

ジャカールはシャルドネ要のメゾン、柑橘果実のGFやマンダリンオレンジ、和柑橘のアロマ、中盤以降広がる酸味、土壌に由来するミネラル、ハチミツのニュアンス、スマートで凜としたスタイル

        3品種vs単一品種なので目視でもわかりやすいはず

第二フライト
#3:ドゥヴォー D ミレジメ2009 数量限定
生産者:ジャカール(CM) 
ぶどう品種:PN48%(コート・デ・バール地区)、CH52%(コート・デ・ブラン地区)
ドザージュ:約6g/L
参考上代:16,511円
輸入元:国分グループ本社
ドゥヴォーを講座で取り上げたのは2021年のことでした。今回はミレジメの新ヴィンテージ2009を供出しました。
白系果実、柑橘果実、ミネラル、口中では綺麗な酸味が持続、終盤まで優しい口当たり

#4:カステルノー ミレジメ2006
生産者:カステルノー(CM) 
2022年11月にずっと気になっていたメゾンということでカステルノーにフォーカス。2006年ヴィンテージがとても印象的でした。2024年にデキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)で、栄えあるBest in Showに選ばれましたが、これには心から納得できます。大手メゾンを凌ぐ実力派CMだと思っています。
ラベルが白から黒にチェンジしたのは、輸入元の田上代表曰く「リブランディングによるもの」とのこと、2月に変わりました。


        ぶどう品種:CH50% PM30%、ムニエ20%
        ドザージュ:7g/L
        参考上代:14,850円
        輸入元:ワインエクスペリアンス

果実は黄桃&カリン、アロマはブリオッシュやスパイス(ジンジャー)、旨味と出汁感、長い余韻。太陽の年2006年らしさが表現された逸品、マグナムでも試したいアイテム


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 築地神楽寿司の赤酢、金目鯛炙りや雲丹と絶妙


  第三フライトは癒やしの甘口タイプ
  #5:ジャカール モザイク・ドゥミ・セック
  生産者:ジャカール(CM) 
  ぶどう品種:CH40%、PN35%、ムニエ25% / リザーヴワイン25~35%
  ドザージュ:35~37g/L
  参考上代:9,350円
  輸入元:国分グループ本社

  メゾンの顔モザイク・ブリュットのブレンドの配分やリザーブワインの比率と同じで、
  違いはドザージュ量。優しい口当たり、甘さも程良く、講座生も馴染んでいました。
  

 最後はサンタの気分で楽しみました!


 [NEW]最新情報
 国内のワイン消費数量は40年間で約6倍
 出典:メルシャン/キリンホールディングス

 スパークリングワイン国別輸入推移推移
 出典:メルシャン/キリンホールディングス

  ひとり当たりの消費数量
  出典:メルシャン/キリンホールディングス出典:メルシャン/キリンホールディングス

  1位は例年ポルトガル、日本は3㍑を割ってしまい、前比94%
  詳細なデータはメルシャンサイトで確認できます!


 ロイヤルワラント(英国王室御用達)
 2024年5月のローラン ペリエに続き、同年12月、
 英国王室チャールズ国王がロイヤルワラントを、5つのシャンパーニュメゾンに授与
 おめでとうございました🌓

 5月:ローランペリエ
 12月:ボランジェ、ルイ・ロデレール、モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、ポル・ロジェ


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 2024年も今日で終わりです。
 秋には多くの生産者の来日があり、リポートの積み残しがm(_ _)m
 2025年に順次アップしてまいりますので、懲りずに宜しくお願いいたします。

 新しい年が健康と笑顔に満ちた年でありますように🍀🍀🍀

2024年12月24日

ジェラール・ベルトランのアイコンワイン ~クロ デュ タンプル、ヴィラ ソレイヤ、クロ ドラ~




 世界最大規模のデメター認証取得者
 トップキュヴェ3アイテムとジェラール・ベルトランの三銃士
 左から
 ロゼ『クロ デュ タンプル2021』営業部長のクレマン・キャリエール・プラダル氏
 オレンジワイン『ヴィラ ソレイヤ2021』ブランドマネージャーのコランタン・アンリオ氏
 赤ワイン『クロ ドラ2019』アジア・パシフィック営業担当ヤン・ヴィッセール氏

 南仏の自社畑1,263㌶に17のエステートを所有し、22年前からビオディナミを導入。
 ジェラール・ベルトランの全ての畑はデメター認証取得済。
 世界最大のビオディナミの生産者です!
 祖父母が5~6㌶の畑からぶどう造りを開始し、父親の代からワイン造りに着手。
 1987年父親の急逝により、仕事をサポートしていたベルトラン氏が事業を継承。
 2名だった従業員も、今では400名まで急伸、勢いある生産者として注目されています。

 来日した三銃士は、ベルトラン当主のワイン造りのこだわりについて語りました。


          WINE KING of the south of France

         ジェラール・ベルトランのXより

         2023年WS誌からWINE KING of the south of France受賞
         ベルトランでは全生産量の40~50%がロゼなので、
         2024年にはdbからMASTER WINEMAKER Winner Best Rose
         ロゼの造り手としても高評価されています!


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  ジェラール・ベルトランのXより

  かつてフランス代表のラグビー選手だった当主
      パリオリンピック2024では聖火ランナーとしての勇姿

               🍀🍀🍀

 ブランド構成
 ヴィッセール氏による解説
 エントリーレベルからアイコンワインまで層の厚さを誇るベルトラン
 ロゼワインは米国や欧州、フランス国内での売上快調。
 オレンジワインは日本で人気!
 2024年はクラウディワイン(日本酒の濁り酒に似たタイプ)や軽い赤ワインを新発売
 オーガニックワインやテロワールを生かしたワイン、スパークリングワイン
 シングルヴィンヤードや希少ワインのカテゴリーに続き、
 すべての頂点にいるのが、三銃士が紹介するアイコンワインです。


     クロ デュ タンプル2021
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    ロゼワインのクロ デュ タンプル2021 ビオデイナミ農法/デメター認証
    産地はラングドック・ルーション
    アペラシオンはラングドックのガブリエール / 12㌶で11区画に区分
    品種はグルナッシュ52%、サンソー41%、シラー4%、ヴィオニエ3%
       グルナッシュ&サンソーとも60~120年の古樹
    参考上代 34,000円
    片岩の上部にライムストーンが広がるエネルギーあふれる土壌
    ルイ14世の時代は “one night wine/一夜だけ浸漬させる造り”が重用された。
    今は敷地内にあるセラーでワインを醸造、生産量は15,000~20,000本
    ボトルに施されたブルーとゴールドはフランス王朝カラー

    

 ヴィラ ソレイヤ2021
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 ビオディナミ農法 / デメター認証
 地域はラングドック・ルーションで区画はシャトー・ロスピタレ
 品種はルーサンヌ、ヴィオニエ、ヴェルメンティーノ
 ぶどうは全房のまま、マセラシオンカルボニックを実施
 温度は21~25度の間で調整。その後、ぶどうを圧搾し、木樽で発酵
 木樽、アンフォラ、80㍑のワイングローブで6~9ヶ月熟成
 参考上代 30,000円
 

            ワイングローブ=ガラス製のアンフォラ
            画像提供:ジェラール・ベルトラン

        「色の抽出が綺麗、澱は常に対流している」とプラダル氏。
         ワインツーリズムでも視覚的に効果ありとのお話でした。
         ちなみに、ワイングローブは世界のトップ生産者たちが、
         トライアルしている注目の容器と言えます!

 
           

 クロ ドラ2019
 クロドラ2019はビオディナミ農法 / デメター認証
 産地はラングドック・ルーション、アペラシオンはラ・リヴィニエール
 品種はシラー、カリニャン、グルナッシュ、ムールヴェルードル
 参考上代 35,000円


 テイスティングした6アイテム
 左から

 クロ デュタンプル2018、同2021、ヴィラ ソレイヤ2020、同2021
 クロ ドラ2015、同2019
 後日ワイン王国webでご紹介させていただきます!


             🍀🍀🍀


 葡萄酒技術研究会後期講演会にて


12月12日、山梨県の葡萄酒技術研究会後期講演会の折に、ヴィラ ソレイヤ2021をテイスティングしていただきました。エノログの皆さまから頂戴したコメントはブログに掲載しています。ジェラール・ベルトランが新容器ワイングローブで完成させたオレンジワイン。皆さまに、その魅力がお伝えできましたら幸いです。


                🍀🍀🍀


2024年の収穫状況
直近20年で最低の収量(2007年と同程度)とのこと。欧州各地で、霜や雹、長雨や洪水、干ばつ等の被害が出て、フランス全体では27%減になりました。南仏の場合、ピレネー付近は干ばつで、年間の降水量はわずか150mm足らず。片や、モンペリエ付近では多くの雨が降り、病害虫(ベト病やうどん粉病)が発生しました。ワイナリーでは、2年前からローヌ渓谷から水を引いてくるプロジェクトを開始しています。年間10%程度しか灌漑を利用していないベルトランですが、クリーンな水を確保しておく手段は講じておきたいとのお話でした。プラダル営業部長は「ビオディナミを導入して以降、ぶどう樹は熱波の時は水分を失わないように自衛本能で身を守り、たくましくなっている」と力説しました。

ジェラール・ベルトランの、立ち止まることなく、前進する姿勢は、
ラグビー選手だったベルトラン当主の精神そのものあり、
それは見事にワイン造りに反映しています。

【製品についての問い合わせ先】
株式会社 ファインズ 電話 03-6732-8600
posted by fumiko at 17:24| Comment(0) | 来日したワイン生産者&関係者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月15日

葡萄酒技術研究会でオレンジワイン『ヴィラソレイヤ』とウルグアイのワインをご紹介

           山梨県の『葡萄酒技術研究会』で講演会

          12日は大事なお役目があり、甲府へ!
          葡萄酒技術研究会後期講演会
          試飲もあり、15分超過(sorry)でしたが、
          無事終了し安堵のワンショット

 左から戸塚昭理事、村上安生理事、青木、松本信彦会長、柳田藤寿副会長、千代美亜子さん
 (Bodega Garzon日本窓口)
 講演会後の懇親会ではウルグアイのボデガ・ガルソンのワインを試飲していただきました。
 日本のワイナリーで活躍なさっているエノログの皆さまに、
 ウルグアイワインの魅力をお伝えすることができました[わーい(嬉しい顔)]

 エノログ認証式、おめでとうございます。
 今日現在で146名になりました!

 藤野エノログ部会長の帰朝報告

 2番目の演目は竹下大学氏の「果実に不可価値を」
 竹下さんは「若年層が果物を食べなくなっている」と語っていましたが、
 果物が大好きな私は「世の中、そのようなことになっているのか」とびっくり

 私のテーマは世界のワイン潮流の最前線
 第一章は気候変動に絡む環境再生型農業やサステイナブル、
 世界の特出すべきワイナリーの今、トップ生産者がトライアル中の新容器等を披露
 第二章では気候変動で一歩リードしているウルグアイとワインも併せてご紹介


 環境再生型農業の第一人者マサイアソン・ワインズのスティーブ&ジルご夫妻
 3月にJETROの招聘で来日なさいました。
 輸入元WTS主催のプレスランチで実践例を解説してくださったので、
 講演会では、それらの中から大事な項目をお伝えしました。

 ジェラール・ベルトランのオレンジワイン
 “ガストロノミックな”と形容したいヴィラソレイヤ2021
 講演中にどうしても試飲したかったワインです!

 22年前からビオディナミを導入、17エステート所有
 計1263㌶が認証を受けているので、世界栽培のビオディナミ生産者。
 ベルトランでは全生産量の40~50%がロゼワインで、
 2024年にロゼのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選出されています。

 オレンジワインは3種類の容器(樽、アンフォラ、ワイングローブ)で熟成
 ガラス製アンフォラ=ワイングローブを使うことで綺麗な色調を表現できるとのこと
 ワイン業界で最も新しい容器ワイングローブはトップ生産者からの注目度大
 トライアル中のワイナリーも散見できます。

 ベルトランのヴィラソレイヤ2021はワイングローブを使って仕上げたワインです。
 ゆえに、参加者の皆さまには、百聞は“一飲”に如かず体験をしていただきました。

    上品さを備えたアロマ&味わい

               
              参加者からの感想

■柔らかなタッチでオレンジワインのお手本のようなワインでした。我々のオレンジはちょっと滑らかさにかけますね。品種の違いもあるのでしょうが、やっていることが全く違っていてすごいの一言
■色調を含め、抽出のコントロールが巧みでフェノールも適度。フローラルな香りが特徴の綺麗なワインでした。オレンジをつくろうとすると、抽出が強くなりがちなので、非常に参考になりました。
■第一に非常に綺麗に醸造されている印象を受けました。雑味がなく非常にスムースでマセラシオン後に行うワイングローブでのプレス発酵が絹のようなまろやかさに寄与しているのではないかと思いました。赤い果実にあふれ、飲みごたえのある、本当に綺麗なオレンジワインでした。
■健全で快い複雑な香り、とろりとした味わい、適度な渋味のワインで好感が持てました
■今まで味わったことがないような洋梨、黄桃や白桃などの熟した果実のアロマが華やかで、凝縮した味わいと心地良い酸味のバランスが良く調和し、雑味もなく、とても美味しいワインで驚きました。
■オレンジワインは綺麗さと複雑さを兼ね備えたhigh qualityなワインだと感じました。ぶどう自体の凝縮感が様々な香味成分を抱え込み、特長的でありながらバランスが良い印象。

              
 日本市場におけるオレンジワイン

来日したジェラール・ベルトランの営業部長が「日本は世界屈指のオレンジワイン市場。どのワインショップに行っても10種類程度の品揃えがあります。フランスでは2アイテム程度であり、それも自国産のみ」とおっしゃっていたので「生の声を聞かねば」と思い、渋谷東急百貨店藤巻暁ソムリエに伺ってみました。

藤巻さん曰く「2005年くらいから扱っていますが、当時はオレンジワインという呼称はなく、アンバーでした。現在の取り扱い数は超40アイテム、生産国はフランスとイタリアが双璧で、ジョージア、中国、スイス、オーストリア、チェコ、ルーマニア、スロベニア、日本等。客層はフルーツのオレンジから造るワイン(注:オレンジワインは白ぶどうを使い、赤ワイン製法で造るワイン)だと誤解しているような人たちからワインを数多く体験しているマニアまで様々。オレンジワインにはねっとり感とタンニンの要素があるので、食事と合わせるときはもっぱら肉系。ごま油に塩を混ぜた「ごま塩」でカルビを食してみてください。色彩(ごま油とワインの色の一致)で合わせる組み合わせで、口中では絶妙なバランス。皆さんに是非ともお試しいただきたいマリアージュ」と。


                 🍀🍀🍀

 ウルグアイの豆知識 / データは拡大可
 正式名称はウルグアイ東方共和国
 司馬遼太郎の『坂の上の雲』の名フレーズを使って表現するなら

 ~(ウルグアイという)きわめて小さな国が今、
 (再生可能エネルギー大国として)円熟期を迎えようとしている~🌓 

 再生可能エネルギーはムヒカ大統領の功績
 出典:NHK国際ニュースナビ

 2010年から2015年に大統領だったムヒカさんの素晴らしい偉業
 2022年に来日したルイス・ラカジェ・ボー大統領
 日本とウルグアイは2021年に外交関係樹立100周年を迎えた間柄です。
 天皇陛下との謁見時、
 ボー大統領は「再生可能エネルギー」についての話題を投げかけられたようです。
 ウルグアイでは、水力44%、風力32%、バイオマスによる熱利用18%、
 太陽光と化石燃料各3%の比率になっています。

 そして・・・今
 ウルグアイの次なる目標は“グリーン水素
 これは再生可能得エネルギ-を利用して水を電気分解して生成する水素 
 CO2を出さない環境に優しい水素です、一歩先を行ってますね!


 参考データ:日本の電源構成の再生可能エネルギーは22.9%
 出典:日本経済新聞


 講演会と懇親会の間にボデガ・ガルソンのワイン体験
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 オーナーはアルゼンチン出身の経済人アレハンドロ・ブルゲローニさん
 エネルギ-関係の仕事に従事し、フォーブスのランキングでは624位資産49億ドル
 イタリアやカリフォルニア、アルゼンチン等にワイナリーを所有しています。


 ウルグアイの首都はモンテビデオ
 アルゼンチン・メンドーサ、チリ・サンチャゴ、ウルグア・モンテビデオ34度83分、
 南アのケープタウン、豪州のアデレード、NZのオークランド
 世界のワイン産地の緯度は30度ライン


     タナ3アイテム
     左からタナ シングルヴィンヤード、タナレセルバ、タナ・デ・コルテ
     すべて2022年ヴィンテージ

        希少なアイコンワイン
        プティ・クロ タナ2019 ブロック#212
        プティ・クロ アルバリーニョ2023 ブロック#27

         

               参加者からの感想

■全体的に非常に綺麗で、まとまりがあり、ワインごとの特徴をしっかり出しながら、商品構成ができている印象。レセルバ、シングルヴィンヤード ともにアルバリーニョの品種特性がよく出ていて、特に後者は、冷涼なワインの特徴も感じられ、日本でも北のエリアで造るとこのような印象になるのかなと思いました。前者はバランスが素晴らしかったのですが、弊社のワインと共通した香りがあり、アルバリーニョの可能性と自信に繋がりました。
■タナは、マルスラン、CF、PVのブレンドによる厚みの付与もおもしろく、タナ単一であれほどの香りが出ることが素晴らしく、驚きました。弊社でもタナ単一で造っていますが、これほどリッチな果実香はなかなか出ません。その割にタンニン量は過剰でなく、タナという品種だけ聞くと、渋いだけというイメージになりそうですが、綺麗なワインになっていてとても良かったです。いずれのウルグアイワインについても高いレベルで驚きました。
■アルバニーニョは白い花、はちみつ、ライチのような香りとミドルからアフターに果実味を強く感じました。
■タナは、プラムやカシスの香りと非常に力強いタンニン、粘性を感じました。タンニンは、ザラザラ感や乾いた感じではなく、アルコールと調和している印象を受けました。
■アルバリーニョのアロマは少し控え目でしたが、口中での広がりはフルーティで綺麗なワインでした。タナは黒系果実の要素が強く、口中でタンニンは感じますが、エレガントで凝縮感のあるまるいタンニンの味わいが特徴的でした。個人的にはタナ100%ではなくブレンドタイプに好感を持ちました。
■ウルグアイワインは赤・白ともに凝縮感があり、果実品質の高さを感じると共に他国には無いフレーバーやテクスチャーが印象的でした。

                  🍀🍀🍀


      90名余りが集った懇親会
      乾杯シーンのブレ感、結構好きかも。

      同協会の藤野勝久理事がブルゴーニュから持ち帰った
      ニュイ・サン・ジョルジュ2022(ドメーヌR.デュボア&フィス)

 国際エノログ連盟総会@ディジョンに出席した藤野さん
 NSGは懇親会で試飲できました、クラシックスタイルの藤野理事好み。
 赤系果実と綺麗な酸味、包み込んでくれるような味わいが好印象

      懇親会で試飲した安心院葡萄酒工房のシャルドネ2023
      安心院の舛田チーフが持参したアイテム
      樽の要素がまだワインに溶け込んでいない印象でしたが、
      瓶熟の期間を経ることで際立つワインになると感じました。
      日本ワインコンクール2024でグランドゴールド賞
      おめでとうござます!


                  🍀🍀🍀

            
   葡萄酒技術研究会の皆さまに心から感謝しております。
   身に余る光栄な時間になりました。
   ジェラール・ベルトランの『ヴィラソレイヤ2021』をご協賛くださったファインズ
   ボデガ・ガルソンのアルバリーニョ&タナをご協賛くさった日本窓口の千代美亜子様
   希少なアイテムのご提供、本当にありがとうございました。

   新たな感想が届けば、随時、加筆して参ります。

   ご参加くださった皆さまに、1つでも、2つでも、お役に立つことがあれば本望です。
   この場をお借りして、改めて、御礼申し上げます。
   ありがとうございました!
posted by fumiko at 22:32| Comment(0) | ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする