2017年12月14日

第一回 ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエ コンクール2017決勝、初代オフィシャルアンバサダーは井黒卓ソムリエ

決勝戦はフランス大使館大使公邸で


全国から64名のソムリエがエントリーして、11月17日に第一回『ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン(以後BBS) ソムリエコンクール』の予選が開催されました。厳正な審査の結果、5名のソムリエが選ばれ、12月7日、フランス大使館大使公邸で決勝戦が行われました。
ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者組合主催の同コンクールは、ベルギー、中国で実施されているので、日本は3番目の開催国になります。


(左から)谷川、中西、井黒、野坂、千々和各選手

決勝進出者は出場順(敬称略)
谷川 雄作(株式会社ティエリー・マルクス・ジャパン)
千々和 芳朗(筥崎宮迎賓館)
井黒 卓(ロオジエ)
野坂 昭彦(ホテルニューオータニ)
中西 祐介(Clos Y)
でした。

勝利は井黒卓ソムリエの掌中に


ファイナリストは5つの課題に臨みました。
結果、ボルドーカラーのネクタイで自身に喝を入れた井黒卓ソムリエ(ロオジエ・東京)が優勝。BBSワインの初代オフィシャルアンバサダーに任命され、主催者からディプロマ&トロフィ-、ボルドー研修旅行、また協賛のワイン王国からは年間無料購読の権利も。
「ボルドーは格付けシャトーに注目されがちですが、BBSはカジュアルでロゼやクレレ等、幅の広さがあるので、日本市場で可能性があることを実感しました。今後はアンバサダーとして頑張ります」との優勝コメント。

井黒ソムリエの優勝の晴れ姿を観るのはポルトガルコンクール以来ですが、リズム感があり、体で時間配分を会得してきた感がありました。今年5月、オーストリアのウィ-ンで開催されたヨーロッパ最優秀ソムリエコンクール

には森覚(一社)日本ソムリエ協会常務理事引率のもと、井黒&岩田両氏も観戦し、多くの刺激を受けていたようです。今コンコールの合間時、「今は、来秋のアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールに照準を合わせているので」と語っていた井黒ソムリエのすべてにおけるスキルアップに期待しています。
おめでとうございました!!


唯一フランス語で対応していた準優勝の中西ソムリエ


第3位の野坂ソムリエは丁寧な所作

ルセック公使、アルビ特別審査員を囲んで

(左から) 森覚審査員長、ルセック公使、第3位 野坂ソムリエ、優勝 井黒ソムリエ、準優勝 中西ソムリエ、アルビ特別審査員&石田博審査員

渡仏中のローラン・ピック駐日フランス大使の名代として登壇したジャン=バティスト・ルセック公使は、関係者への謝辞の後、「日本で飲まれている40%はボルドーワインです。ボルドー&ボルドー・シュペリュールはバラエティに富み、コストパフォーマンスに優れていますが、その良さが十分に伝わっていないように思います」とあいさつ。特別審査員のカトリーヌ・アルビ女史は「ボルドーのアペラシオンを日本に広めるアンバサダーチームを作ることが目的」と語りました。
おふたりのメッセージから、初代アンバサダーの井黒卓ソムリエを筆頭にした、今後のチームの育成、活躍に期待していることがしっかり伝わってきました。


コンクールを観戦して
【課題1】
ボルドーワインのアンバサダーとしてセミナーのプレゼンテーションを行う
言語:英語orフランス語
時間:4分
各自がPCを操作しながら果敢にチャレンジ、各選手の個性を感じました。


千々和ソムリエの提案には、地元福岡とボルドーの関係を強調した部分がありました。
ボルドーと姉妹都市の福岡は今年で締結30周年。また、今年優勝した福岡ソフトバンクホークスは、クレマン・ド・ボルドーシャワーでお祝い。ボルドー側にも親近感を与え、地元の活性化にもつながる要項


井黒ソムリエはターゲットを大学生に定め、視覚的にもわかりやすい構成で4分間を活用


野坂ソムリエは6項目(歴史、革新、多様性等)を提示し、数字を使って最新の状況を解説

【課題2】
ワインのテイスティングコメント
言語:英語orフランス語
時間:3分


進行役の石田博審査員から、「分析的な内容を入れて」との指示
ワインはChaeau Freyneau Cuvee Prestage2005

、木樽で10年間熟成させたワインで、酸化的ニュアンスがないところが着目点の1つ
ヴィンテージに言及していたのは谷川ソムリエ(2010年)、井黒ソムリエ(2014)、中西ソムリエ(2012)

【課題3】
L'Huitre Merguez(リュイットル・メルゲーズ/生牡蠣、羊肉の焼ソーセージ添)とAgneau de Lait(アニョー・ド・レ/乳飲み仔羊) に合わせて、以下の4種類のワインからお勧めのものを選択。理由も簡潔に述べる。
言語:日本語
時間:3分


(右から)
1)Chateau Reignac Blanc 2016/SB60%、セミヨン+ソーヴィニヨン・グリ40%
2)Chateau Briot 2015/SB100%
3)Echappee Bel du chateau de Bel/SB60%、ミュスカデル40%
4)Chateau La Verriere 2014/SB100%

井黒ソムリエは牡蠣のフレッシュさとクリーミーさに合わせる1本として1)、メインの仔羊は脂質があるので、ボリューム感がある3)を選択
野坂ソムリエは1)~4)のワインの特徴を簡潔にコメントしてから、牡蠣には4)、仔羊には3)を勧めました。
中西ソムリエは「アルカション周辺で牡蠣が養殖されていますが、その生牡蠣に焼ソーセージを添えた一皿なので、牡蠣には良く冷やしたSB(2や4)、 そこに香ばしいソーセージが加わるなら3)を12度くらいで。上質で肉質の柔らい仔羊には3)を16度くらいで。付け合せや調味料でローズマリーを使うなら4)」と答え、石田審査員が模範解答として示した「牡蠣と合せるならSB主体(2と4)、ソーセージと合せるならブレンドした力強いタイプ3)、仔羊もブレンドタイプ(1と3)」に極めて近い提案でした!

【課題4】
ワインをフラッシュでコメントし、vegan(ヴィーガン/完全菜食主義)顧客に料理を勧める
言語:日本語
時間:3分


佐藤陽一審査員&岩田渉審査員が担当


黒いグラスのなかのワインの本質だけをコメント!
ワインは課題1と同じ造り手のl'Esprit de Freyneau Rose2013

、CF100%、ステンレスタンクで発酵、バリックで熟成

5名とも「ロゼ」と回答。
谷川ソムリエはサラダ(紅白のビーツや隠元)、(野菜だけの)筑前煮、ココア&ゴボウを使ったブラウンケーキを提案。
当初白ワインと答えていた井黒ソムリエも再度のテイスティングでロゼに変更、その理由はラズベリー様な香りとビターなテクスチュア。カブのムースに柑橘のジュレ添、ソテーした野菜、焼き目をつけた根菜、きのこ料理を提案し、ワインについては澱との接触が長く、使用樽で熟成させたロゼ、ヴィンテージは2015年と回答。
野坂ソムリエはサラダ+木苺のソース、ビーツや赤カブ、根菜の温野菜、中西ソムリエはサラダ(ジャガイモ、ゆで卵)、サーモンと真鯛のタルタルを提案していました。
ちなみに、ヴィーガンは卵や乳製品、肉、魚等の動物性食品も摂取しない人たちのようです。

【課題5】
顧客へのワインサービス、マグナムボトル
言語:英語orフランス語
時間:5分



仮想客のテーブルは10名、ホストはアルビ女史、対面の席にゲスト審査員のジェニファー・ジュリアン氏、その右隣にドラ・トーザン氏が着席
ワインはマグナムサイズのChateau de Reignac2014







井黒ソムリエ、中西ソムリエともに底広のデキャンターを使用、リンスを実施
ホストから、「ボルドークレレが日本で容易にプロモートできるかどうか」の質問
毎回聞き方が違っていましたが、多分、上記のようなことを聞いていたのだと思います。

コンクール後のレセプション・パーティーでは

ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインを堪能






11種類のフレーバーが楽しめる一口サイズのベルキューブ


ブルザンのチーズ、ガーリック&ハーブが人気


Sadaharu AOKIのショコラ、美味!


井黒ソムリエにはワイン王国から年間無料購読のプレゼント!




大使公邸の庭園、色とりどりの紅葉


公邸内には可愛いクリスマスの飾りつけ

初回開催の同コンクールを観戦しながら、ベルギー、中国ではどのような形態でコンクールを行っているのか、垣間見たい気分になりました。来年の第2回BBSソムリエコンコールの成功を願いつつ、今後のアンバサダーチームの活躍を楽しみにしています。

主催:ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者組合
共催:在日フランス大使館貿易投資庁-ビジネスフランス
後援: 一般社団法人 日本ソムリエ協会
協賛:ANA フーズ株式会社、ベルジャポン株式会社、株式会社ビゴ東京、ダノンジャパン株式会社、トップ・トレーディング株式会社、UCC 上島珈琲株式会社、株式会社ワイン王国

フランス大使館 貿易投資庁-ビジネスフランス
http://www.youbuyfrance.com/jp/Category-1-
posted by fumiko at 23:58| Comment(2) | ソムリエコンクール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月25日

【後編】ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクールの覇者はラトビアのライモンズ・トムソン選手

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【前編】

に続けて、The Best Sommelier of Europe Vienna 2017 における精鋭たちの熱戦の様子をお伝えします。

バルコニー席から撮影
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私は2階のバルコニー席だったので、会場全体を鳥瞰できましたが、舞台までの距離がかなりあったので、いつもより画像が粗めですみません<(_ _)>

口開けは日本酒の課題!


田崎真也ASI会長と2009アジア・オセアニア最優秀ソムリエの森覚さんのペア。アペリティフとして意欲をそそるような『SAKE』を薦める課題(2分30秒)。ワインクーラーの中には3アイテム(日本酒、焼酎、日本酒のスパークリング)

ルーマニア、ラトビア、ポーランドの3選手は純米酒萩の白露(浦霞・宮城県)

をセレクト。前者2名は利き酒をしてからサーヴしていましたが、ポーランドとフランスは確認を怠ったこと、加えてフランスのビロー選手は焼酎を選択しまったのでマイナス評価になったと思います。

ピエトラス選手(ルーマニア)は冒頭 『明石鯛(兵庫県)』という固有名詞を出していましたし、トムソン選手(ラトビア)も仮想客のシーンで『白瀑(しらたき/秋田県)』を提案していたので、日本酒問題は必須だと思っていた印象。スカヴォ選手(ルーマニア)はラベルの日本語判読に苦労していた様子で、田崎会長ではなく、森さんにホストテイスティグをしていた点からも動揺が見えました。

ひとつめのテーブル(仮想客)に異なる国のビバレッジを提案
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パオロ・バッソさん(スイス)を含む4名が、ウィーンのホテルのファインダイニングで、田崎ASI会長就任6周年記念のスぺシャル・ディナーを行う設定。メニューの各コースに合わせて異なる国のビバレッジあるいはワインを提案、チーズに関しては仮想客から選手の提案とは別にもう一種ワインを、とのリクエストが(5分、メニューを見る時間20秒)

Menu
- Trilogy of ceviche sea bream, salmon, scallops
- Gambas parrillada
- Lamb tagine with prunes and glace quince, grilled sesame, Sweet potato puree
- 36 months Parmigiano Reggiano, Gorgonzola, Chestnuts and dry figs
- Apfelstrudel Cinnamon ice-cream

一番手のポーランドの選手はアペリティフにオーストリア(ランゲンロイス)のブルグンダー主体(ピノ系品種)の泡ものエクストラ・ブリュットを薦め、前菜にスペイン(リアス・バイシャス)のアルバリーニョ、豪州(南オーストラリア)グロセットのリースリング、スペイン(リオハ)のグラン・レゼルバ、そしてチーズにはフランス(ボルドー)のChベイシュヴェル2010、違うワインとして米国(ワシントン州)ヘッジスのカベルネ・ソーヴィニヨン、デザートにはカナダのヴィダル種のアイスワイン、ティーセレクションとして日本の煎茶、エチオピアのコーヒーを提案。食後酒について言及する前にタイムアウト

2番手のルーマニアの選手は、アペリテイフにドン・ペリニョンP2の1998、続けてオーストリア、スペイン、フランス、チーズにイタリアのマルサラ、ポルトガルのドゥロを選択。デザートまで行かないうちにタイムアウト

実は一番気になっていたのがフランスでした。2016年のアルゼンチン・メンドーサ大会で覇者のローゼングレンさんと息詰まるような接戦をしていたダヴィッド・ビロー選手です。アぺリティフにはモエ・エ・シャンドン1998、その後、欧州第2の大河ドナウが流れている国々のワインを提案していました。ハンガリーのフルミント種を使った辛口トカイ、オーストリアのブリュンデル・マイヤーのグリューナー・フェルトリーナー種(以後GV)による『リード・ラム』、クロアチアの代表的な黒ぶどうプラヴァツ・マリ種を使った赤ワイン、チーズはドイツのエゴン・ミュラーのアウスレーゼ、品種はリースリング&スペイン(マラガ)の甘口ワインという流れ。この構成は見事でした。

優勝したトムソン選手はアペリティフに英国のスパークリング『ナイティンバー2007』を薦め、続いて日本の『純米大吟醸白瀑(しらたき)』、スペインのアレハンドロ・フェルナンデスの『アレハイレン』、オーストリアの『クノ-ル GV スマラクト ロイレンベルグ』、チーズにポルトガルのラモス・ピント『トゥニー・ポート40年』、もう1つ別のワインはイタリアのアレグリーニ『アマローネ』、シナモンアイスにはドイツのJJプリュムのアウスレーゼ、そして食後酒に日本の『響17年』やメキシコのテキーラ、ホセ・クエルボの『クエルボ・レゼルヴァ・デル・ファミリア』。聞いていてワクワクするような組立で、表現もわかりやすくキレイ! 

赤ワインの素性を探る課題


赤ワインの特徴について述べ、特定する課題(3分)。4選手中3名が、イタリア・ピエモンテ、品種はネッビオーロと回答。ピエトラス選手(ポーランド)はバルバレスコ2012、ピロー選手(フランス)はピエモンテの2010。トムソン選手(ラトビア)はピエモンテのバローロ2008。スカヴァ選手(ルーマニア)だけがボルドー、サン・ジュリアンのカベルネ・ソーヴィニヨン。グラス、デキャンターをするタイミング、供出温度、マリアージュ等について各選手とも言及していましたが、価格ついて触れていたのはトムソン選手(30€)だけだったと思います。

さて、その赤ワインですが、正体はスペインの『トンドニア・グランレセルバ2004(ロペス・デ・エレディア・ビーニャ・トンドニア)』でした。ヴィンテージは違いますが、ご参考までにトンドニア

を紹介

ふたつめのテーブル(仮想客)にはブラウフレンキッシュをデカンタージュ
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ホストはセルジュ・デュプスさん(フランス)、2016年の世界最優秀ソムリエのローゼングレンさん(スウェーデン)を含む4名にオーストリアの黒ぶどう品種ブラウフレンキッシュのワインをデキャンターしてサーヴ。作業途中で同品種の説明や他品種と比較も問われる課題(5分)

Livestream

の4時間50分の箇所にトムソン選手のこの実技が映っています。
これは見る価値大!
ホストへの対応、デキャンター中の所作(利き酒のため、ワインをグラスに注いで香りを確認し、それをデキャンターに移してリンスしてから、味見をしていたトムソンさん)、作業中も審査員からの質問にポイントをつかんだ受け答え(ぶどうの栽培エリア、2つの土壌に由来する味わいの違い、ピノと似た酸味、シラーと似たスパイシーさ等)、ゲストへの丁寧なワインサービス、作業後の整理整頓。これらを規定の5分で仕上げた手腕、素晴らしいです、高点数だったと思います。

黒いグラス6種のブラインド
6つのグラスの中に共通する材料のものが2つずつある。それが何番と何番なのか。オリジン、タイプ、できれはブランドまで言及する課題(3分)
1:Pisco WAQAR  チリのピスコワカー(マスカット種から造る蒸留酒/ぶどう)
2:Vins de Constance 南アフリカのヴァン・ド・コンスタンス
(ミュスカ・ド・フロンティニャン種から造る甘口ワイン/ぶどう)
3:The IRISHMAN アイルランドのアイリッシュマン(アイリッシュウィスキー/穀物)
4:DRAMBUIE  ドランブイ(ウィスキーをベースにハーブや蜂蜜をブレンド/穀物)
5:Calvados Pierre Huet フランスのカルヴァドス(りんご)
6:IS CIDER  スウェーデンのアイスサイダー(りんご)

(出場順の回答)
ポーランドは1と4、2と6、3と5(カルヴァドスは正解)
ルーマニアは1と3(ウィスキー正解)、2と4、5と6(この2つの組み合わせは正解)
フランスの選手は1と4、2と6、3と5
 
トムソン選手(ラトビア)は1と2、3と4、5と6が共通と答えていました。
1はグラッパ(伊)、2はモンバジアック(仏)で原料はぶどう
3はスコッチウイスキー(スコットランド)、4はウイスキーにハーブ&ハニーを添加、原料は穀物
5はミラベル(仏)、6はプラムワイン(日本)、原料はプラム、惜しかったです。

4種の甘口ワインのブラインド
オリジン、品種、ヴィンテージを答える課題、ワインの説明は不要(4分) 
※ヴィンテージは一部不明

1:Disznókö 1413 Tokaji ディズノク1413  ハンガリー・トカイ レイトハーベスト/フルミント、ハールシュレヴェリュ、マスカット/2014
2:Monbazillac モンバジャック  フランス 貴腐ワイン/セミヨン&SB
3:Peter Schandl Beerenauslese ピーター・シャンドル オーストリア ベーレンアウスレーゼ/ピノ系品種?
4:Berncasteler Doctor (Dr.H.Thanisch)ベルンカステラー・ドクトール (ドクター・ターニッシュ家) ドイツ モーゼル・ザール・ルーヴァー/リースリング

■ポーランドの選手は1:ドイツ、モーゼル/リースリング/2013、2:フランス、ソーテルヌ/セミヨン&SB/2012、3:イタリア、ヴェネト レイトハーベスト/ガルガネーガ/2012、4:ハンガリー、トカイ/ピノ系品種/2005
■ルーマニアの選手は1:ハンガリー・トカイ、レイトハーベスト/フルミント、ハールシュレヴェリュ/2011、2:オーストリア、アウスレーゼ/GV/ 2013 、3:オーストリア、ルスター・アウスブルッフ/ピノ・ブラン&シャルドネ/2012、4:フランス、ソーテルヌ 貴腐ワイン/2010
■フランスの選手は1:オーストリア、ブルゲンランド ベーレンアウスレーゼ/ヴェルシュリースリング/2014、2:フランス、ソーテルヌ/セミヨン&SB/2013、3:ドイツ、モーゼル アウスレーゼ/リースリング/2015、4:イタリア/ミュスカ/2014 
■ラトビアの選手は1:フランス、ロワール・コート・デュ・レイヨン 貴腐、レイトハーベスト/シュナン・ブラン/2014、2:フランス、カディヤック/セミヨン&SB/2013、3:フランス、ベルジュラック レイトハーベスト/プティ・マンサン&グロ・マンサン/2015、4:オーストリア、ルスター・アウスブルッフ/ヴェルシュ・リースリング/2012 
 
1番目のワインをハンガリー、3番目をオーストリアと答えていたスカヴォ選手(ルーマニア)。若干コメントをしていた様子から混乱を感じたのですが、おさえるところはきちんとおさえています、素晴らしいです。

間違い探し
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8枚の画像が表示され、各ページ(3アイテムの記載あり)には1ヶ所間違いがある。1コマ30秒の間にミスを指摘する課題

ピエトラス選手(ポーランド)は中国の赤ワイン以外、7問正解。ビロー選手はフェッラーリ、ロンバルディアで「ヴェネチア」と回答、これは予想外

Sparkling Wine
-Ferrari Brut NV, Lombardia, Italy Trentino Alto Adige

White Wine
-Dagueneau Les Jardins de Babylone 2015, Pouilly Fume, France  Jurancon
-Franz Hirtzberger Honivogl Smarad Gruner Veltliner2013, Austria Smaragd
-Felton Road Bannockburn Chardonnay2015, Marlborough, New Zealand Central Otago
Red Wine
-Ao Yun Carbernet Sauvignon 2011, Yunnan, China first VT 2013

-Noemia Marbec 2013, Mendoza, Argentina Patagonia
-Hardys The Dead Arm Shiraz 2008, Mclaren Vale, South Australia, Australia d'Arenberg
Sweet Wine
-Chateau d'Yquem 2012,Sauternes, France not exist


トムソン選手が苦労していた間違い探しのワン・シーン
Ao-Yun

はLVMHが中国・雲南省2600mの場所で取り組むプロジェクト、2013年がファースト・ヴィンテージ!


試合の合間には生演奏
2~3種類の木・金管楽器を使い、場を盛り上げていた女性奏者


最後は4人同時に画像問題に挑戦
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8枚のスライド(15秒間)を見て答える課題


マルケス・デ・リスカルの画像は全員クリア


今年デキャンター誌でマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたステーヴン・スパリュアさん

ライモンズ・トムソン選手、おめでとうございます!

田崎ASI会長から優勝者の名が発表されました!



最後の出場だったので、待ち時間も長く、集中力を保つのが大変だったと思いますが、終始、品よく、タイトな時間のなかで、落ち着いた態度でした。
ASI、候補者たちへの感謝、そして第2の父と慕うシェフ、愛息と愛娘と愛妻、パーソナルトレーナー、ラトビアのソムリエ仲間への言葉が爽やかでした。
余談ですが、トムソン選手の声は、耳に心地よいですね。
今回改めて声の質の大事さも感じました。
世界最優秀ソムリエコンクールに向けてさらなる躍進を!

モエ・エ・シャンドンからシャンパン贈呈
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優勝はラトビア、2位はポーランド、そして3位がルーマニア&フランス、おめでとうございます!
オフィシャルパートナーのモエ・エ・シャンドンからトムソン選手にシャンパンの贈呈

歴代の優勝者の名が刻印されているモエ・エ・シャンドンのシルバートロフィーも狙ってください!

仮想客で参加の森さん、岩田&井黒両選手も観戦


Livestreamの3時間地点で、MCのズラティックさんが森さんにインタビューしています。来年京都で開催するアジア・オセアニア大会を見据え、そのための視察と出場する若き候補者2名を伴って来たことを語っているので、岩田さん&井黒さんもしっかり映っています!

コンクールの結果予想について、「ラトビアがフランスを抜くかも」と語っていた森さんのお言葉通りでした。岩田さんは「トムソン選手のサービスは素晴らしく、それが見れたことは凄い勉強になりました」と語っていたので、観戦で受けた刺激によって、さらなる飛躍が期待できそうです。

ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクールを仕切っていたASIの田崎会長をはじめとするメンバーの皆さま。審査に関わった皆さま、進行役のバッセさん、長丁場で大変だったと思います。AWMBのクリンガー会長にも大変お世話になりました。
貴重な機会を共有させていただき、こころから御礼申しあげます。
ありがとうございました!!
posted by fumiko at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ソムリエコンクール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月21日

ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクールの覇者はラトビアのライモンズ・トムソン選手【前編】


緑が綺麗な5月のオーストリアを久々に訪問
今回は【The Best Sommelier of Europe Vienna 2017】
ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクールが観戦できました。

祝! 37ヵ国のソムリエの頂点に立ったのはラトビアのライモンズ・トムソンさん!!

資料提供:ASI

おめでとうございます!!
まず最初にラトビア

についてご紹介しておきます。トムソンさんのレストランVincents

のサイトを見ると、英国のチャールズ皇太子やエルトン・ジョン、日本の天皇といったVIPの訪問が多い名店の由。ちょうど10年前の2007年5月に、ラトビアを初訪問をなさった天皇・皇后両陛下のニュースもあったので、お店の創業が1994年ということを考えると、現天皇ご夫妻がお立ち寄りになられたのかも知れませんね。

5月のオーストリア取材は、同国のワイン総括の要オーストリア・ワイン・マーケティングボード(以後AWMB)が2年に1度開催している『Wine Summit2017』に参加することが目的でした。
そのスケジュール表に、同じタイミングで行われていた『ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクール』のウェルカム・ディナーと最終日の決勝&ガラ・ディナーが組み込まれていたので、ヨーロッパの精鋭たちの熱戦をリアルタイムで楽しむことができました、ラッキー!
ちなみにコンクールは3日間(9日~11日)の日程で、会期中にはワイナリー訪問等もあったようです。11日の決勝戦は400名超が集ったガラ・ディナーと同時進行で、すべてが終了したのは24時近くでした!

ウェルカム・デイナーはシェーンブルン宮殿で!

楽隊がお出迎え


コンクールにエントリーしている国々は国旗を掲げて入場

コンクールを前に士気高揚

田崎真也ASI会長とビリー・クリンガーAWMB会長

到着当日の8日に、AWMBとソムリエユニオン・オーストリアが主催するウェルカム・ディナーがありました。コンクールは国際ソムリエ協会(以後ASI)とソムリエユニオン・オーストリアがオーガナイズしているので、会場には、ASIの田崎真也会長(日本)、ヨーロッパ大陸担当セルジュ・デュプス副会長(フランス)、技術委員長のジェラール・バッセさん(英国)等、歴代の世界最優ソムリエの面々が一堂に会しており、さらにはコンクールに出場する37ヵ国の候補者(3ヵ国アフリカ含)も揃い、華やかで躍動的な雰囲気になっていました。


ソムリエユニオン・オーストリアのアンマリー・フォイドル会長と田崎真也ASI会長

同ユニオンはオーストリアで世界最優秀ソムリエコンクールが行われた1998年に設立されたソムリエを管轄する組織で、2008年からアンマリー・フォイドルさんが会長として活躍しています。ディナー開会時、田崎ASI会長からフォイドル会長に記念品が贈呈されました。


フォイドル会長とジェラール・バッセ技術委員長のあいさつ


壇上には各国の候補者たち
フォイドル会長の左隣には東京大会で活躍したアイルランド代表のジュリー・デュプイさん、右隣にはルーマニアのジュリア・スカヴォさん(今大会3位)、ポーランドのピョートル・ピエトラスさん(今大会2位)、ふたりの間の背の高い人がラトビアのライモンズ・トムソンさん(今大会優勝


フォイドル会長の右隣はオーストリア代表のサバード・ズラティックさん(今回17位)、左から2人目はフランス代表のダヴィッド・ビローさん(今大会3位


ディナーで同席だったズラティックさんが手にしているのは来年ウィーンのVie Vinum2018で行われる『Revival Best Sommelier of Europe & Africa』の出場チケット

光栄なる時間!

気遣いの達人バッセさんのおかげで素晴らしい瞬間をいただきました!
左から)モネゴMW、バッセMW、ラーソンさん、デュプスさん、ローゼングレンさん、世界最優秀ソムリエの素敵なメンバー!!
後列右のアンドレス・ロスベルグ(アルゼンチン)さんはA.S.I.新会長(2017年6月選出)!


photo by Gerard Basset

ソムリエ協会の理事時代、ソムリエ対象のセミナーでデュプスさんが仕掛けたブラインドテイスティング(異なる瓶に同じワインを入れ若干温度も変えてサービス、その違いについて言及)の奥深さに感激。その鮮烈さは今もしっかり残っています。その大尊敬するデュプスさんとの再会だったので、とっても幸せでした!

加えて、マルクス・デル・モネゴMW(ドイツ)は1998年のオーストリア・ウィーン大会の優勝者。この大会には石田博選手も参戦していましたが、惜しくも入賞ならず。でも、その後の2000年カナダ・モントリオール大会でリベンジを果たし、3位入賞という快挙を成し遂げました。この時、私は現地観戦していてモネゴMWの温かなお人柄に触れることができ、それ以来、大尊敬する人のひとりになっています。そのような訳で、デュプスさんとモネゴさんは特別な存在です。光栄なる時間を分けてくださったAWMBに感謝しています!!


ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクール@ウィーン・パーク ホテルシェーンブルン
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ソムリエユニオン・オーストリアのアンマリー・フォイドル会長のあいさつ


準決勝に進出した12名の候補者が登壇


コンクールは37選手から準決勝で12名に絞られ、3位はタイだったことから4名が決勝に進出。(左から)フランスのビロー、ポーランドのピエトラス、ルーマニアのスカヴォ、ラトビアのトムソン各候補者。クジにより、出場順はポーランド、ルーマニア、フランス&ラトビア


最初の課題は4人で行うシャンパン作業

スタートは4名全員で『モエ・エ・シャンドン ブリュット・アンペリアル マグナム』を18等分にサーブする課題(4分)。テーブル上には20脚のグラスがあり、一度注いだら後戻りできない規定。4候補者全員が時間内にクリアしていましたが、スカヴォ選手は迅速で印象的。ビロー選手はボトルの残量もなく、18脚完璧に注いでいたように見えましたが・・・


審査員が各テーブルをチェック。均等な量であるかどうか。ボトル内の残量はどのくらいか(残量がなく、18均等がベスト)、テーブルの上が整頓されているか

この後、4選手が順次、出場しました。
コンクールの様子は、後編

で!

posted by fumiko at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ソムリエコンクール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月08日

Wines of Portugal Japanese Sommelier of the Year2016の覇者はカンテサンスの井黒 卓選手!

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Wines of Portugal Japanese Sommelier of the Year2016の熱い戦いが終わりました。結果については(一社)日本ソムリエ協会のHP

に掲載されていますが、栄えあるトロフィーを勝ち取ったのは東京・カンテサンスの井黒卓選手でした。おめでとうございます!

準決勝には11名がチャレンジ
八芳園で行われた非公開準決勝(プレスのみ公開)には、予選を通過した11名の選手がチャレンジ。2つの部屋を同時進行で使用、試験はすべて英語での問答でした。
ここでは全体の流れをお伝えさせていただきます。

Aの部屋は石田博副会長と同コンクール2014の優勝者星山厚豪さんが担当
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設問1:7種のブラインドテイスティング

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No1のオルタ・オゾリオ・ワインズ リザーブ・ホワイト2014についてはフルコメント、No2のヴィーニョ・ヴェルデからNo7のトウニーポートまではDO(リージョン)、ぶどう品種、ヴィンテージについて答える(6分)

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井黒選手にはリズム感がありました!

設問2:ブレンドワインおよび土着品種について述べるプレゼンテーション(4分)

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ワインの温度管理やセッティングの裏方を担当した北康信理事


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Bの部屋は佐藤陽一理事と加茂文彦理事が担当

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テーブル上には2種のグラスとエッグタルト

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設問1:ブランディーズのセルシアル10年(最左)とマルムジー10年(右隣)にデザートを合せてハーモニーを答える(5分)
設問2:ワインリストの間違い探し 指摘すべき個所は全部で14 (3分) 
設問3:画像を見て人物や施設等を答える(2分)

決勝進出者は5名
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左から)塚元晃、岩田渉、森本美雪、定兼弘、井黒卓各選手が公開審査に臨みました!

設問1:6種のブラインド DO(リージョン)、品種、ヴィンテージを答える(3分)
No1のルイス・パト マリア・ゴメス・ホワイト2014からNo6のルイス・パトヴィーニャ・バローサ2013まで(前掲の2種のマディラと一緒に写っている右側の6本

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紅一点だった森本美雪選手

設問2:ポルトガルのファルカン会長が出題、ワイン(ランサーのロゼ)を日本に輸入するのであなたの考えやアドバイスを(3分)

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設問3:ポルトガルのサルバドール女史が出題、リストから3種のポルトガルワインを選び、スペシャルディナーメニューを提案する(2分)

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設問4:7種の強化ワインから1本を選んで子豚のローストとのベストマリアージュを提案 (2分)

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塚元選手が選んだのはホワイトポート

設問5:ヴィンテージポート1970のサービス実技 (3分)

前回も入賞したベテランの定兼選手
制限時間3分で、抜栓からグラスに注ぐまでの一連の作業を完遂できた選手は残念ながら・・・

表彰式
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森覚技術研究部長のMCで、審査員が紹介されました。
(左から)ポルトガルからはポルトガルワイン委員会のヌーノ・ヴェイルマーケティングディレクター、同エデュケーターのソフィア・サルバドールさん、インスティテュート・オブ・ワイン・アンド・ヴァインのフレデリコ・ファルカン会長。日本ソムリエ協会からは石田、佐藤、加茂、星山各審査員

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ファルカン会長はポルトガルが多様性に富んだ国であることを強調。その1つが設問にも出ていた品種の多さで、ポルトガルには認定品種が343種あり、そのうちの250種が固有品種。種類の多さでは世界で3番目だそうです。

「ポルトガルにとって日本は大事な市場であり、日本への輸出量も良好で、今後数年間で18%増が予測されています。両国の長年の友好関係から、ポルトガルは日本の強力なパートナーになり得ると信じていますし、我々が特異な存在であることを示し、ぶどう品種やワインについてのトレーニングを推進していくことは両国の利益になると確信しています」という言葉であいさつを締めくくりました。

発表は1位から5位の順で
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右から)2016年の優勝者は井黒選手!
2位岩田選手、3位塚元選手、4位森本選手、5位定兼選手に決定しました。

~ ワインは人を楽にしてくれる、落ち着かせてくれる、緊張を和らげてくれる、そして寛大にしてくれる ~

ファルカン会長があいさつの中で引用したベンジャミン・フランクリンの格言です。
ポルトガルワインへの思いを込めて戦った若き精鋭たち、コンクールに関わったすべての方々、激戦を観戦したワインラバーの皆さまに贈るにふさわしいエールだと思いました。
お疲れ様でした!

あとがき
準決勝では2つの部屋が使われていたので、すべての選手の健闘ぶりは拝見できませんでしたが、Aの部屋では固有品種の多さ、ポルトガルの伝統であるブレンドのメリット、近年バガ種を代表に単一品種で造るワインも生産されていることに言及した選手もいて、短い時間を有効活用した選手の存在が光りました。

Bの部屋ではマディラの10年もので、セルシアルとマルムジーと言い当てた選手がいました。残糖、酸度も的確だったので慣れ親しんでいるアイテムだったのかも知れません。エッグタルトと合わせた時にセルシアルだとシトラス、酸のニュアンスを感じるので、ジャム等を添えることで、バランスが良くなると言及した選手も。トースト、キャラメルの要素がある2(マルムジー)とタルトとの相性を薦める選手が多かった印象

決勝ではランサーロゼについての特徴、加えて、泡ものはワイン入門者にはスタイリッシュなので薦めやすいこと、日本では桜の季節にロゼが好まれること、女子会にもお薦めできる等のコメントでプレゼンテーションしていた井黒選手の目配り(ゲスト2名の顔を交互に見ながら)も含めた自然体の演技が印象的でした。
日本の若手のソムリエさんの、世界を視野に入れた今後の活躍に期待したいと思っています。
posted by fumiko at 16:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ソムリエコンクール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月29日

第15回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール アルゼンチン大会日本代表選考会、森 覚選手に決定!

アルゼンチン大会日本代表は森 覚選手
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選考会場は東京・目黒の雅叙園

世界最優秀ソムリエコンクールは3年に1度開催されています。
第14回世界大会は東京で行われましたが、次大会は来年4月15日~20日、南米アルゼンチンのメンドーサです。11月25日にその日本代表を選ぶ審査がありました。

公開審査はブラインド・テイスティングから
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壇上に用意されたテーブルには4人と10人の模擬客がスタンバイ

多くの観戦者が見守るなか、国際ソムリエ協会の田崎真也会長から審査(第1ステージから第3ステージ)について説明がありました。各ステージごとに選手の得点が発表され、結果は筆記試験と選手&サービスマンとしての資質を加算して判断するとのお話でした。

出場選手はマクシヴァンのオーナーソムリエ佐藤陽一選手とコンラッド東京ヘッドソムリエの森覚選手
午前中、筆記試験(非公開)を終えた両選手は事前にじゃんけんで出番決め。佐藤、森各選手の順。(一社)日本ソムリエ協会のHP

に公開審査に出た銘柄等が載っていますので、ご覧ください。

第1ステージはブラインド・テイスティング
所要時間は4種類のワイン(全12分)と6種類の飲み物(全3分)
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佐藤選手はフランス語を選択
1番:甲州樽仕込み2014(山梨)、2番:マスカット・ベーリーA(山梨)、3番:メルロー(長野)、4番:ナイアガラ(北海道)

審査後に「なぜ、4本とも日本のワインにしたのですか?」と質問してみました。
佐藤さんは「アルコールを軽く感じたし、エッセンスも希薄だったので、あのように答えましたが、敢えて日本ワイン狙いにしたわけではないです。4番のワインの酸はケルナーかなとも思ったのですが」と。


森選手は英語を選択
1番:甲州2013(山梨)、2番:キアンティ・クラシコ2012(イタリア)、3番:バルバレスコ2009(イタリア)、4番:品種特定まで行かずに時間切れ
森さんにも審査後、質問。「4番目の品種は何だと思いましたか?」と。「アイスワインと言おうと思っていました。リースリングです」

佐藤選手の樽の甲州2014はビンゴ!!
余談ですが、審査後、佐藤さんと石田さんにお話を聞いていた時、石田さんが、「完璧な答えをしていたので、応援団だったら、思わず〝陽ちゃん、凄い!〟と合いの手をいれるところでしたよ(笑)」とコメント。いつも軽快な冗談でかわす佐藤さんが「う〜ん、その後がね」と反応。思わず笑ってしまった私です。


(左から)ワインは1番~4番、以後6種類の飲みもの
後列は1983年VTのワインとモエ・エ・シャンドン/HP

参照
6種類の飲み物では、佐藤、森選手とも8番:白酒/パイチュウ(中国)と10番:テキーラ、竜舌蘭(メキシコ)と答えていました。


審査はA.S.I.の田崎会長(中央)、ソムリエ協会の阿部誠(左) 石田博(右)各常務理事の3名
第1ステージの点数は佐藤選手104点、森選手113点

第2ステージはサービス実技
所要時間は全15分
2テーブルの右側、岡会長がホスト、妻と2名の友人の4名席。結婚記念VTの1983年のシャトー・ヴァニエール(バンドールAC)をデキャンターしてサービス

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コルクが途中で折れてしまい・・・
残りのコルクをボトル内に入れた佐藤選手はじょうごを使って濾過

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森選手は折れてしまったコルクの残りを、2枚刃のワインオープナーを使って静かに抜き取り

ここでのポイントは折れた後のリカバリーをいかにするかということです。コルクを折ったことに対する減点はありません。

2つめのテーブルではモエ・エ・シャンドンのシャンパンをサービス
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続く10名テーブルではシャンパンをサービス
ホストの加茂執行役員が、荒井副会長の誕生日祝いにシャンパンをオーダー。10名で分けると思いきや、「結婚記念のお隣のテーブルにもおすそ分けを」と提案、14杯取りにする設問

佐藤選手は2テーブルの14名に同時にシャンパンをサービスすることを考えて行動。結果、10名テーブルのお客様全員にサービスをする以前にタイムアウト。
森選手はまず10名テーブルからサービス、それを済ませて4名テーブルに。4名中最後の1名の量が若干少なかったものの、ショート(サービス途中でボトルが空になる)しなかったのでセーフ
第2ステージの点数は佐藤選手21点、森選手35点

審査後、石田さんに「古いコルクに替えたのですか?」と聞いてみたところ、「古いワインの宝庫、中本理事が古いワインを持っているので、設定に合うワインを用意してもらった」と。見事なワイン調達!

第3ステージは料理とワインのハーモニー&映像クイズ

ホストの渡部明央常務理事からメニューを渡され、それらに合う甘口ワインをセレクト(すべて違う国のもの)、1名女性がアルコールがダメなので、ノン・アルコール飲料を提案する

佐藤選手はエンパナーダに仏サン・クロワ・デュモン、照り焼きに伊マルサラ、アサードにカナダのアイスワイン等をあげていましたが、全体的にリズム感に欠けていたような。

森選手は仏シャンパンの甘口(モエ・エ・シャンドンのネクター・アンペリアル)、独アイスワイン・リースリング、日本の小布施ワイナリー甘口、伊モスカート、そして羊羹には韓国の山ぶどうの甘口ワイン、エンペリを推薦。最後に再度5つの国名を挙げる余裕。加えて、最初のシャンパンではヴ―ヴ・クリコと言ってからモエに変更し、A.S.I.の冠スポンサーに配慮する余裕すら見せていたのはお見事。ノン・アルコールでも照り焼きにはサントリーのオールフリーと固有名詞を出し、最後の羊羹では抹茶、ほうじ茶と、時間内に無難にまとめて大きな拍手を得ていました。

10枚の画像を見て

10枚の画像(15秒間表示)を見て答える問題には、きいろ香の富永敬俊博士も

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中国のお茶(大紅袍)で思考中の森選手

日本代表は森 覚選手に!

田崎審査員長は、模擬客をした岡会長、荒井副会長、加茂執行役員等の紹介や模擬客をつとめた会場から参加の皆さんに慰労の言葉をかけました。


岡会長から優勝者の発表、森覚選手です!!

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(左から)石田常務理事、佐藤選手、森選手、岡会長
11月香港で行われたアジア・オセアニア代表の選考会で、石田博さんが優勝したので、アルゼンチンには日本代表の森選手とアジア・オセアニア代表の石田選手の2名が出場します。


選考会後に
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岡会長は「日本のレベルは相当にあがっていると思うので、是非とも2016年のアルゼンチン大会には期待したいと思います。アジア枠と日本枠の2つ取れて、かつ日本で最強のふたりなので、世界に向けてそん色がありません。あとはどれだけポイントを稼げるかです」とコメント

佐藤選手は「オーガナイズが素晴らしく、非常に良い状況で行っていただいたので、結果としては満足しています。自分としては少しこんがらがった点もあるので、それはこれからのサービスに生かし、今後の文化としてのワインや飲料、ソムリエを日本に根付かせていきたい」と述べました。

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日本ソムリエ協会が若手ソムリエ育成にために行っているスカラシップには、シャンパンメゾン『デュヴァル=ルロワ』の当主キャロルさんも応援、サポートしています。今回、シャンパンイベントのために来日していたキャロルさんが表敬訪問してくれました。石田、森両選手を囲んでの3ショット

石田さんは「佐藤、森両選手に心から敬意を表します。15年ぶりの世界大会チャレンジで、改めて準備をしていったらとてつもなく大変だと感じています。当時の情報収集は紙媒体であり、世界のワイン産地も限られていました。ノートを見ると、1ヶ国で多くても100ページ、大体の国は10ページ程度でした。現在は平均で80ページです。2000年以降のコンクールに出続け、膨大な量をずっと勉強してきたふたりは本当に凄いと思います。日本はしばらく優勝を逃しているので、是非とも、メダルを取って戻りたいです」と決意を述べました。


これは2000年カナダ・モントリオール大会で第3位に入賞した石田選手を撮影して、その時の写真を4枚使い、機関誌の表紙にしたものです。懐かしい1冊です。
石田さんは「自信はなかなか生まれないので、準備だけは万全にすることをこころに秘めています。年齢的に言って、私より年上でコンクール経験、優勝経験のある人は世界にひとりしかいませんよ。チリ大会で優勝した英国のジェラール・バッセ(47歳)です。私は来年47歳」と語ってくれましたが、モントリール大会の時は31歳、森選手より若かったのですね。

森選手、自然体の強み

森選手は「選手として舞台で演技をするのは、2009年大阪でアジア・オセアニアのコンクール以来、6年ぶりです。今回良い結果が出せて良かったと思っています。石田ソムリエと一緒に決勝で2つのイスを取れるように頑張りたいです。石田さんや佐藤さんのようにいつまでもトップを走り続けられるソムリエとして邁進したいです」とあいさつ

選考会後の会見で「今までの準備とは全く違う形で進めました。トゥールダルジャン時代に2回ほど世界大会に挑戦しましたが、その時はゴールを決めて、そこから逆算して進める形でした。自分のペースでやったつもりでいたのですが、結果が伴っていなかったので、今回は自然体で、普段の仕事もしていました。それがプレッシャーにならなくて良かったのかもしれません。世界大会まで時間がないので、追い込めていくだけです。勤務先のコンラッドや後輩に助けてもらって、環境を作っていければ良いと思っています」と述べました。
壇上では常に自然体で、普段通りのサービスをしている感じが好印象でした。選考会前日は1日フリーで、お子さんとお風呂に入ってリラックスしたとのこと。本当に、おめでとうございました!

来年、選手として出場する石田さんに、森選手についての感想を伺ったところ、次のようなお答えをいただきました。「コンクールは競い合っていても、対戦競技ではなく、むしろ自分や審査員との戦いです。前回は自分が森選手のトレーナー役だったのですが、今回はふたりで出場できるので同じ気持ちでトレーニングできますし、同じテンションでいろいろなものを共有しながら一緒にトレーニングしていきたいと思っています。チーム戦ではありませんが、むしろ自分にとってはチーム戦のような感じです」と。その昔、高校球児だった石田さんらしいお返事でした。

ホテルマンとして職場(パークハイアット)から嘱望されていた森さんを〝ソムリエコンクールで勝てる人〟と見込んだ石田さん。その予想通り、ずっと勝ち続けている森選手。「森さんは、トゥールダルジャン時代からの可愛い後輩であり、同時に尊敬するソムリエである」と石田さんは語りましたが、インタビューの最後に「日本のソムリエ界のために自分はあるべきだと思っています」という力強い言葉で〆てくれました。


アルゼンチン大会には3か国だけ2名枠があります。
アルゼンチンとスウェーデンと日本で、アルゼンチンはアメリカ大陸代表と合わせて。スウェーデンは欧州代表と合わせて。そして日本はアジア・オセアニア代表と合わせて。日本のソムリエのレベルは世界各国から高く評価されています。世界大会の入賞経験がある石田博さん、過去2回世界大会に出場している森覚さん。おふたりとも3回目の挑戦になります。日本のトップソムリエの健闘をこころから願っています!

2016年アルゼンチン大会の応援ツアーは近々、日本ソムリエ協会のHP上で紹介される予定
posted by fumiko at 19:02| Comment(2) | TrackBack(0) | ソムリエコンクール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする