2024年01月17日

クインテッサ Quintessa × ファヴィア favia の新たな動きに注目!

     カリフォルニアの秀逸なワイナリー
     ラザフォードの『クインテッサ』とクームスヴィルの『ファヴィア』
     詳細はワイン王国WEB

にアップされたリポートにまとめました。
     ご笑覧いただけると嬉しいです!


       クインテッサ

     クインテッサとはコロナ渦中の2020年からZoom インタビュー

を実施。
     毎回最新ヴィンテージを利き酒しながら、ホットな話題を伺ってきました。
     4年間の躍進を感じていただけると思います。


     2023年に初めて白ワイン『イルミネーション』を試飲して一飲惚れ[目がハート]
     和の食材にもしっかり寄り添ってくれる超お薦めのワインです。


IMG_1996.jpg



    ファヴィア

     ファヴィアはカリフォルニアのカルトワインとして垂涎の的
     スクリーミングイーグルの醸造と栽培に関わっていたおふたり
     アンディ・エリクソン&アニー・ファヴィア夫妻が立ち上げたワイナリー
     2018年に訪問した折、ご夫妻とお目にかかることができました。

         アンディさんの経歴も興味深かったです。



     クインテッサの栽培方法(ビオディナミ農法)を取り入れながら、
     アニー・ファヴィア女史がどのような手腕を発揮なさるか。
     両ワイナリーの知恵と経験の開花にワクワクです!
posted by fumiko at 15:02| Comment(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月14日

醸造家レベッカ・ワインバーグが語ったクインテッサの最新VT2020とワイナリーの取り組み

     Beyond Bordeaux Tokyo 2023でクインテッサ2020を先行試飲
 
黒系果実、スパイス、ドライハーブ。マスキュランかつ繊細さを持ち合わせたタンニン、ミネラル、バランスの良さを伴って広がる余韻。2017年ヴィンテージから現地と繋いで、最新情報を伺いつつ、先行試飲してきたクインテッサ。年々酒質の向上を実感しています。
 
                 🍷 🍷 🍷


今年は9月22日にオンラインインタビューをさせていただきました。
2年続きで、レベッカさんが対応してくださったので、昨年のリポート

をご覧いただくことで、クインテッサの魅力がより鮮明になると思っています。宜しくお願いします!

                
       クインテッサから届いた2020VT
       【Quintessa2020/クインテッサ2020 375ml
       収穫時期:9月3日~9月26日
       醸し期間:果皮と共に平均20日
       オーク樽:フレンチオークの新樽60%
       熟成期間:22カ月
       Alc度数:14.5%
       瓶詰時期:2022年7月
       ぶどう品種:87%カベルネ・ソーヴィニヨン、7%カベルネ・フラン
             4%カルメネール、2%プティ・ヴェルド


 
2020年ヴィンテージは、乾燥した冬の後、春は温暖な気候で、3月下旬には芽吹き開始。ぶどう樹の成長も早く、糖度も蓄積され、小粒で高いレベルのタンニンを備えたぶどうを収穫。ほとんどの収穫を終えたのは9月26日でしたが、その翌日27日にグラス・ファイアがあり、穫み残していたぶどうにはスモークテイント(煙害)の影響が出たとのこと。


2020年の山火事
山火事は、通常だと、収穫を終えた10月頃なのですが、2020年は8月下旬と9月下旬の2回発生しました。幸い、1回目は煙が高く舞いあがっていたので、ぶどうに影響はなかったのですが、2回目のグラス・ファイアは、クインテッサがあるラザフードにも近かったので、穫み残したぶどうに煙害が[ふらふら]

■2020年ヴィンテージは9月26日までに収穫したぶどうを使用
■煙害対策は、2022年のリポートに記述した通り、コンテナー内にオゾンを充満させ、煙の分子を分解させようと一晩の静置を試みましたが、「思っていたほどの効果はなかった」とレベッカさん。煙害に関しては、3年前にはほとんど調査がなかったので、当時は手繰り状態での対応だったようです。2020年は温暖だったので収穫が早くスタートし、最終的に、煙害無しのぶどうだけで醸造できた由


 土壌へのさらなる取り込み
 source: Quintessa

 (画像中央)池の右側マウスポインターのある場所がドラゴンズ・ブロック

 source: Quintessa
(地図の右上)池の上部ポインターで示した場所がドラゴンズ・ブロック、ヴァカ山脈側


以前からの取り組みをさらにバージョンアップ。
昨年から開始した調査には、テロワール研究の第一人者アメリカ人のブレンナ・クイグリー女史、チリの地質学者ヘドロ・パラ氏がチームに加わっています。具体例としては、上記のドラゴン・ブロック。今までは一つのブロックとして見ていたエリアですが、調査・分析で、ふたつの異なる地質があることが判明。現在、その分析に基づいて、4区画に分けて、剪定や灌漑等の方法を変えながら、新たな取り組みをしています。ドラゴン・ブロックはクインテッサのメインとなるぶどう畑なので、今後、さらなる酒質の向上に期待!!


                  🍷 🍷 🍷



        こころ惹かれたイルミネーション2022
       【Illumination2022/イルミネーション2022】
        アペレーション:45%ナパ・カウンティ / カリストガ
                55%ソノマ・カウンティ / ベネット・ヴァレー
        収穫時期:8月22日~9月22日
        Alc度数:14%
        瓶詰時期:2022年7月
        ぶどう品種:50%ソーヴィニヨン・ブラン・ムスケ(SBの亜種)
              33%ソーヴィニョン・ブラン
              17%セミヨン

ナパは温暖で朝夕の日較差が大きいのが特徴。ソノマは霧の影響下にある冷涼な地域。2つの産地のぶどうを手摘み収穫、全房発酵で醸造。容器は60%が使用樽、15%がステンレスタンク、20%がコンクリートエッグ、フレンチオークの新樽1%、アカシアの新樽4%の5種を使用、とてもユニーク!

ぶどうの半分以上はソーヴィニヨン・ブランの亜種ムスケで、この品種からはシトラスフルーツやストーンフルーツのニュアンスが。セミヨンを使うことで、ワインにまるみが加わります。イルミネーションを味わった時に感じる柑橘果実の内果皮似のビターさは様々な料理と合わせて楽しみたくなります。


 source: Quintessa ボルドーのネゴシアン経由で流通、日本ではファインズの取り扱い


今年の収穫は
オンライン当日の9月22日からイルミネーションに使うソーヴィニヨン・ブランの収穫が始まった由。2023年は冬から春にかけて多雨。2021年と2022年が干ばつだったので、雨によって土壌は潤い、復活したようです。夏は暑くもなく熱波もなかったので、特筆出来るヴィンテージになりそうとレベッカさんは力説していました。

レベッカさんからクインテッサ・ファンにメッセージ
クインテッサのワインを味わった瞬間、ナパにトランスポートして欲しいですし、イルミネーションを口にした時にはカリファルニアの太陽を感じて欲しいです。ワインからクインテッサの複雑なテロワールを感じ取っていただけると嬉しいです。


      マリアージュ探求
      石鯛のお造り × イルミネーション2022
      フレンチスタイルのSB、真っ先に感じたのはスパイスのニュアンス
      それも和の要素で、私的にはもみじおろし
      もみじおろしを少し舐めてからワインを味わうと抵抗感なく渾然一体
      新鮮な白身魚の薄切りにもみじおろしを添えて!

 
黒系果実のプラム、ブラックベリー、ダークチェリーのアロマ、MLF由来の乳酸、タンニンは木目細かく、酸味はおだやか。抜栓初日より、2日目のほうが全体的にバランス良好。第一印象はシャイなので、空気と触れあわせることで、本領を発揮するワイン。今のところマイベストは緻密で凝縮感ある2019年ヴィンテージなのですが、それより若干ソフトな印象、定点観測してみたいヴィンテージ。

 
 スティックカリフラワーと三年味噌のバーニャカウダ
 トマトとモッツァレラのシンプルサラダ
 なすと肉のオーブン焼き
posted by fumiko at 23:02| Comment(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月15日

カリフォルニアワイン協会公認のグローバルな教育プログラム キャップストーン・カリフォルニア 体験記

 カリフォルニアワイン協会CWI

が世界に向けて発信する教育プログラム

 昨年9月、カリフォルニアワインの輸入元&プレスを対象に、
 オンライン説明会が開催されました。
 MCを務めたのはCWI日本事務所扇谷まどか共同代表
 CWIオナー・コンフォート国際部長はカリフォルニアワイン教育のビジョンに言及し、
 主任講師の山本香奈エデュケーターはショートバージョンで模擬講座を行い、 
 プログラムの総監修者エヴァン・ゴールドスタインMSは2種の白ワインについてコメント
 試飲ではMSが用いるディダクティブ・テイスティング(演繹的試飲法)を採用
 マスター・ソムリエの略。有資格者は世界に約300名

Capstone Californiaの概要
開発したのはCWI輸出プログラムチ ームと世界のワイン専門家で、カリフォルニアワインに特化したコンテンツを多言語対応のマルチメディアを介して世界のワイン業界のプロや愛好家に提供するものです。初級から専門家レベルまでの4段階のカリキュラムによって構成されており、日本では2021年10 月下旬から初級/Level1がスタートしました。講座はアカデミー・デュ・ヴァンでの座学&テイスティングと、オンラインによるセルフ・スタディの2コースです。


 10月からスタートした座学@アカデミー・デュ・ヴァン
 カリフォルニアに精通する山本香奈講師による初級は10月から月1回ペースで4回開催
 内容は歴史、地理、気候、土壌、ぶどう品種、栽培や醸造、熟成、ワイン法令等


 供出されたアイテム
 1回目の講座で試飲した4種。テイスティングには、
 カリフォルニアの歴史を背景にしたワインも登場するのでお楽しみに!

 左から
 #1:マタンザス・クリーク ソーヴィニヨン・ブラン2019
 #2:シャトー・モンテレーナ シャルドネ2018
 #3:ブエナ・ヴィスタ ピノ・ノワール2017
 #4:ロバート・モンダヴィ カベルネ・ソーヴィニヨン2018


 第3回講座のディダクテイブ・テイスティングは森覚講師が担当
 切れの良い語りで、今講座の“売り”の1つである試飲法を丁寧に解説


 演繹的試飲法とは?
 コート・オブ・マスター・ソムリエCMSがテイスティングで取り入れている方法
 ディダクティブ・テイスティングは日本語では演繹的試飲法と訳されています。
 あらゆる要素に基づいて結論を導き出していくのが演繹(えんえき)法です。

 香りを利いて、柑橘類があるかないか、あるなら具体的な果実の名、その特徴
 果実以外なら、例えば、ハーブはあるかないか、バターやクリームはあるかないか
 項目ごとに利き分け、香り(アロマ)と味覚(フレ―ヴァ―)を組み合わせて結論に到達

 国際ソムリエ協会ASIや日本ソムリエ協会JSAのコンクールではテイスティングの際、
 ワインについて様々な“形容”を使って表現しますが、
 演繹的試飲では“ある or ない”の二者択一
 その積み重ねで、結論を導き出していくのが特徴です。


 テイスティングシートのフォーマット / (C)CMS
 シャトー・モンテレーナCH 2018の模範解答の一部

  ブエナ・ヴィスタ PN2017の場合、色調は「ガーネット」
  Alc度数13.5%ですが、ここでは「やや高い」にチェックを入れるのが 正解


 受講後は毎回オンラインによる小テスト
 4択問題で、正解なら緑色、間違っている時は赤色の表示になります。
 不正解でも「テストをやり直す」で再チャレンジできます。
 テストは好きなだけ挑戦できますし、一発勝負で決まるわけではないので、ご心配なく!
 但し、問題はいつも同じではなく、その都度変わっているようです。

 最終テストの出題は50問でした!
 小テストが終わったら最後の仕上げのテストです。
 講師が念押ししたり、白板に記述していた事柄の確認は大事

 すべてをクリアすると
 小テスト&最終試験を通過すると、このような表示に[わーい(嬉しい顔)]
 Level1の受講者は2月28日迄に最終テストを済ませておくことが必須だったので、
 試験をクリアした受講生には3月中に初級の認定証が届く予定です。

キャップストーン・カリフォルニアは、初級・中級・上級・専門家/アンバサダーの 4つのレベルから成り、最初のレベルを修了すると次の段階に進むことができます。
募集はアカデミー・デュ・ヴァンの公式サイトで公開されますが、オンラインによるセルフ・スタデイの場合はテイスティングがないので、3月と4月に開催される森覚講師によるデイダクティブ・テイスティングコースを受講するのも選択肢の1つです。

キャップストーン・カリフォルニアは、カリフォルニアワインの海外市場向け販売拡大を目的とした多角的10年戦略の一翼を担うもので、世界中の人々を対象に、体系的な学習を通してカリフォルニアワインの知識が会得できるようになっています。

【キャップストーン・カリフォルニアのご案内】
詳細はコチラ

で!

【関連講座のご案内】
ディダクテイブ・テイスティング講座


カリフォルニアワイン協会公認教育プログラム
キャップストーン・カリフォルニア(Cap stone California) レベル2資格認定講座



posted by fumiko at 20:23| Comment(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月25日

世界進出に舵を向けたナパ・ヴァレーの逸材『Quintessa クインテッサ』

第5の要素『クインテッサ』
昨年から輸出に力を入れ始めたナパ・ヴァレー、ラザフォードにあるクインテッサ


先日、Zoomで、ロドリゴ・ソトGMとディエゴ・ギャレイ輸出担当ディレクターからワイナリーや新ヴィンテージ2017について伺うことができました。
内容はニュースサイトワインのこころ

で紹介しています。隠れた逸材クインテッサの魅力を感じていただけましたら幸いです。


 来月上旬発売される『クインテッサ2017』 Photo by Fumiko


         ジェネラル・マネージャーのロドリゴ・ソト氏
         Photo by Quintessa

      フェッツアーやベンジガー、チリではマテテックやヴェラモンテで活躍
      ビオディナミの指導者として著名なアラン・ヨーク氏との親交も篤い

         ワインメーカーのレベッカ・ワインバーグさん 
         Photo by Quintessa

      所用があり、Zoomには参加できなかったレベッカさん
      カリフォルニア大学デイビス校で栽培と醸造学の修士号を取得
      2015年からクインテッサに参画しました!

 輸出担当ディレクターのディエゴ・ギャレイ氏 Photo by Quintessa

セーニャのジェネラル・マネージャー、アルマヴィーヴァのジェネラル・マネージャーを歴任なさったギャレイ氏は日本市場の重要さを熱く語っていました。


[NEW]:カリフォルニア州の山火事
雷によって発生した山火事はナパ・ヴァレーの東側に移動していますが、最新の情報はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ(NVV)のFB

に随時掲載しています。また、火災の状況はMap

で確認できます。
避難による密もあるので、火災とコロナ感染はダブルで気がかりです。
posted by fumiko at 20:02| Comment(2) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月12日

期間限定で開催された『ナパワインフェア2019』の受賞店13店舗を表彰!

 ナパワインフェア2019授賞式
2月10日東京アメリカンクラブで授賞式が行われました。13店舗の皆さま、おめでとうございます!

『ナパワインフェア2019』はナパヴァレー・ヴィントナーズ(Napa Valley Vintners、略称NVV)主催の期間限定フェア。2019年10月1日から11月30日までの2か月間、全国の飲食店66店舗と小売店20店舗が参加して、飲食店はナパワインのグラス売り、小売店は4種類以上のナパワインを取り扱いました。受賞店舗&詳細はコチラ

で!

同フェアのために仕入れ or 販売されたナパワインは約27,000本でした。

 ワイルドカード賞は『hOnda麻布十番』の手に
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授賞式当日、ワインの仕入れ本数が200本以上の参加店の中から抽選でワイルドカード賞を選出。ラッキーな当選者は麻布十番hOnda (画像右)

 東京アメリカンクラブによるワインと料理のマリアージュ
アイオーリソースを添えた蟹料理、シトラスをブリッジ食材に使い、リンゴをトッピングすることで、ナパ・ヴァレーのシャルドネのミネラル感や酸味と相乗

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モーレソース(唐辛子、チョコレート、ナッツ、果物)の甘辛さが鶏もも肉と絶妙なバランス、ナパ・ヴァレーのメルロの果実感とボリューム感と相性良好

低温調理したリブ肉を塩と肉汁だけで味付けた素材重視の一皿。ブリッジ食材のタイムやマジョラム、ホースラディッシュがアクセントに。ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンとナイスマリアージュ

お肉のカッティングシーンも楽しめました。


 研修ツアー『エクスペリエンス・ナパヴァレー』
(右から)フェアの成功に感謝の意を表したアメリカ大使館農産物貿易事務所バレット・バンパス副所長、ナパヴァレー・ヴィントナーズ日本事務所の若下静代表&同小枝絵麻代表、アメリカ大使館農産物貿易事務所青木純夫シア・マーケティング・スペシャリスト

受賞店の代表者は、4月に『エクスペリエンス・ナパヴァレー』に招待されます。
私は2018年にプレスとして同行させていただきました。とても素晴らしい内容だったので、受賞店の皆さまにとりましても研修ツアーは貴重な体験になると確信しております。リポートはコチラ

にまとめてありますので、ご笑覧いただけましたら嬉しく思います。

同フェアについてのお問い合わせはナパヴァレー・ヴィントナーズ窓口 若下静様まで
japan@napavintners.com
posted by fumiko at 23:55| Comment(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月09日

エクスペリエンス・ナパ・ヴァレーENV2018 同行取材リポート <その2>

エクスペリエンス・ナパ・ヴァレー2018の2日目の報告
Duckhorn 3 Palms Vineyard ぶどう畑ツアー


ナパ・ヴァレーのメルロを世に知らしめたダックホーン・ヴィンヤーズは1976年、ダン・ダックホーンとマーガレット・ダックホーンが設立しました。四半世紀にわたり、ボルドー品種の生産者として地位を確立してきましたが、2017年にはピノ・ノワールで一世を風靡したカレラ、今年の7月にはソノマにあるピノ・ノワールの造り手コスタ・ブラウンを買収、新たな広がりを見せています。

銘醸畑スリー・パームス・ヴィンヤード

photo by Masatoshi UENAKA
3本のヤシを背景にメンバー全員で記念ショット


記念にいただいたロゴ入りグラス


ふるまってくださったワインはメルロ スリー・パームス・ヴィンヤードの2015VT
2014年VTは昨年『ワイン・スペクテーター誌』のTOP100の第1位に選ばれています!


畝ごとに品種、植樹年、台木等の記載が



土壌の構成、台木による根の伸び方の違い等を観察

畑で説明を受けている間(15時前後)、ダッチヘンリーキャニオンからの風が吹き込んでいました。ICレコーダーの録音が聞き取りにくいほどの風の勢いで、身体より機器のほうが敏感に風力を感じ取っていました。毎日同じ時間に吹いてくるので、これがぶどうを守る大事な要素になっています。


 
アメリカ市場では、この4年間で、プレミアムクラスのメルロが伸びているそうです。
「カベルネ・ソーヴィニヨンがダントツですが、メルロが躍進していてレストランでもオンリストされています」とダックホーンのトレード・リレーションズ&エデュケーション・マネージャーのケイ・マラスケさん(画像左

折角の機会だったので、映画がらみの質問をさせていただきました。
「2004年に公開(日本は2005年)された映画『サイドウェイ』では、主人公がメルロ品種を酷評していましたが、ダックホーンでは映画の影響を受けましたか?」と。
「あの映画以降、市場ではメルロの消費がダウンしました。メルロにそれほど力を入れていなかったワイナリーは植え替えを余儀なくされました。弊社では特に大きな影響は受けていません。あのような出来事があったからこそ生き延びてこれたのだと思っています。メルロに特化することで、秀逸なメルロを造るワイナリーとして認知されています。その結果として、昨年はWS誌ベスト100の第1位に選ばれました。それと・・・今の若い人たちは14年前の映画のことは知らないと思いますよ」とケイさん。自信に満ちたお言葉!


イノベーションとテクノロージー Keever Vineyards

ヨーントヴィルのヒルサイド、標高300フィート(約92m)に位置する『キーヴァー・ヴィンヤーズ』はボーダフォンアジアの元CEOウィリアム・キーヴァーさん(中央)が興した極小規模ワイナリー。左隣は案内役をしてくださったご子息のジェーソン・キーヴァーさん、右隣は奥さま



訪問のテーマは“イノベーションとテクノロジー”
以前牧場だった場所を購入して、2000年にぶどう樹を植樹。2005年に山の一部を掘り起こし、2006年にカーブが完成。醸造施設も同年から稼働、重力を使ったグラビティー・フローで、年間約24,000本を生産しています。



ヴィンヤード・マネージャーはグレース・ファミリーやスクリーミング・イーグル等の超著名ワイナリーにぶどうを供給をしていたジム・バーバーさん。ワインメーカーはハーバーさんと交流があったセリア・ウェルチ女史(2002年から同ワイナリーに就任)、新カルトワイン『スケアクロウ』の醸造家として知られています。
『スケアクロウ』は2011年2月のワインオークションで、史上最高額で落札され、2014年にはさらに落札額が更新され、新カルトワインとして大ブレークしました。同時にウェルチさんの名も知れ渡りました。

スケアクロウのオーナー、ブレッド・ロペス&ミミ・デブラシオご夫妻が2014年に来日した折、インタビューさせていただきました。ロペスさんはウェルチ女史について、「感性、直観力、洞察力、判断力のある女性です。自分がワインメーカーであるということを前面に出してくるような人ではないところも魅力です。何より人間性があります」と語っていました。


4台の光学式カメラが付いた選果台、1時間に2トンのぶどうをチェック


メイン品種のカベルネ・ソーヴィニヨンには5つのクローンを使用
「クローン7には台木101-14、337には101-14、そしてENTAV191、同341、同33には110Rを使うことでより根が深く伸びます」とジェーソンさん


フラッグシップのカベルネ・ソーヴィニヨン2014
深みのあるガーネット、ブラックベリー、プラム、甘草、ミント、タンニンの木目は細かく、口中でヴァニラ、モカ、重厚さと繊細さが同居!


Panel discussoin and tasting パネルディスカッション&テイスティング
マット・スタンプMSをモデレーターにして、6名のパネリストと共に6種の異なるAVAのカベルネ・ソーヴィニヨン(5)&カベルネ・フラン(1)を試飲。ナパヴァレーのテロワール、AVAがもたらすワインのスタイル等を学習


(左から)
トレフェセン・ファミリー・ヴィンヤーズのジョン・ルエルCEO、イタリックス・ワイングロワーズのテイラー・マーチン マネージング・パートナー、ホワイトホール・レーンのジェイソン・モールトン ワインメーカー、マット・スタンプMS、ガリカのローズマリー・ケークブレッドオーナー&ワインメーカー、アキュメンのヘンリック・ポウルセン ワインメーキングデイレクター、ヘス・コレクション・ワイナリーのデイヴ・ガフィーワインメーカー


すべてのワインは2014年ヴィンテージ
選択理由についてスタンプMSは「現行VTであり、個人的に好きなVTだから」とコメント


ナパ・ヴァレーのAVA

ナパ・ヴァレーはサンフランシスコまで77km、太平洋まで58km、北に行くほど暖かく、標高が高いほど日照が長い。毎朝の霧(標高180~300m辺りまで)とサンパブロ湾からの涼風の影響大。大まかに言って山のエリアは斜面に張りつく表土の浅い岩まじりの土壌で、ぶどうは小粒で凝縮感がある。ワインのスタイルは複雑なアロマとしっかりしたタンニンが特徴。段丘(べンチ)エリアは岩まじりで水はけの良い土壌、ワインのスタイルは果実味が豊かで、山のエリアほどタンニンの存在感はない。ヴァレーフロアはナパ・ヴァレーの川岸に堆積したシルトや粘土の土壌で、ワインのスタイルはフレッシュな酸と豊かな果実味。


(左から順に)
#1:トレフェセン・ファミリー・ヴィンヤーズ CS オークノール地区 
今年創業50周年を迎えた家族経営のワイナリー。AVAのなかでは冷涼な産地、ぶどうはすべて自社畑のもので、「灌漑の量を減らし、収量を減らすことで質の良いぶどうを造る」とルエルCEO。ワインはフラワリーでプラムやブラックベリーのニュアンス、果実本来の豊かさ、程良いタンニン、冷涼エリアならではの酸に由来するフレッシュ感

#2:イタリックス ワイングロワーズ エステイトCS クームスヴィル
日本未入荷のワイン
パネラーのテーラー・マーティンさんはテキサス出身で農業に従事、クームスヴィルの可能性を信じて家族でナパに移住。若いワイナリーなので供出ワインも2年目のVT。ワインは自社畑の1990年代のぶどう樹と2008年に植樹したぶどう樹からとれたものブレンド

クームスヴィルについて
2012年に認可された一番新しいAVA。認可前までは知名度が低かった。火山の爆発で地殻変化が起き、それによって水流が遮られた。250m前後の場所に火山灰がつもり、サンパブロ湾からの風によりダストが流れ込み、標高の異なる丘のような地形が生まれた。サンパブロ湾からの風の影響を受ける冷涼な産地。
「AVAの認可が出なかったのは水に恵まれず、火山灰の影響が多すぎてぶどう栽培にマイナスと思われていたからで、近年の動き・・・クームスヴィルがボルドーブレンドに適した可能性があるということと、テクノロジーの進化により、水の供給ができるようになったことから、認可に至りました」とマーティンさん

#3:ホワイトホール・レーン CS ナパ・ヴァレー
ぶどう畑はラザフォードとセントヘレナの境目にあり、2つのプレートがぶつかり合ったことで、異なる土壌が形成された。ラザフォードにある畑は小石まじりの粘土質ローム層で、セントヘレナにある2つの畑のうちのひとつはラザフォードと同じ小石まじりの粘土質ローム土壌で、他方の畑は小石まじりの砂質土壌。
CS100%で、27ヶ月樽熟(65%仏産オークの新樽)、 「最初に口に含んだ時からミッドパレット、余韻までアロマやフレーバー、すべてにおいてバランスが取れているワインが理想」とモールトンさん

#4:ガリカ CF オークヴィル
当日のマイベスト。願わくば、ローズマリーさんのCSを体験したかったです。
赤系果実、土壌由来の清涼感、ナパの秀逸な女性メーカーが造るエレガントなCF!
ローズマリーさんはスポッツウッドのワインメーカーとして活躍の後、直近の12年間は自身のブランド『ガリカ』でワイン造りに専念。「カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配によって誕生したのがカベルネ・ソーヴィニヨンなので、ここでは親であるカベルネ・フランにフォーカスするのも面白いのでは」と。

オークヴィルのAVAはマヤカマス山脈からヴァレーフロアを通り、ヴァカ山脈までの東西にわたる広範囲なエリア。基本的にCS、CF、SBを栽培。CFは晩熟で収穫はCSが終ってから。300Lの樽で約18ヶ月熟成。CFはフローラルな香りが特徴、ヴァカ山脈の標高450mで栽培しているCFで、土壌は茶色を帯びた火山灰土壌。保水性に富んだ土壌はCFとの相性が良い。
子供の頃、調布のアメリカンスクールに通っていたというローズマリーさん。日本語は懐かしい響きだったようです。

#5:アキュメン・ピーク CS アトラスピーク
日本未入荷のワイン
標高は450~700m、霧は300m以上には届かないので、霧の上にある畑のぶどうは日照を浴び続け、果皮は厚い。「タンニンは果皮と種から抽出されるので、収穫時期を見極めないとタンニンが出過ぎてしまう」とポウルセンさん。日照には恵まれるが、風が吹き抜ける環境なので、気温はそれほど高くならない。ゆえに、ぶどうはゆっくりと熟す。
ナパワインの3%だけが、標高300m以上のエリアから生産されている。土壌は65%以上が岩で構成されている。雨が降っても岩が多いので、水はけは良い。アトラスピークのワインの特徴はpHの低さ。

#6:ザ・ヘス・コレクション ザ・ライオン CS マウント・ヴィーダー
マウント・ヴィーダーは85%が自然のままの状態で残っているエリアで、多様性に富んでいる。標高は約182~730mなので、水の確保が難しい、雨水を貯水した池を造り、水源を確保。土壌は粘土ローム層で、水ハケが良い。マウント・ヴィーダーはナパヴァレー全体のわずか1%の生産量。ヘス・コレクションのトップ・レンジ『ザ・ライオン』は82%CS、17%マルベック、1%PVのブレンド、仏産オークで22ヵ月熟成(新樽65%)、
黒系果実や甘草、ダークチョコ、タンニンの存在感もあり、6アイテムのテイスティングの最後に相応しい重厚さを備えたナパのカベルネでした!



Featuring white wines 白ワインに注目

1977年、創始者ピーター・ニュートンはセントヘレナの西に位置するスプリング・マウンテンの斜面の土地約260㌶を購入して『ニュートン・ヴィンヤード』を設立し、自然と一体となったワイン造りをしています。



中国人の奥さまは、日本への造詣が深く、庭園には赤い鳥居も!
映画『ブラック・レイン』には、この鳥居が出てきます。また、ワイナリーや赤ワインの『パズル』は映画『サイドウェイズ(日本版)』に登場しました。


ウェルカム・ドリンクは『ニュートンアンフィルタード シャルドネ2015』


日差しに映えて輝くシャルドネ!
ニュートンはカリフォルニアのアンフィルタードワインの第一人者


この日のテーマは白ワイン。参加ワイナリーのサン・スペリー(ラザフォード)のソーヴィニヨン・ブラン、Y.ルソー・ワインズ(クームスヴィル)のシャルドネ、ケネフィック・ランチ(カリストガ)のローヌ・ブレンドにフォーカスしました。


ホストはニュートンのジャン・バティスト・リヴェールエステートディレクター


シャネルが所有する『サン・スペリー エステート&ワイナリー』
エマ・スワンCEOは、「ワインは自社畑のぶどうのみを使い、ナパ・グリーン(環境保護プログラム)の認証も受けています」とコメント



ピーチのソテーにマーシュ(ハーブ)、ヘーゼルナッツ、ブッラータチーズを添えた前菜&サン・スペリー『ダラーハイド・ソーヴィニヨン・ブラン2015』とのマリアージュ。パッションフルーツやグレープフルーツの香り、爽快感、樽由来の安定感、旨味があり、食材とワインの各要素がバランスよく調和していました。

日本未入荷のY.ルソーは『三銃士』にちなんだラベル


左がランチに供出された『Milady ミレディ、クームスヴィル2016』、右(参考)はタナ種主体のら『Musketeer』
ミレディというネーミングと絵柄を見て、「あれ?!」と思い、サイトで他のボトルをチェックしたところ、銃士や太陽王(ルイ14世)の名が付いたワインがありました。余談ですが、2001年のアメリカ映画『ヤング・ブラッド』の原題は、タナ種を使ったワイン名と同じMusketeer(マスケット銃士)。映画もアレクサンドル・デュマの三銃士を基にした冒険活劇でした。
オーナー兼ワインメーカーのヤニック・ルソーさんはフランス出身なので、母国とナパの個性を反映させたワイン造りをしていますが、三銃士に絡むラベルから母国愛が伝わってきます。

『ミレディ』は奥さまお気に入りのワインとのこと。クームスヴィルはカーネロスに次いで涼しいエリアで、シングルヴィンヤードのぶどうは樹齢50年。樹が古いので灌漑の必要はなく、根はかなり深くまで伸びています。ワインは11ヶ月熟成(新樽率17%)、ノン・フィルター、ノン・マロ、トロピカルフルーツや洋梨、ジャスミンのニュアンス。謎を秘めたミレディのように一面だけではない要素を備えたワイン!



ケネフィック・ランチの2代目クリス・ケネフィックさん
1970年、神経外科医だった父親トム・ケネフィック博士がナパヴァレーを初訪問。この地に魅せられ、1978年にぶどう畑を開墾し、収穫したぶどうを販売。90%以上をナパのトップワイナリーに売っていたが、2002年に満を持してファミリー名を付けたワインを生産。年間3000ケース。50㌶強の自社畑にはボルドー品種(CS、CF、ME、PV、マルベック、SB)とローヌ系品種(グルナッシュ・ブラン、ヴィオニエ、マルサンヌ)を植樹。

登場したワインはローヌブレンドの『2015ピケット・ロード ホワイト、カリストガ』、カリストガはナパの南に位置する温かなエリア。自社畑のぶどう100%で、グルナッシュ・ブラン、ヴィオニエ、マルサンヌの混醸。2006年が初リリース。数年使用したフレンチオークで7ヶ月熟成、出しゃばらず、料理に寄り添うタイプ


特別の日の特別なワインということで1986年の3Lボトル登場



30年以上の熟成を経たシャルドネは黄金色に輝き、蜂蜜や砂糖漬けの果実、ヘーゼルナッツ、白コショウ、ミネラル感、層になって広がる味わいの複雑味と長い余韻、大容量ボトルでの熟成からくる若さも魅力


「ニュートンの原点となるワインです」とワインメーカーのアルベルト・ブランチさん


意外な品種を楽しむディナー@Favia ファヴィア

(左から)アレハンドロ・ブルゴローニ・エステートのマシュー・サンズアシスタントワインメーカー、ファヴィアのアンディ&アニー夫妻、マサイアソンのスティーヴ・マサイアソン ワインメーカー


ローヌ系の白品種に使っているという卵型のコンクリートタンク
バイ・ザ・グラス優秀店のメンバーが記念のサイン!


歴史を感じさせるエントランス
ウェルカム・ワインはファヴィアのSB



2003年にアンディ&アニー・ファヴィア夫妻が興したワイナリー『ファヴィア・エリクソン・ワイングロワーズ』
アンディさんはフランスで国際政治学を学んでいた折、ワインと食の融合に目覚め、帰国後、UCディヴスに入学。醸造学を履修し、ワイン界に参入します。アニーさんは大学卒業後、ニュートン・ヴィンヤードで醸造のキャリアを積み、栽培を学ぶために大学に再入学して学士号を取得。2003年にふたりは自らのブランド、ファヴィアを立ち上げ、“ソウルフルなワイン造り”を哲学をモットーにして、今に至っています。



ローストしたアーモンドやスパイシーなナッツが入った一皿、シソや黒ゴマなどの和食材がアクセントに。リボッラ・ジャッラのミネラル感、ヘーゼルナッツや白コショウが料理の隠れた要素と相乗してナイス!



マサイアソンのリボッラ・ジャッラはイタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州と隣接するスロべニアに共通する土着品種リボッラ・ジャッラ100%のオレンジワイン。ぶどうは全房のまま、開放型のステンレスタンクで発酵させ、その後、プレスして、旧樽で20ヶ月熟成、生産本数3792本



日本未入荷のアレハンドロ・ブルゴローニのカベルネ・ソーヴィニヨン2015
ラベルの質感は上等、ボトルは超重量級、ワインは濃厚で重厚。ワインメーカーはフィリップ・メルカ&コンサルタントはミシェル・ロランで、ともにロバート・パーカーJr好みの方々。オーナーのアレハンドロ・ブルゴローニさんは弁護士で起業家とのこと。ディナーのメインは上質なラムでしたが、ワインのパワーに押され気味


デザートはスフレスタイルのチーズケーキでアプリコットジャム添え
ここでは意外な品種としてセミヨンのオレンジワイン登場!



ナパで密かなブームになっているのがセミヨン品種!
7年間樽熟させた『ルーム』はシェリーのアモンティリャードやオロロソを彷彿とさせる香り。樽由来の甘さもあり、中盤以降、酸のニュアンスも。テーマだった“予想外の品種”の〆にふさわしく、ふわふわ感のあるチーズケーキ(脂分と甘味)とアンズ(甘味と酸味)の組合わせが、予想外に面白いマリア―ジュになりました。
「クレージーなソムリエが来たら開けようと思っていた」とアンディさん
参加メンバーのなかにビンゴのソムリエがいたようで(笑) そのお陰で、私たちは数量限定の1回限りのスペシャルワインを味見することができました。
ありがとうございました!


なが~い報告になりましたが、2日目が終りました。
それでは、3日目に向けて移動しますね!

posted by fumiko at 23:32| カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月12日

エクスペリエンス・ナパ・ヴァレーENV2018 同行取材リポート <その1>

最初のミッションはゴールデンゲートブリッジで

photo by M.Uenaka
エクスペリエンス・ナパ・ヴァレーENVについてはプロローグ

で全体の流れをご紹介したので、今回からは順を追ってリポートしていきます。
羽田組がサンフランシスコ到着後、最初に受けた使命は、強風のゴールデンゲートブリッジで記念撮影!



画像協力:NVV
この日は眠くても寝てはダメ、ENVのプログラムに備えてお勉強
講師はシレノス・ワイナリーのゼネラル・マネージャー、スコット・メドウさん。英語でのご挨拶の後、あらら、こてこての関西弁でプレゼンテーション、メンバーからは大受け。

スコットさんは30年ほど前、日本で7年間生活なさっていたそうです。日本で飲んだ『Chラフィット・ロートシルト1977』に感銘を受け、ワインにめざめ、帰国後、ワイン業界に参入。セミナーではご自身のワイン遍歴を盛り込みながら、ナパの歴史、テロワール、AVA等について解説。ここで学習したことはツアー最後の修了試験に出ました!

遊びと学習の一体化“ピザペアリング・ウェルカムディナー”

ガーギッチ・ヒルズ・エステート訪問は9年ぶりなのでとっても楽しみでした!
2003年からぶどうはすべて自社畑100%、オーガニックの認証も受けています。


ワイン界に大旋風を巻き起こした1976年のパリ・テイスティングで、白ワインのトップに選ばれたのがミリェンコ・マイク・ガーギッチさんが手掛けた『シャトー・モンテレーナ・シャルドネ1973』

マイクさんは1977年の独立記念日にコーヒー業を営んでいたオースティン・ヒルズと一緒に『ガーギッチ・ヒルズ・セラー』(2007年にワイナリー名を変更)を設立。以後、“King of Chardonnay”と呼ばれるようになります。当日、我々を迎えてくれたワインもマイクさんとは切り離せないガーギッチのシャルドネでした!

クロアチア原産のぶどう品種ジンファンデル
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マイク・ガーギッチさんの故郷はクロアチア、ラベルの左下には国旗も
ぶどう品種はジンファンデル98%、プティ・シラー2%、フレンチ大樽15ヶ月熟成

愛娘バイオレットさんは「クロアチア出身の父がナパに来て、初めての朝、目の前にあるぶどう樹(ジンファンデル)が、クロアチアのプラーヴァッツ・マリに似ていたので、父はこのぶどうがクロアチアの樹に違いないと思いました。その後、長い年月をかけて、UCデイビス校がDNA鑑定を行い、ジンファンデルのルーツがクロアチアであることが判明しました。ジンファンデルは私たち家族の思いが詰まったぶどう品種です」と語り、続けて、「私たちのジンファンデルは軽やかでエレガント、酸もきれいで果実味があり、どのような料理にも合わせられるのが特徴です。赤ワインが苦手とおっしゃる方にも飲んでいただけるワインです」と。


クロアチアはアドリア海を挟んでイタリアの対岸
1994年、UCデイビス校のキャロル・メレディス博士によるDNA鑑定でイタリアのプリミティーヴォ種とジンファンデルが同一品種であることが判明。

UCデイビス校とザグレブ大学の調査団が、クロアチアのプラーヴァッツ・マリのDNA鑑定をした結果、プラーヴァッツ・マリはジンファンデルとクロアチアのドブリチェッチの子供であることがわかりました、親子の関係!
その後、2001年12月に、ジンファンデルと同じDNAを持つツュリエナック・カシュテランスキ種が発見され、ジンファンデルのルーツがクロアチアであることが証明されました。

バイオレットさんから届いたメッセージ

今朝、バイオレットさんからメッセージが!
FIFAワールドカップ準決勝でイングランドとの激戦を勝ち抜いたクロアチアのサッカーチームへのお祝い!
マイクさんのお元気そうなお姿もありました。
決勝進出、おめでとうございます、相手はフランスですね、パリ・テイスティングを思わず連想!

マイクさんの常套句、幸運というのは準備と好機が出会った時に生まれるものなのですね、なるほど[わーい(嬉しい顔)]

4グループに分かれてピザ作り

画像協力:NVV
私のグループはバイオレット・ガーギッチさんがリーダー


ピザはトマトソースをベースにトッピングを工夫


投票(コルク栓)が一番多かったのはブラックバードチーム、おめでとうございます!


1位になったチームリーダーのポール・レアリーさんのワインとピザ!
メルロ・アライズ2014はメルロ37%、CF28%、CS21%、PV14%のブレンドタイプ、畑は20~24でナパの冷涼な区画のぶどうに特化。ワイナリーは2003年創業、メルロを中心にぶどう栽培が行なわれ、アーロン・ポットさんがワイン造りを担当。


ロンバウアーのセールス担当マネージャーのジョン・イーガンさん(左)
ロンバウアー・ヴィンヤード・ジンファンデル2016はジンファンデル94%、プティ・シラー6%のブレンドで、シャルドネに使用した樽を使って14ヶ月熟成。ワイナリーでの初ヴィンテージは1980年で、シェーファーのワイナリーと自宅のガレージでワインを生産。1984年に初ヴィンテージをリリース


日本未入荷のワイン、トネラ・セラーズのスティーヴ・トネラさん
ぶどう栽培業者として100年以上の歴史があり、2010年からワイン造りを開始。初リリースのカベルネ・シーヴィニヨンは6週間で完売、2014年にはソーヴィニヨン・ブランを、来年にはボルドーブレンドをリリース予定。父親がルートストックの会社を経営していて、現在、使用しているクローンもナパ以外では使われていない純な存在とのことでした。ワインは果実味があり力強いタイプ!


ナパの心地良いディナー



ジンファンデルには粉もの、ピザやパスタが合います!


バターミルクとヴァニラのパンナコッタ、ラズベリーの酸味がアクセント!



徹夜状態の初日が無事終わりました、大変お疲れ様でした!

2日目はイノベーションとテクノロジー、土壌とカベルネと題したパネルディスカッション、ぶどう畑ツアー、そして意外な品種が登場するディナーの予定
では、後日のリポートで!
posted by fumiko at 23:45| カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月25日

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ バイザグラスフェア2017研修ツアー同行取材 <プロローグ>

まずはintroduction

カリストガのウェルカムサインで全員集合(6月20日撮影

6月18日から21日(23日帰国)までの日程でカリフォルニア・ナパ取材、これは昨秋にナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ(以後NVV)が主催・開催したナパヴァレー・バイザグラスフェア2017

で優秀店に選ばれた皆さんの研修ツアーで、ナパヴァレーのワインに関わる業界関係者、プレスを交えた総勢18名で遂行されました。

6月18日(月)

ナパへはサンフランシスコから


写真撮影のためにゴールデンゲートブリッジで束の間下車


人気のバーガーショップGott's Roadsideでランチ


Napa River Innが定宿、連泊だと気が楽!


ナパヴァレーについてのプレゼンテーションは日本滞在の経験があるシレノス・ワイナリーのスコット・メドウさん、語りは日本語、みごとな関西弁に全員びっくり。ツアーの最後にテストがあるとのことで、到着日は眠くてもガマン、寝てられませ~ん。


ウェルカムスパークリングは日本未入荷のマム・ナパ

ピザ作り!

初日のピザペアリング・ウェルカムディナーでは4生産者と4グループに分かれてピザ作り@ガーギッチ・ヒルズ・エステート


我々のグループはガーギッチのジンファンデルに合わせて、トマトソースをベースにトッピング選び

関西組は地震の影響を受けながらも無事合流

今ツアーの窓口、NVVインターナショナル・マーケティングマネージャーのディナ・オズボーンさん(最右) 、NVV日本事務所若下静さん(左から2人目)、ロンバウアー・ヴィンヤードのセールス・オペレーションズ・マネージャーのジョンさん(最左) &東京組の岡さん (後列右) 

出発日当日の朝発生した地震で、関西組は大変でした。
旅行社の迅速な対応で、フライトを変更することができたので、福田さん(後列左)や山野さん(前列右から2人目)たちは夕方にはナパのホテルに無事到着、本当に良かったです。

6月19日(火)

ヨーントヴィルの極小規模ワイナリー、キーヴァー見学


ホワイトホールレーンで土壌とカベルネに特化したパネルディスカッション


白ワインにフォーカス@ニュートン


2017年のワイン・スペクテーターでトップ100の第1位に選ばれたダックホーン スリー・パームスの畑に


ダックホーン自慢のメルロ!


最新AVAのクームズヴィルに位置するファヴィアでは意外な品種にもフォーカス


6月20日(水)

料理大学CIA COPIAでワイン&フード ペアリングレッスン


講師はモンダヴィ・ワイナリーのテイスティングルームスーパーバイザーのトムさん


シャトーボズウェルワイナリーで3女性ワインメーカーを囲んでのランチ


シルヴァーオークで10社のワインをウォーク・アラウンド・テイスティング
優秀店メンバーからの評価が高かったアミューズ・ブーシュ


グループに分かれて生産者と少人数でのディナー
ウエスティンホテル内にあるミシュラン1つ星のレストラン ラ・トークへ


視覚的にもきれいなナパ色のグリーンのガスパチョ


シルヴァーオークのオーナー、ダンカン一族のご子息セールス・マネージャーのマットさんは弱冠28歳! スペシャルなワインも供出してくれたので、それは後日のリポートで!

6月21日(木)

初日にプレゼンテーションしてくれたスコットさんのシレノス・ワイナリーでCS(2種/クローン違い)、CF、MEの4種を使ったブレンディングセッション!


5チームに分かれての挑戦!
我がグループは、CS70%、CF15%、ME15%のブレンドで、全体では3番人気。嬉しかったのはワインメーカーのブラッドレーさんが一番高評価をしてくれたワインだったということ、やったー!

日本未発売のワイン

ブラック・スタリオン・エステート・ワイナリーへは4年振りの訪問


ナパ・グリーン、環境保護プログラムに関してホーニッグワイナリーでぶどう畑を散策しながらの学習。巣箱からブルーバードが顔を出しているのが見えますか?

フェアウェルパーティ

研修ツアーの最後のディナー、全員の記念画像!


シルヴァーラードのスペシャルな甘口ワイン!


今ツアーでの学習具合は4択問題でテストされましたが、私も無事難関をクリア!
ハチャメチャ弾けていたシルヴァーラードのワイスCEO、ケークブレッドのブルース社長、ロング・メドゥ・ランチのグローパー副社長から修了証明書を受け取りました。


10時間あまりのフライトでサンフランシスコから羽田に。
機内では大好きな『パディントン2』チェック、別キャラのヒュー・グラント


NVVのディナさん&若下さん、参加者全員から深い信頼を得ていた通訳の村田みづ穂さん、ありがとうございました!!
次回からは各日にフォーカスしていきます。


【参考データ】
2009年にナパに特化した懐かしい取材です。お役に立つ情報があれば嬉しいです。
鴨のラベルと2巨匠の肖像画ラベル


ミシュランが選んだ世界一の美食都市“東京”と“ナパ”の違い


ちょっぴりミーハー気分で映画の舞台ナパを散策


ラベル:ExperienceNapa NVV
posted by fumiko at 23:55| カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月22日

醸造家クリス・カーペンターが語るナパ・ヴァレー〝マウンテン・ワイン〟の世界

醸造家クリストファー・カーペンターさん
パーカーポイント高得点の滅多に試飲できないワインたちとの対面、仕事冥利な時間でした!

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シカゴ出身のクリス・カーペンターさんは旅行でナパを訪問した時、自分が好きな科学への興味と、料理&ワインへの情熱の2つが同時に満たされるライフスタイルを発見します。その道を究めるため、すぐに、カリフォルニア大学デイビス校の大学院に入学し、ぶどう栽培学と醸造学の博士号を取得。イタリアやカリフォルニアのワイナリーで研鑽を積んだ後、ジャクソン・ファミリー・ワインズの醸造チームの一員として入社して、醸造家としての一歩を踏み出します。2000年に同グループのロコヤ、2001年にはカーディナル、2005年にはラ・ホタのワインメーカーに就任し、2007年からマウント・ブレイヴのプロジェクトに参加しています。

マウンテン・ワイン(山のワイン)の第一人者
プレスセミナーでは前述4ワイナリーの9アイテムを試飲。ヴィンテージはここ10年間で一番良いと言われている2012年でした。

カリフォルニアの産地はヴァレー・フロア(平坦地)とマウンテン・サイド(山岳部)に大別できますが、クリスさんが得意なのは〝マウンテン・ワイン(山のワイン)〟で、その魅力について、「平坦地にはない酸味、凝縮感、長熟感があり、そこに惹かれている」と語っていました。

クリスさんによると、ナパ・ヴァレーの土壌は3つに分けられ、ひとつは低地でナパ川に沿った栄養分のある土壌。あとの2つは山岳部で、海底が隆起した堆積土壌と、地殻変動から1000万年後に起きた火山活動による火山性土壌とのことです。

ナパ・ヴァレーの西側にあるマヤカマス山脈は朝日を受けても、霧の好影響下にあるので、陽ざしはやわらかく、湿り気もあり、青々としています。一方、東側のヴァカ山脈には西日がストレートにあたるので土壌は乾燥して赤茶けています。ただし、ヴァカ側にあるハウエル・マウンテンだけは例外で、西側に大きな山があることで湾からの霧がそこにぶつかり、ハウエル・マウンテンにかかります。ゆえに、ヴァカ側にありながら、最も冷涼で湿気もあり、ナパ・ヴァレーのなかでボルドーに最も近いアペラシオンと言えます。そこから生まれたワインが『ラ・ホタ』です。


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画像をクリックすると拡大
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ワインは左から順に#1~#9
グラスは前列左から#1~#4、後列左から#5~#9


ラ・ホタ
オリジナルの醸造所が完成したのは1898年、現在でもその施設を使っています。
創始者はドイツ系スイス人、デザイナーはイタリア人、ワイナリーを建設したのは中国人、畑を耕していたのはメキシコ人で、『ラ・ホタ』という名はアメリカンインディアンに由来。スペイン語で〝Jという文字〟を意味しています。

ハウエル・マウンテンはナパ・ヴァレーでも標高(427㍍)が基準になっている唯一のAVA。霧が到達する位置より上部にあるので、朝、霧の影響を受けることはありません。ラ・ホタ・ヴィンヤードおよび自社畑キイズ・ヴィンヤードのぶどうを使い、山岳部のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランを生産しています。

#1:ハウエル・マウンテン  カベルネ・フラン ナパ・ヴァレー (RP91)
#2:ハウエル・マウンテン  カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー (RP92)
#1 は1976年に植樹したカベルネ・フラン100%。「古樹があることはラッキーだが、収量は1㌶あたり1.5トン、250ケースしかないので、日本へは数ケースだけ」とクリスさん。加えて、「ハウエル・マウンテンのワインは、タンニンがしっかりしているので、近隣の『ダン』のように、飲み頃になるまでには20年かかりますが、#2はCS77%、CF11%、PV8%、ME4%のブレンドで、ダークフルーツ、ミネラル、細かなタンニンが特徴で、若いうちから楽しめます」とコメントしていました。
ラ・ホタ2012 輸入元:ラ・ラングドシェン、参考小売価格:13,000円(税別)


マウント・ブレイヴ
スペイン人が入植する前に住んでいたワッポーインディアン族への敬意を込めた〝勇敢な戦士〟が名前の由来。1860年代初めからワイン造りの歴史があるマウント・ヴィーダーはナパ・ヴァレー最大のアペラシオンですが、ワインの生産は全体の2%のみです。

#3:マウント・ヴィーダー メルロー
#4:マウント・ヴィーダー カベルネ・ソーヴィニヨン(RP92)
「マウント・グレイヴ・ヴィンヤードは標高は約430~550㍍なので、霧が降りてくる位置より上にあり、まだ寒いうちから日差しを受けるので、フレーヴァーの生育が早く始まります」とクリスさん。#3のメルローはパワーと凝縮感もあり、#4のカベルネはブレンドタイプで、味わいはしっかりしていますが、柔らかいタンニンなので口中スムース
日本未発売


カーディナル
ナパ・ヴァレーのいろいろなアぺラシオンをブレンドしたのがカーディナル。様々な特徴を持つワインを、ヴィンテージの特徴を生かしながら、層を重ねるように深みのあるスタイルに造り上げています。クリスさんは「オーケストラには管楽器、弦楽器等、いろいろなパートがありますが、ひとつにまとまっています。また、素晴らしいオーケストラならバイオリンに注力しようと思えばそれもできます。カーディナルも同じで、ハウエル・マウンテンに注力すればそれがどのようなワインかが理解できるし、全体として何かが突出しているのではなく、バランスが取れています」と解説。2012年は素晴らしいVTだったので、7つのアぺラシオン(マウント・ヴィーダー、ハウエル・マウンテン、スタッグス・リープ、スプリング・マウンテン、セント・ヘレナ、ヨントヴィル、ダイヤモンド・マウンテン)をブレンドしたそうですが、彼の芸術性が試される特徴的なワインのひとつです。
カーディナル2012(RP98)、輸入元:ラ・ラングドシェン、参考小売価格:45,000円(税別)


ロコヤ
カーディナルがオーケストラなら、1995年設立のロコヤはソロのワイン。ナパ・ヴァレーの標高335~550㍍の4つの山岳部の畑のカベルネ・ソーヴィニヨンをすべて同じ醸造法で造るので、違いは場所だけ。彼のワインメイキングを表現したワインです。
山のワインの大家クリスさんは「ロコヤはコレクターのためのアイテム。理由はコレクターは購入してから長い間セラーで寝かせておくことができるからです。ロコヤの4つの違いは〝タンニンの違い〟なので、今日テイスティングした順番が力強さの順になります。アメリカでは子供が生まれたらロコヤのマウント・ヴィーダーを購入し、21歳になったら開けて楽しむことが多い」と述べていました。

#6:ロコヤ ダイヤモンド・マウンテン・ディストリクト CS(RP96)
ダイヤモンド・マウンテンはマヤカマス側の一番北側にあり、温かな場所なので、チョコレートがけのチェリー、豊潤な味わいが特徴。自社畑ではないので、購入したぶどうを使用

#7:ロコヤ スプリング・マウンテン・ディストリクト CS(RP98)
土壌が他と違い、海底が隆起した堆積土壌なので、フローラルさが特徴。オレンジや桜のような香り、赤い果実と濃い果実の香りがあり、若々しいタンニンがあります。

#8:ロコヤ ハウエル・マウンテン CS(RP99)
ラ・ホタから1.5㎞離れた自社畑キイズ・ヴィンヤーズのぶどうを使用。ここでは1994年からワイン造りをしていますが、「ナパでも1、2を争う秀逸な畑、リッチさが特徴」とクリスさん

#9:ロコヤ マウント・ヴィーダー CS(RP100)
マウント・グレイブのお隣にあり、1993年に購入した畑。山岳部の畑にしては珍しくフラットな土壌なので、クリスさんは「栽培家にとっては正確に日照量を計測しコントロールできる利点がある」とコメント。スミレやブルーベリー、力強いタンニンのストラクチャーが特徴。
ロコヤ2011 輸入元:JALUX、参考小売価格:59,000円(税別) ※2012年未リリース


ホテルオークラ『山里』でのマリアージュ体験

セミナー後は澤内恭和食調理総料理長が、事前にワインを試飲して考案してくださったメニューと合わせての贅沢なマリアージュ体験!
澤内料理長から「香りが高く、しっかりしたワインなのですが、料理との相性を考えた時、正面から組むと、前菜から和食が負けてしまうので」とのお言葉がありましたが、実際に試して、そのお言葉の裏にあった見事な工夫はとても勉強になりました。

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突出し:無花果 黒胡麻味噌 かもじ葱 鰻 豆腐もろみ漬け オクラ

無花果に和の素材の黒いゴマを使うことで重厚さが加わりました。私は登場した鰻に山椒を合わせたくて、粉山椒をお願いしたのですが、これは定番ともいえる組み合わせなので、有馬焼(山椒を使った焼き物)を考えていらした料理長は敢えて突出しでの山椒使用は避けていらした由。鰻の下の諸味噌は長い時間漬け込んで、水分を絞り、湯葉に近い豆腐 (チーズのような状態)にしたものだったので、2005年VTの熟成感と拮抗していました。

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凝縮感たっぷりのロコヤ2005

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お造り:鰹土佐造り 玉葱醤油 季節の芽物

料理長いわく「お造りが一番難しかった」と。刺身の場合、旨みがのっている状態がベストなのですが、今回は血合いを赤ワインに合わせるのが基本にあったので、鰹の食べ頃の旨味と血合いの鮮度の具合がポイントに。鰹を少しあぶり、桜のチップで少々燻製香をつけ、食感をきちんと残しつつ、醤油のジュレを添えて、ロコヤ2001との相性を考えた一品になりました。
玉葱醤油はコンソメをジュレにしてかつおだしと合せたものです。下準備の段階ではカツオにワインとお醤油でほんの少し味をつけています。相性の良さを引き立てるために作った白ゴマドレッシング(ゴマとかつおだしだけ)もありました。

ちなみに登場したロコヤ2001はクリスさんが栽培から醸造まで手掛けた最初のワインで、初デビューでパーカーポイント100点をゲット、14年以上の熟成を経てもまだ若さがありました!

焼き物:銀鱈有馬焼 谷中生姜 諸胡瓜 諸味噌

この印象について7月23日付のワインのこころ

で、一足先にご披露させていただきました。
銀鱈の有馬焼(実山椒を使った料理)で、山椒の実を炊き、それをたたいてのせています。旬の谷中生姜はスパイシーさ、刺激を生かした工夫。ロコヤ2001との相性は料理長の愛が実った一皿でした!

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黒毛和牛 すき焼き 野菜をロコヤ2007とカーディナル2005と合わせて
個人的にはブレンドタイプのカーディナルとの相性が好きでした。

今まで、カリフォルニアや豪州等の、濃くてアルコール度数の高いワインを和食に合わせるという試み、その相性すら十分に考えるチャンスがなかったので、とても興味深い体験になりました。
ありがとうございました!
posted by fumiko at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月07日

サーの称号を持つピーター・マイケルがソノマに興したピーター・マイケル・ワイナリー

今回は〝サー〟の称号を持つ英国人のピーター・マイケルさんが1982年にカリフォルニア・ソノマに興したピーター・マイケル・ワイナリー

。ワイン・イン・スタイルさんのサイトが詳細なので、できるだけダブらないようにしています。最初にお立ち寄りいただくと全体が理解しやすくなります。

ピーター・マイケル・ワイナリ―のワインは米国大統領の晩餐会で多用されています。ホワイトハウスの執事が英国出身でマイケル卿のワインが好きだったことから、クリントン、ブッシュ、オバマ各政権で使われており、英国にある米国大使館でも活用されています。

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レ・パヴォ(仏語で〝ポピーの花〟)は数千年前の火山活動で形成された土壌で、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドが栽培されています。ワイナリーの敷地にはワイン名の由来カリフォルニアン・ポピーが!

父親がフランスに赴任していた時、ピ-ター・マイケルさんは父親に連れられ、よくワイン産地を訪問していたそうです。好みはボルドーワイン(クラレット)であり、カリフォルニアでワイン造りをすると決めた時も、本人の夢はボルドースタイルのワインを造ることでした。レ・パヴォでそれを実現しています。

100 by 100 plan
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当日は3回目の来日となるポール・マイケルさん(ピ-ター・マイケルさんのご子息)がワイナリー& ワインについて解説。100 by 100 planが意味するものは、100年間100%家族経営を行っていくことを掲げたもので、創始者のマイケルさん、2代目ご子息ポールさん、そしてお孫さんと・・・代々家族でワイナリーを維持していきます。

ワイナリーのポリシー
ピーター・マイケルさんが仕事でシリコンヴァレーに滞在していた時、SFのレストランで仏ワイン(ボルドー)をオーダー、ところが1本目ブショネ、2本目ブショネとの事態で、仕方なく地元のワインを注文。初めて飲んだカリフォルニアワインがシャトー・モンテリーナの赤ワインでした。
ワイン造りの夢を抱き、理想の地を求め、7年間のリサーチの末、1982年、セント・ヘレナ山の西向きの麓にある土地を購入(ナイツ・ヴァレー)。1983年から植樹開始。現在、環境保全型農業で、ワイナリーの消費電力の95%はソーラーパネルで賄っています。生産している15種類のワインのうち、14種は無濾過・無清澄。ラプレ・ミディ(SB)だけはフィルター掛けをした非MLFのワイン。敷地内に醸造施設が2つあり、1つはピノ用、もう1つはCSとCH用に分けて行っています。ピーター・マイケル・ワイナリーのポリシーは、
■山岳地帯(斜面)のぶどうを使ったワイン造り 
■伝統的な醸造方法でのワイン造り
■生産量限定の希少価値の高いワイン造り
総生産量20,000ケース、フラッグシップのレ・パヴォは3,000ケース

ナイツヴァレーで造るレ・パヴォの垂直とナパで造るオー・パラディー
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画像クリックで拡大



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レ・パヴォはカベルネ・ソーヴィニヨン主体でカベルネ・フラン、メルロ、プティ・ヴェルドを使用。ブレンド比率は各ヴィンテージで若干異なります。ワインは左岸のカベルネをイメージしたワインで70%~77%使用。バランスが取れたワインでタンニン滑らか、パワフルかつエレガントで長期熟成できるワイン

同じ敷地でなぜカベルネとシャルドネが栽培できるかについて、ポールさんは「レ・パヴォは位置的に温暖であり、シャルドネが植えてある斜面は太平洋からの冷たい風の影響を直接受けるので栽培が可能」と。

#1:レ・パヴォ2006
バランスのとれた熟成具合
#2:レ・パヴォ2007
温暖な年。果実味があり、タンニンも柔らか。「長熟タイプですが若くても楽しめるワイン」とポールさん
#3:レ・パヴォ2008
2007年ヴィンテージは剪定にもかなり気を使ったヴィンテージ 
#4:レ・パヴォ2009
「良年で 2007年に似ています。07年よりタンニンもしっかりあり、長熟に向くヴィンテージ」とポールさん 
#5:レ・パヴォ2011
冷涼で難しい年。涼しいなかで、どれだけぶどうを熟させることができるかを示したヴィンテージ

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#6:オー・パラディー2011
2009年にオークヴィル・アペレーション東側の山間に土地を購入、ボルドー品種を植えています。画像の左がオークヴィルの土壌、鉄分を含んでいます。大きな岩が多い畑だったので、岩を砕き畑を整地。ナパでは雨水を貯めて灌漑用の池も作っています。右はナイツ・ヴァレーで、ともに火山性土壌です。

ナイツ・ヴァレーに特化していたピーター・マイケル・ワイナリーがナパにぶどう畑を購入した理由について、「ナイツ・ヴァレーからナパまでは車で15分程度であり、毎日畑作業をしている間、ナパは絶えず目の前にありました。いつもナパの話を耳にしていましたので、純粋にナパでワインが造りたいと思ったからです」とポールさん

プレスランチで供出された4本
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#1:ラプレ・ミディ2013
レ・パヴォの敷地内にあるシングル・ヴィンヤード。当初はロワール的な造りをしていましたが、近年、セミヨンをブレンドしたボルドースタイルに変わっています。素直で飲みやすい点が魅力
#2:マ・ベル・フィーユ2012
すべての畑のなかで標高が一番高い600m、霧が広がる高さより上なので、霧に覆われることもなく、日照度もあるのでワインにはトロピカルフルーツのニュアンスも。シャルドネ100%
#3:ル・カプリース2012
仏語で変わり者、気まぐれの意味があるカプリース。ピノ・ノワール100%で、標高300m~450mに位置する畑から産出
#4:レスプリ・デ・パヴォ2011
火山性土壌(流紋岩)で、根が地中深くにまで伸びています。最善のクローンのカベルネ、メルロ、プティ・ヴェルドのブレンド

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シェフからの可愛らしい一皿

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様々なビーツの調べ ヤギチーズと松の実と共に

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真鱈のペルシャード 具たくさんのスープ仕立て

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ワインのサービスは森覚シェフソムリエが担当してくださいました。

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仔羊のスパイスとの出会い 林檎とセロリで香り豊かに

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レモンのプリズム メレンゲとシナモンで引き立てて

ワインについてのお問い合わせはワイン・イン・スタイル ℡03-5212-2271
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2015年03月05日

カリフォルニア研修ツアー2014 ~ソノマからサンフランシスコまで(最終回) ~

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カリフォルニアワインテイスティング2015ですが、2日の大阪会場には約600名、4日の東京会場には1,000名弱の参加がありました。多くの店舗のエントリーに期待したいです。

ラストの訪問はソノマ・カウンティ
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最終日、5日目はソノマ・カウンティ・ヴィントナーズ

の合同テイスティングからスタートしました。同協会は1944年に創立、現在200名以上のメンバーが加盟しています。この日参加のワイナリー(楽しみにしていたアイアンホースは欠席)は16でした。


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Alexander Valley Vineyards/Cattleya ・ Shared Notes/Chateau St. Jean/Dutton Goldfield Winery/Ferrari Carano/Flowers Vineyard and Winery/Francis Ford Coppola Winery/Keller Estate/Kunde/Laurel Glen Vineyard/Migration ・ Decoy/Pedroncelli Winery/Ramey Wine Cellars/Rodney Strong Vineyards/Sivas Sonoma ・ Don & Sons/Silver Oak ・ Twomey Cellars
Iron Horse Vineyard (欠席)


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品の良いシャルドネとピノ・ノワール
エステート・ディレクターのグレッグさんから「来年、IPOBのメンバーと日本に行くよ」とのお話が。今年に入って4月中旬の具体的な日程も決まりました。IPOBはピノ・ノワールとシャルドネに特化し、バランスを重視しています。10月のワインのこころ

に書きましたので参考にしていただければ嬉しいです。

すべてに満足、さすがのケンダル・ジャクソン
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ケンダル・ジャクソン

は1982年に故ジェス・ジャクソンさんが設立したワイナリー

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ランチにはジャクソン・エステートのヴィオニエとシラーが登場、数量限定のプレミアムワイン

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テーブルセッティングやお花のアレンジも素敵!

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一週間に4回だけ焼くスペシャルブレッド
カベルネの果皮を挽いて小麦粉に混ぜ込んだポリフェノールたっぷりのパン

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最後の晩餐ならぬツアーメンバーとの最後のランチ


地産地消をモットーにしたメニュー
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トマトは同ワイナリーにとって特別な作物です。きっかけは初代シェフとジェスさんが「何か面白いことをしよう」ということから始まりましたが、これはジェスさんの幼少時代の思い出とつながっているそうです。

トマトの植樹から18年、今では毎年9月にトマトフェスティバルも開催され、2500名以上の参加があるとのこと。トマトの数はなんと175種類、すべて種から栽培していて、種はワイナリーでも販売しています。

南カリフォルニアの冷涼なエリアに位置するアリソン・ヒルズ・ヴィンヤードはコート・デュ・ローヌに似た地形で、砂利の多い砂質ロームの土壌から豊かな酸を備えたぶどうが収穫できます。トマトのフレッシュなジューシーさとヴィオニエの青さがうまく調和していました。

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16,000エーカーの土地の3分の2は自然をそのままに残しています。
メインに出たラムも飼育場で育てたもので、ジューシーで柔らか、絶品。ソースは15年熟成させたバルサミコを使っていました。シラーも同じくアリソン・ヒルズ・ヴィンヤードで、果実ではブラックチェリーやカシス、スパイス系では黒胡椒や甘草の要素を感じました。スペシャルなゲストだけに出すシラー、嬉しいことです。

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シェフとパティシエのご両人、用意された食材は朝ガーデンから摘んだばかりで超フレッシュ!

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伝統的なアーモンドアップルタルト、シャルドネのキャラメルソースとホイップクリームはローズマリー。ここで使われたリンゴは16年前に植えられたものとか。今回ヘーゼルナッツだけが自家製ではなかったのですが、99.9%地産地消、素晴らしいです!


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案内役はワイン・エデュケーターのぺドロ・ラスクさん、笑顔がとってもイイです。
後方の卵型発酵タンクはテイスティングルームの訪問者に供出するワイン造りに使っています。今ツアーでは何軒かのワイナリーで卵型タンクを見かけました。タンク内の対流が良いこと、空気の微量な入り具合が木樽とは違う意味で効果があることが利点とか。容器自体の寿命は10年くらいだそうです。

前回のブログで触れたサステイナブルについて、ジャクソン・ファミリーでも熱心に取り組んでいます。ワイナリーの屋根はソーラーパネルです。これは自動車メーカーのテスラ製で、大きなバッテリーでチャージさせた電気はワイナリー全体に回しています。干ばつが続くカリフォルニアの目下の問題は水資源。水の再利用を含む同ワイナリーの地球環境への取り組み

はワインのこころで紹介しました。

自社樽がもたらす効果
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ランチとは別に供出された同ワイナリーの売れ筋ワインたち
なかでも、右から2本目の『ヴィントナーズ・シャルドネ』は米国で22年間連続売上のトップを誇っています。日本ではエノテカが輸入(2800円・税別)しています。

ケンダルジャクソンではフレンチ、アメリカンそれとハンガリアンのオークを使用しています。品質の良いワインがリーズナブル価格で出せる理由は「自社で樽工場を持っているから」とペドロさん
フランスにある工場で、樽の木材を購入し、ケンダル・ジャクソン独自に製樽。内部の焼き加減については200通りもあるとか、びっくり!


サンプリングヴィンヤード&野菜ガーデン
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28のぶどう品種が植えられ、仕立て方の違いの工夫もしています。

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ウェザーステーションの機器で風の向きや風力、温度を観測

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フルーツゾーンの温度や湿度、地表の温度や地表から6フィート下の湿度の観測等も、5分ごとにヴィンヤードマネージャーにデータが送信されているそうです。

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ぶどうから連想できる植物のコーナー。たとえばシャルドネの場合、パイナップルセージが植えてあり、香りのレッスをすることができます。ケンダル・ジャクソン型学習ヴィンヤード


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ワイナリーの庭や畑すべてがサステイナブルかオーガニックです。セントラル・ヴァレーではぶどうだけでなく、多くの作物を生産しているエリアなので、ケンダル・ジャクソンでは知恵を生かし、それらをサポートしています。


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ケンダル・ジャクソンの野菜ガーデン担当のタッカー・テーラーさんは「収穫した作物はワイナリーだけでなく、サンフランシスコのトップレストランにも出荷しています。世界中の珍しい作物を持ってきて栽培していますが、フランスで見つけたオイスターリーフ(スコットランド産/噛んでいるとオイスターの味がする植物)やアフリカの海岸沿いで栽培されているアイスプラント(塩分を含み、ダイヤモンドのようにキラキラ光っているのが特徴)などもあります」と解説。手の上にあるのがアイスプラント

故ジェス・ジャクソンさんは畑もぶどうも動植物も、すべてバランス良く生かすことを大事にしていたようです。その教えはファミリー経営の同ワイナリーで正しく伝承されていることを感じました。素晴らしい時間でした。


フィリ―タイムはサンフランシスコ
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サンフランシスコの青い空、フェリービルディングの看板時計


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ホテルはThe Warwick Hotel San Francisco
お部屋は少し狭かったですが移動にはとても便利

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ホテル内のアヴェリーン・レストランはスタッフの対応も丁寧、サラダにも気遣いがありました。


サンフランシスコのおすすめスポット
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宿泊したホテルから数分のところにはナパバレー・ワイナリー・エクスチェンジ



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丁寧な接客の日本人スタッフ岩元美度里さんとカリフォルニアワインの生き字引ドン・ジレットさん
現地で頑張るヤマトナデシコとして岩元さんを紹介したワインのこころ

もご覧ください。

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穏やかなサンフランシスコ湾とアルカトラズ島

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8年ぶりにフェリービルディングにあるワインショップワインマークチャント


購入したワインはそのまま、隣接しているバーに持ち込むことができます!


和の世界が楽しめるPabu IZAKAYA
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リストには80種類ほどの日本酒が載っています。冷酒中心ですが熱燗もあります。ワインは50種類、グラスワインは14~15種類

帰国後、産経EXの食ぺージで西海岸で活躍する日本人を取り上げ、ジャパニーズマインドのタイトルでご紹介しました。その1つがPubu IZAKAYA

です。2014年6月にオープンしたばかりの超人気店、予約は必須です。
私は自由行動日に関西組の優秀店、京都The door

の溝口店長と出かけました。唯一の日本人ソムリエール矢冨さんのホスピタリティーで心地良い時間を過ごすことができました。

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同店の人気メニュー〝魚介しゃぶしゃぶ(左)〟
富永シェフと矢冨ソムリエールから嬉しいサプライズ〝柚子風味のカクテル〟
和柑橘の香りと味わい最高


サンフランシスコ国際空港で
2014年の優秀店の皆さま、お疲れ様でした!
1週間の元気ツアーも無事完了、関西組、関東組もいよいよお別れです。

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関西組は溝口さんが見つからず・・・

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東京組の今後ますますのカリフォルニアワイン拡売、期待されていますよ!


ジャパニーズマインド番外編
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番外編として、日本在住でカリフォルニアワイン造りをしているワインライフ(株)の杉本隆英社長(愛称Napaさん)にインタヴューしたコラム(ワインのこころ)

を載せておきます。


カリフォルニアワインテイスティング2015から(東京会場
50あまりの輸入元が参加した昨日4日の会場で、頑張っている日本人醸造家にフォーカス

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日本人醸造家の中村倫久(のりひさ)さんが造る『ノリア(スペイン語で水車の意味)』、ワインは2アイテム、シャルドネ2013とピノ・ノワール2012です。初ヴィンテージは2010年。サンフランシスコのホテル日航に赴任し、現地でカリフォルニアワインに魅了された彼は醸造家を目指して退職。UCデービス校で学びながらナパのワイナリーで働き、卒業後は著名な醸造家のもとで多くを体験

中村さんの原点ともいえるワインについて伺ってみました、「16年目、父の容体が悪化し、病院に駆けつけました。幸いなことに一命は取り留めたので、家族一同ホッとしました。その後、レストランで父の病状回復を祝い、ワインで祝杯をあげました。そのお店で飲んだエシェゾーがこころに深く残りました。ドメーヌやヴィンテージは覚えていませんが、そのエシェゾーの味わいがワインの原点です」とおっしゃっていました。中村さんのワイン造りのコンセプトは日本食に合うワインです。アルコール度数は共に14.2%あるのですが、口中でそれが気にならず、こころに優しく浸透してくる味わいです。


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輸入元デプトプランイング扱いのマボロシ・ワイン・エステートは日本人の和市(きさいち)友宏さんが1999年に興したワイナリーです。過去2回ほどインタビューしたことがありますが、凝縮した果実味と繊細さを備えたピノ・ノワールが印象的。ココだけの話ですが、近い将来、和市さんが造る〝Maboroshi〟スパークリングが登場予定とのこと!


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その和市さんがシンセサイザーの喜多郎さんのニューアルバム『ファイナルコール』の発売を記念してコラボしたスペシャルキュヴェが『KITARO ファイナル・コール・ノース・コースト ブリュット(参考価格6,000円)』、比率はシャルドネ60%、ピノ・ノワール40%、シャンパーニュ方式、メンドシーノのぶどうから造っています。輸入元は横浜君嶋屋です。

ふたりのご縁はカリフォルニアのセバストポールに住む和市さんのご近所に喜多郎さんがいらしたとか。このスパークリングは気泡繊細で口中クリーミー。白い花や白桃のニュアンス、バランスがとても良いです。和市さんの初泡ものがコレであればリリース予定のスパークリングが待ち遠しいです。


最後に・・・ワインインスティテュートの堀賢一日本代表、同所の松井花織さま、そして近藤さをりさま、大変お世話になりました。、2015年のプロモーションがより活発な動きになりますことを願っております。感謝を込めて!!

posted by fumiko at 22:23| Comment(2) | TrackBack(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月01日

カリフォルニア研修ツアー2014 ~ケイン・ヴィンヤードからブラック・スタリオンまで(5) ~

首都圏&関西圏のレストランを対象に、4月&5月の2か月間行われる〝カリフォルニア・バイ・ザ・グラス プロモーション〟。その一環であるカリフォルニアワインテイステイング2015が、明日2日には大阪で、4日には東京で開かれます。

このプロモーションで最優秀店に選ばれると、主催のワインインスティテュート(カリフォルニアワイン協会)から内容もりだくさんの〝カリフォルニア研修ツアー〟がプレゼントされます。拙ブログではカリフォルニア・ドリーミング・ワインツアー

のカテゴリーに昨年の同行取材報告を載せています。これは4日目のリポートになります。エントリーなさる方々のやる気の一助、参考になれば嬉しいです。

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カリフォルニア研修4日目はナパの青い空に浮かぶ気球を見ながら移動

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午前中の訪問はケイン・ヴィンヤード&ワイナリー(ケイン)


ワインメーカー&ジェネラル・マネージャーのクリストファー・ハウエルさんの案内で山登りを兼ねたヴィンヤード散策。当日の平地の外気は18度、山地は25度、日照度の強さを感じます。


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収穫は9月第2週からスタートした由。画像の区画(カベルネ)もまもなくです!

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運動した後はワイナリーに戻り、ナパヴァレーについて学習しました。

ナパヴァレーはロスから579km、サンフランシスコから77km、太平洋から58kmの所にあります。広さはボルドーの8分の1程度。ナパヴァレー・ヴィンナーズ(NVV)のメンバーの78%は年間生産量10,000ケース以下とのことですが、ケインは15,000ケース。ナパヴァレーのワイン生産者の95%は家族経営です。

AVAの標高を見ると、ヴァレー・フロア(平坦地)は0~214m。ケインのクリストフさんは「欧州のワイン産地は斜面が多いのですが、カリフォルニアのヴァレー・フロアでぶどう栽培ができるのは収穫期に雨が降らないからです」とコメントしていました。スプリングマウンテン地区(海抜186m~806m)にあるケインの主要ぶどう品種はCS、CF、ME、ジンファンデル。ヴァレー・フロアの『ケイン・ファイブ』と斜面側の『ケイン・コンセプト』の2タイプを生産しています。

20ワイナリーが参加したナパ・ヴァレー合同試飲会
ワインインスティテュートが行う試飲会で馴染のあるワイナリーが数多く集合していました。
BRAND Napa Valley / Cain Vineyard & Winery / Corison Winery / Dariosh / Gallica / Honig Vineyard & Winery / Long Meadow Ranch Winery / PEJU / Pine Ridge Vineyards / Raymond Vineyards / Schramsberg Vineyards / Signorello Estate / Silenus Winery / Silver Oak Cellars / Spring Mountain Vineyards / Swanson Vineyards / TEXTBOOK / Twomey Cellars / Viadar Vineyards Winery / VinRoc Wine Caves


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『ダリオッシュ』のオーナー、ダリオッシュ・ハレディさんとも再会! 
イラン生まれの彼はロスでスーパーマーケットを経営し、事業拡大に成功した後、1997年に念願だったワインビジネスに参入。2004年に完成したゲストセンターは古代ペルシャ王朝をイメージした建造物で、力が入った豪華版。ここでの 試飲はグラスの底が見えない深い紅色で凝縮感があり、余韻の長いCSとアロマ豊かでスパイシーなヴィオニエ。後者に関して、「ローヌとは異なる個性」とハレディさん。


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『スプリング・マウンテン・ヴィンヤード』のディレクター、ケン・スコッティ・バーバーさんとも再会
会場内で一番気になったワインがボルドーブレンドの『Elivette2009』、まだまだ寝かせて置きたいワインですが、上品で厚みがあり、後ろ髪惹かれる味わい

ヴィアダー、コリソン、シルバー・オーク、カリフォルニアの泡の第一人者シュラムス・バーグなど、ナパワインの安定したバランスの良さを再認識。2004年創業のテキストブックもユニークでした。


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研修ツアーも後半ということで、参加メンバーの表情にもゆとりを感じます!


ガロが所有するウィリアム・ヒルでランチ
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農業に従事していた家系のウィリアム・ヒル(オクラホマ出身)はスタンフォード大学を出てカリフォルニアに。ナパでの職場が農地をぶどう畑にする会社だったことから、土壌や日照度、適地適品種等について学び、自らのワイナリー『ウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリー』を起ち上げることを決意。1978年に元牧場だった土地100エーカーを購入します。決め手になったのは貧しい土壌、高地、涼しいエリア(海から10マイル)の3点。南西向きなので長い日照度も得られます。主要品種はCS、CF、ME、PV、マルベック。ワイナリーの運営も順調でしたが、ヒルさんには農業に戻りたいとの思いがあり、1992年にワイナリーを売却。何人かのオーナーを経て、2007年にE. & J. ガロ社が所有者になりました(現在140エーカー)


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ウィリアム・ヒル独自のフレンチオークは265リットル
「なぜこの大きさに」との質問に「試行錯誤の結果、コスト的に一番効率が良い」とのお返事。ちなみに一樽の価格はフレンチオークで1,200ドル、アメリカンオークでは300~500ドルほどです。ゆえにフレンチオークは高級路線に、安価なワインはアメリカンとフレンチを併用して使うとのこと


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何度おかわりしたか、カリフォルニアの野菜は本当に美味!

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ワインインスティテュート副会長のリンズィ・ギャラガーさん(前列左から2人目)を囲んで


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ツアー開始後、初のメンバー全員集合写真

カリフォルニアの概要とサステイナブルについて
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ランチ後はギャラガー副会長がカリフォルニアの概要についてレクチャー

■カリフォルニアは全米のワイン生産量の90%を占め、一国としてとらえるならフランス・イタリア・スペインの3か国に次いで4番目。生産者は環境や歴史、革新、技術面等すべてをワインの生産に応用しています。
■カリフォルニアのぶどう栽培面積は23万1000ha、5,900以上のぶどう栽培農家があり、栽培されている品種は110に及びます。
■カリフォルニア全域には100を超える微気候fが存在し、58の全カウンティのうち、50のカウンティでぶどう栽培を行っています。
■アメリカ合衆国のワインの輸出量の90%はカリフォルニア産で、現在125か国以上に輸出。日本は第3位の市場で、金額ベースでは110億円になります。

環境保全型ワイン生産
サステイナブルのプログラムを担当したのはアリソン・ジョルダンさんで、1993年に福島県の小学校で1年間英語を教えた経験のある方でした。

サステイナブルの定義付けができたのは2000年のことで、ぶどう栽培者の多くが家族経営なので、次世代までつなげていくことを考えるとサステイナブルへの取り組みは重要です。それは結果として、カリフォルニアワインの品質向上にも反映していきます。カリフォルニア州は世界でも環境保全に厳しい州になっていて、2010年には第三者機関による認証制度もできました。

9月の訪問時、ギャラガー副会長が、「今、皆さんにお話している内容はまもなくサイトにアップします」とおっしゃっていました。このページ

がそうです。
3項目の『環境保全型ワイン生産(環境保護への決意)』をクリックしていただくと、サステイナブル、有機栽培(オーガニック)、バイオディナミの違いや、どのワイナ―のどの畑が認証を取得しているかがわかります。

カリフォルニアのワイン業界は環境保全とその透明性について強い決意をもち、自己採点法や認証プログラムを普及させています。カリフォルニア・サステイナブル・ワイングローイング・アライアンス(CSWA)、カリフォルニア環境保全型ワイン生産認証(CCSW)、地域プログラムと認証についても、Green Programsをクリックすると載っていますので、大いに活用できます。価値あるページだと思います!


ナパ最後の訪問はブラック・スタリオン
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ワイナリーの名を冠する美形ブラック・スタリオン(黒い牡馬)
1950年代、有名な乗馬場だったので、このように命名されたそうです。

デリカート・ファミリー・ヴィンヤード(DFV)のプレミアムナパワイナリー
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副社長のディビッド・デボアさんのお出迎え

ナパヴァレーの中心にある『ブラック・スタリオン・ワイナリー』は2010年5月にインデリカート家に買収されたプレミアムナパワイナリーで、インデリカート・ブランドの1つです。

イタリア移民シチリア出身のガスペアー・インデリカートは1912年に単身NYにわたり、その後、カリフォルニアでワイン造りの道を志します。サクラメントに近いローダイに初めてぶどう畑を購入。1924年のことなので、2014年はちょうど〝90年の記念年〟でした。
カリフォルニアのぶどう栽培やワイン造りのパイオニア的存在であるDFVは、現在、カリフォルニアワインのトップ10にランクされています。輸出に関しては4番目で、世界68カ国に出荷しています。〝量より質〟を重視し、価格帯によって様々なタイプのワインを生産しています。


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デボア副社長と案内役ワイン・エデュケーターのジョシュ・ウィードさん(前列中央)を交えて


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4,000個の樽が並ぶ壮観な貯蔵庫。樽業者は7~8で、メインとなるのはフランソワ・フレールとタランソー。基本的な焼き加減はミディアム・プラス


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アメリカ人によくわかるようにとの配慮からオーク樽の単位はガロン(=3.785リットル)表示。今ツアーでガロンを使っていたワイナリーはブラック・スタリオンだけ


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エステート前にあるぶどう畑には16品種が植えられています。ここは気候や土壌にどの品種が適合するか、および訪問者に実際に品種を味わってもらうことを目的にした実験的な畑です。DFVにとって重要な品種のひとつがジンファンデル。CSやシラーのように果皮が厚くない分、タンニンも穏やか


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DFVのキーとなる畑はローダイ、モントレー、ソノマ&ナパの4つです。
右は『ナーリー・ヘッド オールド・ヴァイン・ジンファンデル2012』で、創始者インデリカートがカリフォルニアで最初に購入したローダイの畑の古樹のジンファンデルから生産。アメリカで最も売れているアイテムで、リーズナブルな価格(輸入元モトックス

/1,950円)も魅力

左の『デリカート・ファミリー・ヴィンヤーズ オールド・ヴァイン・ジンファンデル2012(右)』はアサヒビール

/1,370円)扱いで、ノン・オークのフレンドリーなタイプ。メインの畑はローダイで、モントレーの畑のぶどうも使っています。同社のサイトにはDFVの説明が詳しく載っています。


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樽に囲まれながらのディナータイム

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アンゴス牛ショートリブのワイン煮にはナパヴァレーCS2011&リミテッド・リリース ナパヴァレー・シラー2012を合わせて


ナパでの温かなおもてなしにこころから感謝いたします。
参加者一同、ナパでのすべての日程を終え、心地良い香りがするMacArthur Place Hotel & Spa(ソノマ)に向かいました。翌日のソンマ・カウンティ・ヴィントナーズのプログラムを体験すると全プログラムが完了です!(次回は最終回)

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2015年01月15日

カリフォルニア研修ツアー2014 ~リヴァモアのウェンテからナパのモンダヴィまで(4) ~

カリフォルニア・ドリーミング・ワインツアー2014


ワイナリー訪問3日目は、モントレーから移動してサンフランシスコ・ベイエリアの内陸に位置するリヴァモア・ヴァレーのウェンテ・ファミリー・エステート(以後ウェンテ)から始まりました。

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130年以上の歴史があるウェンテ

はリヴァモア・ヴァレーに2000エーカー(1エーカー=0.4㌶)、モントレー郡のアロヨ・セコに1000エーカーの計3000エーカーの自社畑を所有。創始者カール・ウェンテさんから続く家族経営で、今は4代目と5代目が活躍中です。
禁酒法の時代には教会でのミサ用ワインも造っていましたが、それだけでは生計が成り立たないので、2代目は牧場経営に着手、現在でもウェンテ・ビーフとして知られています。飼育している牛には1日1本のワインを飲ませているとのこと。柔らかくて香り高い肉質はワインの効用!

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4代目のキャロラインさんは食とワインの大事さに注目し、1986年にワイナリー内にレストランをオープンしました。5代目のカールさんはキャロラインさんの甥っ子でワインメーカー。すべて自社畑から産出するワインと同様、食材も畑からテーブルに直結する地産地消型、それがキャロラインさんの考え方です。

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レストランの遠景、敷地内にはグレッグ・ノーマンがデザインしたゴルフコースや170名が着席で楽しめるコンサートホールを併設。キャロラインさんは「ワインだけではなく、来訪者に多くの体験をしてもらうことでワインカントリーのライフスタイルを満喫して欲しい」と語っていました。

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キャロラインさんの曽祖父がドイツからリヴァモア・ヴァレーに移住。祖父(2代目)と親族がカリファルニアで初めてシャルドネCHのワインを発売(1936年ヴィンテージ) しました。「CH は祖父がフランスから持ち帰った苗木を増やしたもので〝ウェンテ・クローン〟と呼ばれています。カリフォルニアのワイナリーの80%がウェンテ・クローンを使っています」とキャロラインさん。父親(3代目)がアロヨ・セコにぶどう畑を購入したので、アロヨ・セコとリヴァモア・ヴァレーの2AVAでワインを生産。地球への配慮からサステイナブル(環境保全型)農法を導入しています。

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フレンチオークがメインで、アメリカンと東欧のオークの計3タイプを使用。毎年1万樽を購入し、2~2.5年ごとに買い替えているとのこと。樽貯蔵庫には25000樽が寝ています。

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曽祖父がドイツから持ってきた大樽は貴重な遺産

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カーヴは年間10~13度、自然のクーラー
内部の塗装はベースの砂質土壌に吹付けしたものとか

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古き良き時代を感じさせるカーヴの外観

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野菜、香草、草花など、一年を通して季節に合わせた種類を育て、自家製オリーブオイルも生産。益虫や蜂との共存で畑を健全に保っています。

フードフレンドリーなワインたち
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entwineエントワインはCATVの食チャンネル〝フードネットワーク〟とウェンテが組み、〝食事と合わせて〟をコンセプトに造り上げたアイテム。10年間で米国人に食の教育をしてきたフードネットワークの実績を生かし、ワインでも同様の試みをしています。具体的には同チャンネルのエグゼクティブシェフが年に4回ワイナリーに来て、ワインメーカーのカールさんと共同でトライアル。アルコール度数も程よく、料理に合わせやすいワインを開発しています。エントワインの日本での輸入元は日酒販

です。

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左から
■ピノ・グリージョPG2012・・・グレープフルーツやリンゴ、爽快な酸、一般的なピノ・グリより重厚感、ボディがあるのはシェフが求めるスタイル、牡蠣や魚貝類と合わせて
■シャルドネ2012・・・60%ステンレス発酵、40%樽発酵のワインをブレンド 重すぎず、軽すぎずのミディアムボディ、フルーティでバランス良 
■メルロ2011・・・2~3空樽使用、ドライフラワー、柔らかなタンニン、芳醇な味わい
■カベルネ・ソーヴィニヨン2011・・・カシス、ダークチェリー、ヴァニラ、燻香、紅茶、ハーブ等、複雑味あり

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こちらのウェンテブランドは明治屋

扱い。両社ともに業界では最古参。「日本でもっと知って欲しいワイン」だと思いました。全体の6割が白ワイン、4割が赤ワインですが、特に〝ウェンテ・クローン〟のシャルドネはアイコンワインにふさわしい存在感があります。

■SBルイ・メル・リヴァモア・ヴァレー2013・・・SB95%+SE5%、1932年に祖父と親族が初めて〝SB〟と明記してワインをリリース。小石を多く含んだ土壌由来のキレの良い酸、グレープフルーツ等の柑橘系果実、ミネラル感
■CHモーニング・フォグ・リヴァモア・ヴァレー2013・・・CH100%(ウェンテ・クローン)、樽発酵60%とステンレス発酵40%、MLF有 、蜜を含んだサンフジ、ヴァニラ、フルボディー&複雑味あり
■CHリヴァ・ランチ・アロヨ・セコ2013・・・樽発酵90%とステンレス発酵10%、アロマ豊かでエレガント、パイナップル等のトロピカルニュアンスも、MLF有、マイベストワイン!

ランチで
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チャールズ・ウェットモアの名を冠したCS。「リヴァモア・ヴァレーのカベルネは熟したニュアンスが特徴」とキャロラインさん。ウェットモアはカリフォルニア初の使節団団長で、彼が興したワイナリーをウェンテ・ファミリーが購入、現在に至っています。

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自営農場のポークチャップ、すごいボリューム!

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ウェンテのトップレンジのCS、生産量300ケース、日本ではJute Inc.が輸入しています。


すべての面において伝統に裏打ちされた家族の強い自信が伝わってきたウェンテ・ファミリー・エステート。今回の訪問ではリーズナブルな価格、身体に優しいアルコール度数、食事に合わせて楽しめるワインが多い点が気に入りました。


お気に入りのソノマのホテル
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ディナー前にソノマのマックアーサー・パレスホテル&スパ

にチェック・イン、ツアー初の連泊、お部屋を開けた途端、心地よい香りが・・・こころ癒されたホテル、ネット環境も迅速でした!

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清潔感のある施設の小道を抜けてお部屋に

ナパのロバート・モンダヴィ・ワイナリー

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ナパ・ヴァレーは東西1.6~8㎞、南北約50㎞の細長い地形で、サン・パブロ湾に近い南部は海風の影響を受けて涼しく、ヴァレーを北上につれ、海の影響は少なくなります。1966年創業のロバート・モンダヴィ・ワイナリー

はカリフォルニアワイン業界のパイオニア的存在で、多大な貢献をしてきました。2008年に創始者モンダヴィさんは逝去、現在はコンステレーションのグループに属しています。ワイナリーのあるオークヴィルはナパの真ん中に位置し、銘醸畑ト・カロン・ヴィンヤード(180㌶)はワイナリーの背後にあります。・カベルネソーヴィニヨンCS(全体の70%)、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、メルロ、マルベック、ソーヴィニヨン・ブランSB、セミヨンが植樹されていて、畑にはオーパス・ワン用のぶどう樹もあります。ここで造られるCSは超高価(約35万円/トン)とか、SBも秀逸です。これら2品種は故モンダヴィさんが特に愛したぶどうです。

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クローン、台木、植樹年等、細かな情報を記載

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今年は干ばつの影響で例年より早い収穫でした。SB、PNからスタートし、10月初旬にはすべてが終わる予定(訪問は2004年9月10日)。収穫が一番遅い品種はカベルネ・ソーヴィニヨンで、過去一番早かった収穫年は1984年で9月14日には終了していたとのことです。


ト・カロン・ヴィンヤードで
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ウェルカム・ドリンクはロゼ・ワイン(CS60%、ME37%、CF3%のブレンド)、アセロラ色、柑橘系果実のアロマ、口中を洗い流す酸、イチゴやサクランボのニュアンス。バーベキューにお薦め

5時、6時から収穫作業をしている最中、我々のもとに駆けつけてくださったのがシニア・ワインメーカーのリチャード・アーノルドさん(画像なし)で、今回の案内役ワイン・エデュケーターのスーザン・フレンチさんのご主人。おふたり合わせるとモンダヴィでの勤務は70年間。アーノルドさんにとって2014年は記念すべき40回目の収穫とのことでした

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醸造施設内の階段脇に飾ってあったバッカスとモンダヴィさんの壁画

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カベルネの収穫はこれからなのでタンクは空、収穫時期には39基のタンクがフル稼働します。

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案内役スーザン・フレンチさんと醸造所でカベルネを味見、種は噛んでパリパリした感じ

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壮観、出番を待つフレンチ・オーク。使用する時に樽の胴体中央部分に赤ワインを塗りますが、それは注ぎ足しの時にワインがこぼれることがあるので汚れ隠しの工夫

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収穫して1年目の樽は平積みにして並べます。2年目からの樽は別の部屋で保存。ナパの南端にあるバレルハウスにもリザーブワインをストックしています。

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1966年の創業当初から造っているシャルドネ。100%樽発酵、100%フレンチオーク(新樽70~90%)、MLF有、引き締まった酸が特徴。「カーネロスは冷涼地なので、MLFをしても豊かな自然の酸が残ります」とスーザンさん

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ワインと食のペアリングについても早くから取り組んでいたのがロバート・モンダヴィ

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1960年代、アメリカのSBは甘口でした。欧州視察をしたロバート・モンダヴィは食事にあうドライな味わいのSBの必要性を感じ、製品化します。リリースするにあたり、〝ソーヴィニヨン・ブラン〟と表記すると甘口と勘違いされるので、〝フュメ・ブラン〟というネーミングにして発売。醸造時、一部樽を使うと燻製(フュメ)的なニュアンスが出ることに由来した命名だったようです。

(左)今回2度目のリリースとなるオークヴィル・フュメ・ブラン2012。これはロバート・モンダヴィ生誕100周年を記念して2013年にデビューしたワインです。樹齢20年ほどの樹から穫れたぶどうを使用。ワイナリーあるいはアメリカ国外でのみ販売しています。
(右)フュメ・ブラン・リザーブ2012は1970年代からト・カロン・ウヴィンヤードの古樹(最古は1945年、多くは1960年代に植樹)から造った希少ワイン。今ディナーのための特別供出。口中に広がる凝縮感、ミネラル、優しく包み込むような長い余韻。モンダヴィさんの思いがこもったSBでした!

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スナッパー(フエダイの一種)のさしみ、ピクルス、水菜やチャイブを添えて
和の素材を感じさせる一品、SBのミネラルが食材の酸味とナイスマッチング

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リブアイステーキ(リブロース)、ラタトゥイユにはナパ・ヴァレーのCSリザーブ2010を合わせて
「力強いカベルネ・ソーヴィニヨンで、若い時は果実味が、熟成するにつれシダのニュアンスを感じるワインです。。リザーブワインは100%フレンチオークの新樽を使用します。100%樽熟にするのはボディのあるぶどうだからできることです」とスーザンさん。1983年生まれのお嬢さんの誕生日(30歳)にヴィンテージワインを開けてお祝いしたそうですが、ワインは見事な熟成状態だった由。長熟タイプの良きお手本といえるワイン

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マスカルポーネのアイスクリーム、リンゴのキャラメル風味、砕いたカラス麦添え
デザートワインはナパ・ヴァレー・マスカット・ドロ2013
故モンダヴィさんが〝マスカット・オブ・ゴールド〟の意味で命名、品種はマスカット・カネリ、溌剌とした酸、桃やライチ、ハチミツ、とろりとした食感でマスカルポーネとの相性良好

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「ワインカントリー料理をお出ししました」とクリス・スティルウェル・スー・シェフ
カリフォルニアで揃う食材&作られている食材を使った料理をそう表現しているそうです。

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前職はジャーナリストだったというスーザンさん、上品なマダムで素晴らしいお気遣いでした。

翌11日はナパのケイン・ヴィンヤードと合同試飲会、ウイリアム・ヒル・エステート・ワイナリー、ブラック・スタリオン・ワイナリーと、かなりハードなスケジュールが続きました。(次回で)

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2015年01月09日

カリフォルニア研修ツアー2014 ~サマーウッド、ハーン・エステートを中心に(3) ~

カリフォルニア・バイ・ザ・グラス・プロモーション2015のエントリーに向けて
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表記のプロモーションはカリフォルニアワインの生産者団体であるワインインスティテュート(本部:サンフランシスコ)が、1995年から実施しているもので、 参加レストランには覆面審査員が派遣され、顧客満足度の観点から各店舗を評価。優秀店に選ばれた10店には、カリフォルニアワイン研修旅行がプレゼントされます。

プロモーションは4月と5月の2か月間実施されますので、エントリー予定の首都圏&関西圏のレストランの皆さまはいまから、ウォーミングアップなさっていてくださいませ。
同行取材のリポートは昨10月の産経EXとブログ

で紹介していますが、後続部分については1月から随時アップしていきます。招待旅行の素晴らしさがお届けできれば嬉しいです。

パソ・ロブレスのサマーウッド・ワイナリーで
9月8日の午後はサンタ・バーバラからパソ・ロブレスに移動し、合同試飲会場のサマーウッド・ワイナリー・インに向かいました。パソ・ロブレスはPass of the Oaks のことで、オーク(樫)の木が多かったことに由来しているそうです。

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醸造責任者マウリッシオ・マーチャント(チリ出身)さんはコンチャ・イ・トロやサンタ・リタでも活躍

サマーウッド・ワイナリー・インが所有する9エーカーのぶどう畑にはシラー(3エーカー)とCS(6エーカー)を植えています。シラー畑を背景に「白ぶどうの収穫が終わり、黒ぶどうはこれからという段階です。2014年は温かな日が続いたので、ぶどうの生育が2週間くらい早まりました。2013年は2014年同様温暖、2011年は涼しかったので、年によって、ぶどうが熟すタイミング、収穫の時期は若干変わります」とマウリッシオさん
1エーカー=0.4㌶


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パソ・ロブレス・ワイン・カントリーのコミュニケーション・ディレクターのクリス・タラントさんも参加

「海から車で30分のところにパソ・ロブレスがあるので、海風が強く、気温はかなり涼しくなります。日中は暑いので、ぶどうの糖分は上がりますが、夜はかなり涼しくなるので、酸味とタンニンと糖分の均衡が取れたぶどうができます。パソ・ロブレスのワインのスタイルはフルーティーでバランスが取れていること。時としてアルコールの強さも感じますが、酸味とタンニンンがうまくつながる継ぎ目のないワインができます」とクリスさん


サマーウッド・ワイナリー・イン

は堺市で製造小売業を興したエクセル・ヒューマン・グループ(EHG)の深江今朝夫CEOが所有するB&Bで、彼が長年抱いていた夢を実現させたものです。当初、ナパやソノマでワイナリー探しをしていた深江CEOは「今後伸びる可能性があるエリア」ということで、パソ・ロブレスに注目。1998年から物件探しをして、2000年に正式に購入。パソ・ロブレスがAVAの承認を受けた1983年には約17のワイナリー、90年代には50のワイナリー、そして2000年から急激に増加。映画「サイドウエイ」の影響があったようです。リフォームしたB&Bには個性的な9ルームがあり、周囲には植樹したばかりのぶどう畑(25エーカー)が広がっています。


テイスティング会場で
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ウォ―ク・アラウンド・テイスティングにはパソ・ロブルス・ワイナリーズから10社が参加
会場となった■Summerwood の他、■Ancient Peaks Winery ■Barrel27 & McPrice Myers ■Cass Winery ■Eberle ■Hearst Ranch Winery ■J.Lohr Vineyards & Wines ■Justin Vineyards & Winery ■Peachy Canyon Winery ■Pomar Junction Vineyard & Winery

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引率の堀代表は、日本のワイン市場ではCS、PN、CHに続き、シラー等のローヌ系品種、ジンファンデルも人気があること。ナパやソノマ、サンタバーバラと比べると数量的にはまだ少ないものの、パソ・ロブレスのワインの知名度が上がってきていること、東京では毎年10月にグランド・テイスティングを行っていることについて触れました。

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セントラル・コーストは古くからジンファンデルの産地として知られています。ピーチキャニオン・ワイナリーのジンファンデル、『ウェストサイド2012』(右)に惹かれました。ユニークなキャラクターのオーナー、ダグ・ベケットさん。昼夜の温度差によるきれいな酸と凝縮したベリー系果実、なめし皮や黒系スパイス、なめらかでこなれたタンニン等、複雑味を備えたワインです。

1ヶ月後に東京で再会
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毎年恒例のグランドテイスティング@セルリアンタワーで懐かしい笑顔!
東京で改めてテイスティングしても感想は同じ、お薦めできるジンファンデルです。

サマーウッド・インでのディナー
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深江今朝夫CEOの秘書、萱間俊匡(かやま・としまさ)CFO(左から5人目)を交えて
夜が更けるにつれ、外気がどんどん下がり、心底冷えてきました。今ツアーで一番寒かったという記憶が・・・

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看板シェフのケリー・ワンガードさん
サマーウッド・ワイナリー・インについては10月のカリフォルニア特集〝米西海岸で展開されるジャパニーズ・マインド

で紹介。TVの料理対決も勝利していました。SFのお薦め店Pabu Izakayaも載せています。

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この日はセントラル・コーストの中心部に位置するラ・キンタに宿泊。清潔感がある快適スペース!


日本がナンバーワンの市場
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翌日(9日)の訪問はサンタ・ルシア・ハイランズ(以後SLH)にある『ハーン・エステート(以後ハーン)』からスタート。1970年代のSLHは寒くてぶどう栽培には向かないと言われていたエリアですが、近年、CHやPNのような冷涼産地に適したぶどう栽培をしています。
ドリーミングツアーでは毎年ハーンを訪問しています。輸入元はワイン・イン・スタイル

。輸出担当のエブリン・プール副社長から「Because they do a great job for us, Japan is a No.1 market!!」との嬉しいお言葉が。ワイナリーのメンバーはきわめて友好的、交流の密度が伝わってきました。

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栽培担当のアンディ・ミッチェルさん(中央)とエブリン副社長(右)

さらに、エブリンさんは「1979年にニッキー・ハーンがこの地を購入したので、2014 年で35周年になります。現在世代交代が進んでおり、息子フィリップは会長職、娘のキャロラインは実務を担当していますが、ここ3週間で嬉しい出来事が続きます。キャロライン・ハーンの結婚式と同じ日にハーン夫妻の金婚式があります」と。重ね重ね、おめでたいことです!

アンディさんはハーンで16年働いていますが、この間、大きく様変わりしたのが栽培するぶどう品種。当初はボルドー品種のCS、カベルネ・フラン(CF)、メルロ(ME)を植えていましたが、この地にはブルゴーニュ品種が合うことがわかり転換。現在4つの自社畑(スミスヴィンヤード、フック・ヴィンヤード、ドクターズ・ヴィンヤード、ローンオークヴィンヤード)を所有。AVAはSLHとアロヨ・セコ。全部で1100エーカーあり、うち、PNが350エーカー強、SLHでは一番大きな生産者です。

収穫期のピノ・ノワール畑で
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巨大なマシーンが実際に稼働している姿は壮観!
共同で機器を購入したり、レンタルすることはありますが、自社で4機所有するとはすごいです。

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マシーンがぶどうを収穫した後の状態、綺麗に刈られています。

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重労働! ワイナリーではピジャージュ(櫂入れ)の体験も

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前日届いたピノ・ノワールのチェック、薄すら可愛いピンク色

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貯蔵庫には1万樽、樽メーカーは5つでCHは3社(スギャン・モロー、フランソワ・フレール、メルキュレ)、PNはそれらに加えてナダリーとダルガンが入ります。

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SLHのシャルドネ2012とカリフォルニア沖で釣れたアルバコア(ツナ)のタルタルを合わせて
ローンオークヴィンヤードから穫れたCH、MLF実施、アボカドとグリーンペッパーは自園野菜。控えめな樽香、ミネラル、シルキーで舌の上に広がるねっとり感、ワインの酸がツナの脂分を洗い流してくれる印象

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SLHのピノ・ノワール2012とウオッカのソースのサーモンのサルテインボッカと合わせて
4つの自社畑のピノをブレンドして最高の畑を表現したワイン。クローンも113、115、667、777、2A、マウント・エデン、ポマール5、ジャクソン9のぶどうを使用。下記クローンのブローシャーが活用できそうです。

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ハーン・ワイナリーGSM2012と真空状態で4時間かけて低温処理したラム(モロッコ産のスパイス風味)にホワイトバルサミコのミント入ゼリーをかけて。上にある赤い色はバラの花びらのせん切。ワインはグルナッシュ主体、シラーとムールヴェードルのブレンド。双方のスパイシーさがナイスマリアージュ。スミス&フックのCSとの相性も良いと感じました。

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スミス&フックのカベルネ・ソーヴィニヨン2012(セントラルコースト)とヤギのチーズとアーモンドクッキー。ハーンではカベルネに関しては長期契約した栽培農家からぶどうを購入して生産しています。

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ワインメーカーのグレッグ・フリーマンさんは就業10年目、お好きな品種は当然ピノでした!

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ピノ・ノワールには20のクローンを使っています。「多くを使うことでブレンドの可能性が高まる」と。これはピノ・ノワールの16のクローンがどのようなワインになるかを一覧にしたブローシャーで、スワンクローンなら「beautiful bright fruit, balanced richness」というような感じです。

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ハーンに来て1年というエグゼクティブシェフのディオンJ・フォスターさん

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10月のグランドテイスティングで元気印のエブリンさんとも再会!
手にしているのはハーン・ファミリー・ワインズのルシエン、エレガントなピノです。
ハーンにとって、これからも日本市場がナンバーワンでありますように!


ツアー初のスパークリングと対面
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ホテルはポルトラ・プラザ、部屋数が多いのでホテル内を歩く時間+αが必要
フィッシャーマンズ・ワーフまで歩いていけるのは魅力、スパもあります!

ランチの後、ハーンを出発し、約1時間でモントレーへ
「モントレーは湾の沖が海溝になっていて、それが非常に深く、海底で冷たい海流が吹き上がっているために寒いです。モントレーの周囲がガスっぽいのは、夜の間に海上からの水蒸気が海風に運ばれてきたことによるものです」と堀代表から説明がありました。
 
ホテルで小休止、夕方まで自由時間の後、モントレー・カントリー・ヴィントナーズ(キム・スタムレーさんがナビゲート)のメンバー数名とのテイスティングディナーへ。カジュアルスタイルのJennini Kitchen + Wine Bar。56のワイナリーが所属しているそうです。

モントレーはぶどう栽培をしてナパに売っていた経緯がありますが、近年は販売量を減らして元詰めするところが増えています。新潮流の1つがスパークリングワインで、アルバリーニョから造るタイプもあるとのこと

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ツアーで初めてテイスティングしたスパークリング『カラッチオリ・ブリュット・キュヴェ2007』
瓶内ニ次発酵、CH60%とPN40%のブレンド、ドザージュ1.15g/L、2006年がファーストVTで現地価格は52ドル(日本未輸入)、生産量2500ケース、ワインメーカーは元ロデレール・エステートの醸造責任者。高級感あるスタイル

モントレーでは十分な試飲ができなかったことがとても残念、唯一の反省点です!
翌日は130年以上の歴史あるワイナリー『ウェンテ・ファミリー・エステート』と『ロバート・モンダヴィ・ワイナリー』を訪問予定 (次回に続きます)

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2014年10月26日

カリフォルニア研修ツアー2014 ~サンタ・バーバラを中心に(2) ~

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(C)Discover California Wines
カリフォルニア全体を見ていただいてから

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(C)Santa Barbara Vintners
セントラル・コーストにフォーカス、距離的にはロスから北に2時間、サンフランシスコから南に4時間半。ツアーはロスからソノマまで北上、連泊は1回(ソノマ)。あとは連日バスでの移動でした。

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帰国後、ワインインスティテュート日本事務所(代表:堀賢一)主催のグランドテイスティングがあり、サンタバーバラ・ヴィントナーズ(サンタ・バーバラ・ワイナリー協会)代表のモーガン・マクローリンさんが初来日。〝サンタ・バーバラの多様性〟と題するセミナーを行いました。

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堀代表は「カリフォルニアというと輸出市場ではナパやソノマが主流ですが、実は日本市場ではサンタ・バーバラのワインが人気で、最大の輸出先は日本だと言われています。これは日本にはピノ・ノワール好きな方が多いので」とあいさつ。
ブルゴーニュは2011年から3年続きで収量減、価格も高騰しています。ピノラバーさんは、この機会に、サンタ・バーバラのピノに注目なさってみてはいかがですか。


9月の現地訪問では初日がサンタ・バーバラ。口開けのセミナーがモーガン代表だったので、このブログでは東京での要点を織り交ぜつつ、まとめます。

サンタバーバラの概論
歴史:1700年代、ワインは宗教と結びつき、修道会によってミッション種が植樹されていきました。1804年に商業的なワイナリーが設立され、ワイン販売が始まりますが、1900年代初期の禁酒法の施行によりアメリカ全体が大きなダメージを受けます。1933年禁酒法が廃止され、1964年にサンタ・マリア・ヴァレーで初めて商業的なワイン生産が開始します

気候:場所によって気候は異なります。北からのカリフォルニア海流(寒流)とメキシコからの暖流がぶつかることで、大量の霧が発生。海流も複雑な流れに変わります。霧は大きな山脈がないサンタ・バーバラに最初に入り込み、その後、山脈に沿って内陸部に進行。夜間は海からの霧が谷を遡上、昼間は海に押し戻され、昼夜の日較差が生じることでワインにアクセントがつきます。

地形:非常に複雑な地域で、大陸移動によって衝突や回転、分断を繰り返し、沈降したプレートの上に位置しています。約2千万年前~4千万年前に、東太平洋海嶺(太平洋の中央海嶺)がカリフォルニアの南岸に衝突したことがサンアンドレアス断層の発端になりました。海からの大陸棚が陸の大陸棚を押し上げたことで西から東に向かって山脈が形成され、サンタ・バーバラはサン・ディエゴの北にあった陸地の一部が断片となって離れ、回転したことで今の地形になりました。

土壌:数百万年前の地殻変動によってできた土地で、畑の多くは比較的新しい堆積土壌。主要な2タイプは、粘土ローム質と砂質(水はけがよく、ミネラル分が多い。低収量の傾向)で、これらを含む50種ほどの多様な土壌があります。畑はヴァレーフロアか斜面下部の扇状地

6種類のテイスティング@東京
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画像左から#1~#6

#1:バイロン ピノ・ノワール サンタ・マリア・ヴァレー2012/ファインズ輸入 3540円(税別)
ジャクソン・ファミリー・ワインズ所有、18の異なるPNを栽培、2012年は温暖だったことでワインには厚みとボディがあり、サンタ・マリア・ヴァレーの個性を反映した凝縮した果実味と綺麗な酸も

#2:ケネス・ヴォルク・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール サンタ・マリア・ヴァレー2012/日本未輸入
2006年設立、夜間の手摘み収穫(涼しい時間の収穫により、高い酸が維持できます)、6つの畑のぶどうをブレンド、複雑味があり、フルボディ、樽はハンガリー産を使用

#3:ディアバーグ・ヴィンヤード ピノ・ノワール サンタ・マリア・ヴァレー2011/モトックス 5000円(同)
2011年ヴィンテージは冷涼年、低収量。ミズーリ州でワイン造りをしていたディアバーグさんがセントラル・コーストのサンタ・マリア・ヴァレーに移り住み、ワイン造りを開始。13の異なるPNを生産。Alc度数13.5%、15ヶ月樽熟、100%フレンチオーク(30%新樽)

#4:フェス・パーカー・ワイナリー シラー サンタ・バーバラ・カウンティ2012/ラ・ラングドシェン  3400円(同)
フェス・パーカーさんはその昔ハリウッドスターで、1950~60年代にかけて映画『デイビークロケット』で名を馳せた由。その番組のロゴをワインに使用。ホテルビジネスを手がけたあと、700エーカーの畑を入手し、サンタバーバラでワイン造りに関わっています。18か月樽熟でアメリカンオークとフレンチオークを併用(新樽60%)、シラー100%

#5:ストルプマン・ヴィンヤーズ エステイト・クローン・シラー バラード・キャニオン2012/日本未輸入
2013年10月に承認されたAVA(2012年の段階で、瓶詰め、樽熟成中だったワインもAVA表記可)。コンクリートタンクで発酵、SO2の使用はほとんど無。2012年の温暖な気候下で果実の色調は深みがあり、濃厚。綺麗な果実味も出ています。石灰質土壌から収穫したシラー100%(年によってはヴィオニエも使用/ローヌタイプ) 

#6:スター・レーン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン ハッピー・キャニオン2009/モトックス 7000円(同)
カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ等のボルドーブレンド。2009年は雨が少なく温暖な気候だったことで、ぶどうは完熟し、重厚なスタイル。20カ月樽熟成、2011年6月瓶詰

ディアバーグ/スターレーン

訪問で

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ツアー研修初日の午前中に訪問したスターレーンはディアバーグのオーナー、ジム&マリー・ディアバーグ夫妻が所有するワイナリーで、2009年に重力による醸造施設が完成しました。最高品質のピノ・ノワール&シャルドネを造るディアバーグと高品質のボルドー品種を造るスターレーンの2極スタイル

AVAについて
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(C)Santa Barbara Vintners

冒頭にある2枚目の画像、オレンジ部分がサンタ・バーバラ・カウンティで、ここには5つのAVAがあります。ワイナリー数は200超(生産量は平均1万ケース以下)、栽培しているぶどう品種は50種類で、白ぶどうはシャルドネ(CH)、黒ぶどうはピノ・ノワール(PN)がメイン、 2003年以降はボルドー系品種やシラーが増えています。太平洋に沿って長い海岸線が続き、2つの山脈(サンタ・イネズ山脈とサン・ラファエル山脈)が東西に走っているので、山脈に沿って海からの冷たい空気が内陸部に引き込まれていきます。ゆえに海の影響を受ける冷涼なエリアではシャルドネやピノ・ノワールの栽培が可能となり、内陸部の奥深くまで冷たい空気が届きにくいこともあり、それらのエリアは温暖傾向になるので、シラーやカベルネを栽培することができます。

アメリカ政府公認ぶどう栽培地域を意味し、TTB(酒類・タバコ・税取引局)によって認可されています。2012年10月現在、全米のAVAは206。ラベルにAVAを表示する場合、ワインに使われる85%以上のぶどうがその地域から産出されたものでなければなりません

5つのAVA
■サンタ・マリア・ヴァレー(1981年認定 )
最初に認可されたAVAで最大。1981年の認定後、2006年に面積拡大、2つのカウンティ(サンタ・バーバラとサン・ルイ・オビスポ)にまたがっています。海に向かって開けた地形、霧の影響で冷涼、風が強い。良質のシャルドネとピノ・ノワール、東部でシラーやピノを生産
■サンタ・イネズ・ヴァレー(1983年認定)
3つのサブAVAがあり、一番西(冷涼)にサンタ・リタ・ヒルズ(2001年) 中央にバラード・キャニオン(2013 年)、一番東(温暖)にハッピー・キャニオン・オブ・サンタ・バーバラ(2008年)

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15度のカーブでAVAのレクチャー!

■サンタ・リタ・ヒルズ(2001年認定)
2005年に名称変更(チリにも同じ名があるので、Sta. Rita.Hills に) CH、PN
■バラード・キャニオン(2013 年認定)
水はけの良い砂や粘土ローム層、シラー、グルナッシュ
■ハッピー・キャニオン・オブ・サンタ・バーバラ(2008年認定)
夏は35度、ボルドー品種CS、ME、CS、 SB

17ワイナリーが集合したテイスティング
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サンタ・バーバラの17ワイナリーがスターレーンに集合して行った合同試飲会
Star Lane/ Au Bon Climat/ Fess Parker Winery & Vineyard/ Flying Goat Cellars/ Longoria Wines Margerum Wine Company/ Martian Ranch & Vineyard/ Melville Winery/ Pali Wine Company / Pence/ Presqu'ile Winery/ Qupe/ Sandi & Domaine de la Cote/ Sevtap Winery/ Silver Wines/ Stolpman Vineyards/ William James Cellars

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日本でも人気のオー・ボン・クリマ、酸のバランスとAlc度数13.5%の落ち着いたニュアンス!

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供出ロゼは2アイテムだけでしたが、エレガントで、和食に合わせやすいタイプ
Presqu'ile Wineryのサンタ・マリア・ヴァレー・ロゼ・ピノ・ノワール2013は上質感あり

収穫作業中のワイナリーで
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スターレーン・ヴィンヤードのワインメーキングディレクター、タイラー・トーマスさんが案内役。
メンバーが味わっているのは2時から4時までのナイトハーベストで収穫したばかりのカベルネ・フラン、しっかり糖分がのっていました。

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高速の選果機の見事な作業
カベルネ・ソ-ヴィニヨンの粒が大きな黒いキャビアに見えます

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カベルネ・ソーヴィニヨンの選果後の果梗
「ボルドー品種は梗を取り除き、ブルゴーニュ品種の場合は取らない場合もある」とタイラーさん

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重力による醸造では上の階から順に作業が進んでいきます

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今年、スターレーンではボルドー&ブルゴーニュ合わせて10社の樽メーカーを使っているそうです。タイラーさんの選択理由は「安定していること。赤ワインにとってテクスチュアがカリフォルニアを表現することになるので、それを反映してくれる樽が重要」

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トップレンジ、2013年のアストラル
最終ブレンドはまだですが、アストラルには85%の自根(台木なし)ワインを使っているとのこと。土壌はフィロキセラに強い砂質ではなく、チョーク質。樹齢は16年前後

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自然光の下でカジュアルランチ! テイスティングで飲んだワインも揃っていました

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気になった『Margerum Riviera2013 San Luis Obispo County』
美しい色と爽やかな酸味が食欲そそります

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タイラーさんからの台木の説明

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スターレーン・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨン(CS)
CSの標高は500m、ソーヴィニヨン・ブランは200m程度


サンタ・バーバラは映画『サイドウェイ』の舞台になったことで、ピノ・ノワール人気に拍車がかかり、話題のエリアになりました。映画公開から今年で10年ですが、ピノ人気は一過性のものではなく、今でも安定しています。海に近い冷涼エリアから産出されるシャルドネやピノ、内陸寄りの温暖なエリアから生産されるボルドースタイルのワイン、多様な個性が詰まったサンタ・バーバラの底力を実感しました。

加えて、太陽の光を感じながら食べるランチは最高!!!
サンタ・バーバラ・ヴィントナーズの皆さま、大変お世話になりました。

この後、一行はパソ・ロブレスに移動、次回はサマーウッド・ワイナリー&インからスタートします。
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2014年10月10日

カリフォルニア研修ツアー2014 ~成田から避暑地サンタバーバラまで (1)~

カリフォルニアワイン・バイ・ザ・グラス プロモーション受賞店の現地研修ツアー
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2014年4月&5月に実施したバイ・ザ・グラスプロモーション
今年度の参加店舗数は首都圏126店舗、関西圏99店舗、圏外(審査対象外)5店舗で、そのなかから優秀店10店(首都圏・関西圏)とグループ賞2社選ばれました。受賞店はコチラ


私は各店の代表が参加した研修ツアーに同行したのですが、9年前、ソムリエ協会の機関誌編集長をしていた時の同行と比べると、参加メンバーの平均年齢がぐっと下がった印象。朝から夜まで元気パワー充満で笑い声が絶えない8日間でした!

拙ブログで9月7日から14日までのリポートをしていきますが、ブログを書きながら思っていることは・・・料飲店の皆さまを、「このようなツアーに行けるなら来年は是非とも挑戦するぞ!」という気持ちにさせたいことです!

ノーベル賞でも注目のサンタバーバラ
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成田からユナイテッド航空でロサンゼルスへ。
東京は雨模様で少し肌寒さを感じました。出発は30分ほど遅れましたが、10時間のフライト後、荷物を受け取って到着ロビーで参加メンバーと合流

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バスでロスからサンタバーバラまでの道すがら、抜けるような空の青とふわふわの白い雲

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メインストリートを抜けてホテルに向かう途中から美しいビーチが見えてきました!

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ビーチ沿いにはアートの展示、思わず気持ちがルンルンしてしまう避暑地

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ヒルトンリゾートのフェス・パーカー・ダブルツリー・リゾート・サンタバーバラ


ロスから車で約2時間、無事ホテルに着きました。
先日、ノーベル物地学賞を受賞した中村修二さんはカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授でしたね。一級のリゾート地にある大学、なんとも贅沢な環境です!

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ヤシの木や南国の草花が植えられた散歩道を通ってお部屋へ

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机回りも使いやすく

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敷地の中央部には素敵なプール

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サンタバーバラのダウンタウンにある人気のワイン・カスク

で長旅の疲れをいやすウエルカムディナー。ホストは堀賢一代表、ここで各自自己紹介。明日からはハードなスケジュール!

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かわいいテーブルセット、居心地の良い空間

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地元の新鮮な素材を使った視覚的にもきれいな料理
ワインはホリケン・セレクション

カリフォルニアのセントラル・コーストにあるサンタバーバラは映画『サイドウェイ』で脚光を浴びたエリアです。映画封切りから今年で10年! 映画効果でピノ・ノワールが飛ぶように売れていましたが、今でもピノ・ノワール人気は続いています。

今月7日に、ワインインスティテュート日本事務所主催のカリフォルニア・グランド・テイスティングがあり、その一環として『サンタバーバラの多様性』をテーマにしたセミナーが開催されました。次回のブログで、現地訪問1日目のサンタバーバラと併せて、報告させていただきます。
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2014年09月10日

現地から ~収穫真只中のカリフォルニア『ハーン・エステイト』でガンダムと再会~

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移動、移動のカリフォルニア!
ロサンゼルス到着後、バスで即、サンタ・バーバラへ。映画『サイドウェイ』でピノブームを起こしたエリアです。映画公開から今年は10年目になります。その後、パソ・ロブレスへ。ここではパワーのあるワインが多かったのですが、アメリカを代表する品種ジンファンデルから造られた魅力的なワインとの遭遇もありました。

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ハーン・エステイトの自社畑の広さは1100エーカー、標高300㍍のエリアから全景を見ると

パソ・ロブレスを離れ、さらに北上し、モントレー・カウンティのサンタ・ルチア・ハイランズにある『ハーン・エステイト』へ。ここで、懐かしいガンダムに再会、ぶどう自動収穫機(グレープ・ハーベスター/勝手にガンダムと呼んでいます)! ハーン・エステイトでは収穫期には4台のガンダムが働くそうです。

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8割が機械摘み、ホント凄い迫力、脚も早いのです!
ハーベスターは50人が8時間休みなしで作業する能力を備えていますよ

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ちなみに、この場所の畝の間隔は6×6フィート

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ガンダムが通ったあとは、梗だけが残って

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今日は朝から思い切り、砂ぼこりを浴びました。そして・・・未体験ゾーンへ。
今度は数台のカートに分乗してワイナリー内を見学、畑の畝の間も走りました!

只今、ワイナリーは収穫の作業で大忙しです。
でも、ドリーミングツアーを引率するカリフォルニアワインインスティテュートの堀代表とハーン・エステイトの長い友好関係をベースにしたおもてなしの心を感じましたし、日本市場がNo.1ということで、日本への熱い思いも感じました。
ブログからカリフォルニアのワイン産地の動きを感じていただければ幸いです。
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2014年05月30日

新カルトワイン『Scarecrow(かかし)』誕生のルーツは『The Wizard of Oz (オズの魔法使)』

5月中旬、〝映画とワイン〟にからむ素敵な時間を過ごすことができました。
輸入元の(株) 中川ワイン

の招聘でカリフォルニアから素敵なファミリーが来日したからです。

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注目の赤ワイン J.J.コーン・エステートの『Scarecrow/スケアクロウ』 を前に、オーナーのブレット・ロペスさんと妻のミミ・デブラシオさん
商業カメラマンとして活躍していたブレットさんはリーヴァイスやホンダ、コカ・コーラなどの仕事を手掛けていましたが、1998年に引退し、祖父が興したエステートを継承。ミミさんがスタイリストだった時に出会い、素晴らしい仕事を遂行していくパートナーが人生のパートナーになりました。多彩なミミさんの現在の仕事はジュエリーデザイナーです。

プレミアム・ナパ・ヴァレー・オークションで史上最高額で落札された『スケアクロウ』
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ブレットさんは3年に1回の割でワインをオークションに出品しています。ワイン界を驚かせた第1弾は2011年2月のオークション時に起きました。1ロット(60本)のスケアクロウ2009年ヴィンテージ(VT)が、12万5千ドルで落札され、史上最高額を記録したのです。さらに、その第2弾として、今年2月のオークションでは2012年VTが前回の倍の26万ドルで落札され、最高額を更新しました。スケアクロウは新カルトワインの王者としての地位を不動のものにしています。

上記の画像は今年2月のオークションのカタログです。ワインメーカーのセリア・ウェルチさんのプロフィール写真の上部にはScarecrow Wine、2012Cabernet Sauvignon、Toto's Opium Dream: Scene Ⅲという記載があります。オークション用のワイン名〝Toto's Opium Dream、SceneⅢ〟のトトは映画『オズの魔法使』で主人公のドロシーと旅を続けるワンちゃんの名前で、シーンⅢも映画の台本をイメージしたものです。そして・・・何より、〝スケアクロウ〟という名は、映画に登場する〝ブリキ男〟〝ライオン〟&〝かかし〟の3人のキャラクターのなかの〝スケアクロウ/かかし〟に由来しています。


映画『オズの魔法使』に込められた祖父へのオマージュ
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スケアクロウのワインは映画の王道ハリウッドで活躍したブレットさんの祖父へのオマージュです。祖父J.J.コーンさんが製作に関わった『オズの魔法使』に出てくる〝かかし〟
ブレットさんは、ワイン造りを生業にするにあたり、「一番大事なことは農業であり、その象徴になるうるものがかかしであると考えました。畑の土にささっている姿は一度見たら忘れられない存在です。そして、このかかしと祖父の遺した映画とは切っても切れない関係にあります」とコメント

直接的な名前だと商標権に引っかかる場合もあり、現実的にはなかなか難しかったようです。当初はそのままJ.J.コーンにしようとしたらしいのですが、すでにB.R.コーンという類似の名があったので、これは断念。最終的にスケアクロウになりました。「この名に至るまで祖父の見守りを感じています」とブレットさん

J.J.コーンの足跡
ジョセフ・ジャドソン・コーン(J.J.コーン)さんは1895年生。ロシア移民の子で貧困のなかで育ちました。18歳で新聞社に入りますが、ここで、毛皮をつくるデザイナー、シェンクさんに認められ、NYへ。その後ハリウッドヘ。MGMに雇われ、22歳で、経理を総括する仕事を担当し、肩書は副社長に。祖母はキャプテンクックの子孫にあたる家柄で、前夫との間に息子がいました。その姓がロペスだったことから、ブレットさんはその名を引き継いでいます。

週末を過ごす別荘を探していた時に、バンク・オブ・アメリカのオーナーから、1875年に建てられた、8つのベッドルームと2つのリビングルーム、プラムが植えてある大邸宅を紹介されます。その邸宅はナパのラザフォードにありました。引っ越ししてほどなく祖母が亡くなり、コーンさんも1995年に100歳で他界します。

グスタフ・ニーバムとのご縁
隣家は1879年にフィンランド人のグスタフ・ニーバムが興した『イングルヌック』でした。コーンさんが所有する畑には2エーカーだけぶどう樹(1945年植樹のオールド・マン)が植えられ、斜面の上部には豊かな湧水がありました。グスタフ・ニーバムから「素晴らしい畑」との評価を受けており、造ったぶどうはイングルヌックに納入していました。

ナパで最古のカベルネ・ソーヴィニヨン
1960年~68年にかけて多収量のぶどう樹の開発が進められ、USデイビス校ではAxR#1の台木を推奨していました。多くのワイナリーがAxR#1を採用しましたが、その後、ナパを襲ったフィロキセラ禍で多くのぶどう畑は悲惨な状態になります。AxR#1にはフィロキセラに対する免疫力がなかったことが原因です。
コーンさんは1945年に植えたセント・ジョージアの台木のぶどうを死守していたことで、難を逃れることができました。ナパのなかで一番古いカベルネ・ソーヴィニヨンは、トカロン(現在ベクストファーが所有)とJ.J.コーン・エステート(25エーカー中2エーカーのみ)のぶどう樹とのことです。


税金対策の選択肢がワイン造り
祖父が亡くなり、エステートが競売にかけられることになります。5億からスタートして7億・・・最後は30億になりました。入札者はロスチャイルド家(ロバート・モンダビと)、ベクストファー・ヴィンヤードのオーナー、アンディ・ベクスターそしてブレット・ロペスさん(フランシス・コッポラと)の3組。コッポラは競売の際、表面には出ず、すべてブレットさんひとりが立ち回っていました。結果的に75~80エーカーのうち、3分の1の25エーカーと湧水、エステートをブレットさんが取得し、残りはコッポラにわたりました。

余談ですが、1975年、イングルヌックの歴史の重さに惹かれたコッポラは『ゴッドファーザー』の収益で敷地の一部を購入し、『ニーバム・コッポラ・エステート』を設立。そして1995年の『ドラキュラ』で大成功し、その収益金で残りの全敷地を入手しています。そのことが記憶にあったので、ブレットさんに「ドラキュラで得た収益が役に立ったのでしょうか」と伺ってみたところ、「コッポラは7つの会社を所有していたので、ドラキュラだけのお金ではないと思うよ」とのお返事が。とは言え、『イングルヌック』のグスタフ・ニーバムとつながっていたコーンさん、その歴史を引き継いだコッポラも映画人であるという流れにはワクワクするものがありますね。


ワイン造りをするにあたり、著名なワインメーカーを探すために、人選のアドバイスをしてくれたのが、アメリカのスコット・トレーシーさんで、何人かのワインメーカーに接触。ここで、前述したセリア・ウェルチさんが登場することになります。

パーカー・ポイント100点騒動
ファーストリリースは2003年で、これを試飲したロバート・パーカーが98点をつけました。発表された当日は朝から電話が鳴り続け、PCはパンク! 次のVTを待つ人が6000名にのぼりました、生産量は平均して1000ケース、エステートの記録用にキープすべき本数があるので、潤沢に供給出来ないのが悩みです。


ナパで新たな伝統を築いていくロペスファミリー
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初来日のロペスファミリー。中央は愛娘ココさん。ファミリーのなかでは一番ワインに造詣が深く、現在、ワインメーカーのセリアさんから多くのことを学んでいるそうです。

ブレットさんにお目にかかるにあたり、『映画でワイン・レッスン』を持参。『カサブランカ』を例に本の内容を説明させていただきました。映画のセンス、芸術的センスがある方なので、とても喜んでくださいました。記念画像に拙著を入れてくださった気配りに感謝です。

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『スケアクロウ』の写真本にサインをしているブレットさん

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ミミさんのお洒落なセンスが光ります。

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スケアクロウのアイコンマークのチョコレート!
セント・ヘレナにあるWoodhouse

製、口中でのとろけ具合が優しくて幸せ気分に!

質問に答えて
パーカーポイント100点をゲットした後の、今後の目標は?
A:家族のなかで伝説を作っていくことです。ナパに住んでナパを感じながらファミリーの歴史を代々につないでいきたいと思っています。ふたりの娘は映画や音楽に関わっているので、我々夫婦のたどってきた道を継承しており、ワイン造りという新たな仕事も加わりました。孫も3人います。

ワインメーカーのセリア・ウェルチさんの最大の強みはなんですか?
感性、直観力、洞察力、判断力のある女性です。「私がワインメーカーよ」という風に前面に出てくるような人ではないところも魅力です。何より人間性があります。


ワインテイスティング
ワインは3時間前に抜栓。外観は黒系果実(プラム、ブラックチェリー等)の要素、木目の細かなタンニンながら、最初は舌の上を軽くなぞるドライなニュアンスがあり、時間の経過とともにグラス内での変化が顕著に。ソフトな酸味は心地よく、繊細なタンニンは、なめらかで優しく 上品な口当たりになっていきました。オールド・マン由来のミネラルも感じます。ロペスさんいわく「理想は7~8時間前に抜栓」を。
青木私感:女性ワインメーカーらしい、優しさ、上品さがあると感じました。慌ただしい生活をしている人ではなく、人生の一コマ一コマを大切にしている人に良く似合うワイン、飲んで欲しいワインです。

ブリキ男のワインも
J.J.コーンエステート

ではスケアクロウとムッシュ・エタンを造っています。前者のスケアクロウはオールド・マンの区画から収穫したワインのほか、J.J.コーン・エステートの秀逸な区画のワインをブレンドして造ります(オークション用はオールド・マンのワインのみ)。後者のラベルにはブリキ男のイラストがついています。この絵柄はブレットさん考案で、ムッシュ・エタンは映画のなかのブリキ男の本名。オズつながりは、すべて偉大なる祖父への想いに重なっています。ナパで生まれたレジェンド・・・それがスケアクロウなのです!

スケアクロウのHP

でワイン本(私がいただいた)に載っている画像を見ることができます。また、ブレットさんはじめ、エステートで働くメンバーを紹介したページには各人をユニークな単語を使って紹介しています。是非お立ち寄りくださいませ。

ロペスファミリーは古都京都への旅も満喫なさったようです。タイトなスケジュールのなか、予定の時間を30分もオーバーしてインタビューに答えてくださったブレットさん、ミミさん、ココさん、ありがとうございました。同席のマットさんにも感謝です。
中川社長、山村さん、高村さん、お世話になりました。ますますのご発展を!
ラベル:スケアクロウ
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2006年09月13日

大好きなオーパス・ワン

1991年、サンフランシスコのトランス・アメリカのタワー・ビルの設計者
スコット・ジョンソンがデザインしたオーパス・ワン・ワイナリー、素敵です!



テラスから見えるマヤカマス山脈、手前のぶどう畑はカベルネ・ソーヴィニヨン


同行取材の最終日(9日)は自由行動。滞在先のサンフランシスコから車をチャーターして、一路ナパへ。まずは大好きな『オーパス・ワン・ワイナリー』に伺いました。昨年秋、カレッジの生徒さん数名を引率しての訪問から丁度10ヶ月、この間にオーパスの醸造施設やぶどう畑にも新しい変化が・・・

一年目の樽熟成庫に並んだ1000個あまりの新樽、壮観
オーパス・ワンの一年目の樽熟成は一列のみの並列。他のワイナリーのように2段、3段と重ねません。今年の収穫はあと2週間ほど先なので、樽熟成庫に用意された新樽はまだ空の状態。収穫を待つ新樽が並ぶ光景は本当に見事です。
昨秋の訪問時には収穫が終わっていたので、樽にはできたてのワインが入っていました。

昨年との違いのひとつ・・・ 樽を置く台の下には“砂利”が敷いてありましたが、“コンクリート”に変わっていました。 これはコンクリートのほうが衛生的ということで考えられた、完璧を求めるオーパスならではの工夫。

今までのぶどう樹を引き抜き、新しいぶどう樹を植樹するために整地中の畑



台木の研究も盛んな昨今、植樹して17年も経過したぶどう樹を引き抜き、植え替えのための作業が進んでいます。画像は建物正面に程近い整地中のぶどう畑です。

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2006年09月05日

まずは機内から

成田からロスに向けてのフライトで、機内から撮影した雲海は綿アメ状態

2時間ほど経過した後、同じ角度から撮った景色は神秘的な色彩でした。



カリフォルニア同行取材で、4日ロスに向けて出発!
この旅行は2年前からお誘いを受けていたもので、今回はロスに到着後、サンタ・バーバラ~パソ・ロブルス~モントレー~ナパ~ソノマ~サンフランシスコの順に回ることになっています。
自分の夏休みプラスの意味で、貯まったマイレージでシートをアップグレードして参加したのですが、初日からなんとも嬉しいハプニングが!

UAの機上、指定の席に向かったところ、1組のカップルがすでに着席していました。
男性の方が私に、「座席を交換してくれませんか?」と。「構いませんよ」と答えると、彼は「席まで僕が案内しますよ」と言って先導し、私を彼のシートへ。案内してくださった先は、何とファーストクラス“No5”! 自分でお金を払って座ることなど、“絶対にないシート”です。これは超ラッキー、幸先の良い第1日目になりました。



大好きなシャンパンを“フルートグラス”でいただいたのも初めて! 
ポリコップやタンブラーで飲むのと、全然違いました! 33,000フィート上空で綺麗な気泡が連なる『エドシック・ディアマン・ブルー・ブリュット1996』は酸味が豊かでボディもあり、幸せな気分
シャンパーニュ地方の1996年は最高の年、「30年持つ」と言われているヴィンテージ

posted by fumiko at 23:05| Comment(3) | TrackBack(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする