2025年08月02日

仏グランテスト地方シャンパーニュ&アルザスの隠れた逸材をご紹介!


グランテスト地方
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シャンパーニュとアルザス両地方から来日した生産者のアイテム

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マスタークラスで供された11種のワインと1種のスピリッツ
左奥から右の順に全4列計12アイテム

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近藤講師(最後列左)と来日したフルメンバー

グランテストとは、フランス北東部にあるドイツ、スイス、ベルギーと国境を接するエリアで、かつてのアルザス、シャンパーニュ=アルデンヌ、ロレーヌを包括する一大地域圏。2016年にフランスの行政改革によって3つの地域圏が統合されたので10年にも満たない新呼称です。

7月初旬、東京と大阪で、仏グランテスト商工会議所主催『シャンパーニュ&アルザス地方ワイン・スピリッツ試飲商談会』が開催されました。アルザスワインは、現在、大阪・関西万博フランス館のゴールドパートナーになっているので、いつも以上に気合が入っている感じ。

東京のイベントに関しては、商談会前に、レカングループの近藤佑哉エグゼクティヴソムリエがマスタークラスを担当し、12生産者と交流しながらアイテムを解説。近藤ソムリエ目線での拡売提案もありました。


✨✨✨


【シャンパーニュ】
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■シャンパーニュ・ジャコヴィアック・ロンド― ブラン・ド・ブラン(CH100)
https://www.champagne-jackowiak-rondeau.com/
1948年創業、プティット・モンターニュ・ド・ランスでサステナブルなシャンパーニュ造りを目指す職人的メゾン。石灰とシルトから成る土壌、畑は北東向き、HVEVDCの認証を取得。
近藤:万人に受けるスタイル。高原の緑や白がイメージできるので、避暑地やモダンなレストランのダイニングで! フラワリー、根セロリやフェンネル、ミネラルや蜜、アフターのフレーバーに塩味、さわやかで華やかさのあるブラン・ド・ブラン

■シャンパーニュ・モンデ ブラン・ド・ノワール エクストラ・ブリュット(PN100)
https://www.champagne-mondet.fr/index.php
1926年創業、マルヌ渓谷の中心に位置する4世代にわたる家族経営のメゾン、白亜質粘土石灰岩の下層土が特徴、マサルセレクションで植樹したピノ・ノワール、シャンパーニュは30ⅿの深さのセラーで平均4年熟成
近藤:深みと骨格があるので、シチュエ―ションは夜の会食がお薦め! セミドライな赤リンゴ、パンドゥミやオリエンタルスパイス、シャンパーニュの核を成す酸味は黒酢を使った中華や肉汁が滲み出てくるような小籠包と合わせることで本領発揮

■シャンパーニュ・ドウヴォー キュヴェD(PN55%、CH45)
来年創業180年を迎えるコート・デ・バールの生産者共同組合、特徴は熟成重視、リザーブワインは1995年からのパーペチュアル(ソレラ方式)
近藤:華やかでエレガント、味わうならラグジュアリーなホテルや高級レストラン。オレンジ、ジャスミン、ライラック、スパイスやバニラビーンズ、果実味と酸味とミネラルがバランスよく調和

■シャンパーニュ・レオ メルシーナチュレ2016 エクストラ・ブリュット(PB61%、PG39%)
コート・デ・バールにある家族経営のメゾン、1992年以来ビオディナミ農法。所有畑は11㌶、ピノ・ノワールとシャルドネの他に、古代品種のピノ・ブランとピノ・グリを栽培。土壌はキメリジャン。12月から来春2月までANAのファーストクラスとビジネスクラスで供される由
近藤:主要品種とは異なる希少品種なので、シャンパーニュ談義が好きな愛好家向けのワインバー! 水仙似のアロマ、グレープフルーツやジンジャーパウダー、和柑橘の文旦やキンカン、白カビチーズ、果実感とほろ苦さを伴い、余韻には緊張感のある酸味

私感:4社4様のラインナップで、近藤講師の提案もシチュエーションがイメージできる有意義な内容でした。昨年の来日で初対面だったジャコヴィアック・ロンド―のラインナップの豊富さには好感が持てましたし、レオは同アイテムでヴィンテージ違いを供出していましたが、両社とも、酒質&バランスが素晴らしく、メゾンの進化を感じました!


【アルザス】
■ジャン・バイイ クレマン・ダルザス(CH100%)
今年130周年を迎えた1895年創設のアルザス地方最古の生産者組合。約40の農家が加盟。『ジャン・バイイ』は4カ月前に誕生した最新ブランドで最良の畑の最高のぶどうのみを使ったトップレンジ(トヨタのレクサス的存在との解説あり)。ベースヴィンテージは2020年を75%、リザーヴワインは2015-2019年を25%使用、ドザージュ7~8g。
近藤:日常を彩るアイテム。果実味豊かで華やか、きめ細かな気泡、ピーチ、シナモン、ジンジャーブレッド、クルミ、ナッツ、ミネラル、ハード系チーズ似の旨味、料理との相性も良いのでカジュアルに楽しみたいスパークリング


ドメーヌ・サント・ジョワ
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■ドメーヌ・サント・ジョワ ピノ・ノワール・セック2019(PN100%)
サン・イポリット(ナポレオンの時代から続く銘醸畑)に平均樹齢30年のぶどう畑を所有、アルザスのすべてのAOC品種を栽培、花崗岩質と石灰質の土壌、ワインは長熟タイプで飲み頃になってからリリースすることを徹底しているワイナリー。
近藤:京都の昆布だしを使った一品と相乗する滋味あるアイテム。スミレ、スパイス、ウーロン茶、和紅茶、香木、木目細かいタンニンの質感、加えて、粒だって感じられる要素もあるので、嚙み込める印象。レベルの高いピノ・ノワール!

私感:マスタークラスに登場した唯一の赤ワイン。ドメーヌ・サント・ジョワは昨年のグランテストのセミナーにも出ていましたが、当時と同じアイテムでした。記録を見返すとやはり高評価。近藤講師もブルゴーニュの代替えエリアについてコメントしていましたが、私もアルザスは要チェックだと感じています。エレガントで奥行きのあるピノ・ノワールでした。


■ファミーユ・オレー(リースリング100%)
1776年創業の樽メーカーが前身で、70年代からワイン造りを開始。3つのグランクリュを含む40haの畑を所有し、有機栽培で管理。7代目ルドビック氏&弟ギヨーム氏による家族経営。ワインは歴史ある古い区画の名を冠した『オレー フレール-リースリング“フロンオルツ”』、ファミーユ・オレーのこころの中心にあるワイン
近藤:湿気が多い季節にぴったりなアイテム。華やかなアロマ、赤いりんごやアプリコット、ジャスミン、伸びのある酸味、アフターフレーバーにカモミールのニュアンスがあるのでパクチーや中華餡を使った料理に合わせて。オイリーな要素は菜種油を使った天ぷらと合わせて楽しめる。テロワールの複雑さが魅力のアルザスなので、ソムリエとゲストとの会話を盛り上げる効果もあり!


ラ・カーヴ・デュ・ヴィエイユ・アルマン
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■ラ・カーヴ・デュ・ヴィエイユ・アルマン(リースリング100)
1958年創業、アルザス・ワイン街道のほぼ南端に位置する生産者組合で、メンバーの多くは4世代以上続く約60のブドウ栽培農家。150㌶のうちの75㌶は有機農業認証取得、泥灰質(力強さ)と砂岩質(繊細さ)からなる土壌。『アルザスGC オルウィレール・リースリング2022』は、2020年にBIOの認証を得た畑のぶどうから生産。
近藤:質実剛健と表現したくなるリースリング。カモミールや蜜蝋、アプリコット、緊張感のある酸やミネラル、アフターフレーバーに塩レモン的な要素を感じるので、脂分の多い仔牛肉やレバー等の料理に合わせるのもお薦め。凝縮感があり、熟成による変化が楽しめるポテンシャルあるリースリング。


メゾン・ツァイソルフ
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■メゾン・ツァイルソルフ クレヴェナー・ド・ハイリゲンシュタイン・アンフォラ・ビオ2023(トラミネール100%)
1778年創業、クレヴネール・ド・ハイリゲンシュタインを含むあらゆるアルザス品種を扱う。2005年以来、現当主の11代目が継承し、ワインツーリズムにも注力。未来への新たなヴィジョンを打ち出しています。アルザス地方の8番目の品種トラミネールを使ったワインで砂素材のアンフォラで醸造。
近藤:軽くマリネした〆サバやトマトのムース、スイカを素材にピンク・ペッパーをアクセントに添えた料理等がイメージできる。新しいタイプのワインを探しているソムリエやレストランにとって好奇心が湧くアイテム。洋梨、アプリコット、花梨、オリエンタルスパイスやルイボステーのニュアンス、アタックに感じる甘やかさが舌を優しく包み込み、フレッシュな酸のバランスも見事。


ドメーヌ・フレイビュルジェ
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■ドメーヌ・フレイビュルジェ ケフェルコプフGCラ・トリロジー2023(ゲヴュルツトラミネール65%、リースリング30%、ピノ・グリ5%)
https://www.freyburger.fr/
自然環境を尊重し、2019年以来完全有機農法を採用。8㌶を管理する家族経営の小規模農家、土壌は花崗岩質。グランクリュのユニークなブレンド『ラ・トリロジー』はゲヴュルツトラミネール、リースリング、ピノ・グリの3品種を同時収穫。エレガンス、優しさ、ピュアさを表現したドゥミ・セックのスペシャルアイテム。愛娘が5代目を継承すべく邁進中
近藤:メイン料理に太刀打ちでできる白ワイン、鴨肉のローストにフルーツのソースを使った一品にもお薦め! ゲヴュルツトラミナー由来のライチや白いバラ、リースリング由来の蜜蝋やアジアンスパイス、ピノ・グリが味わいにグリップを利かせた完成度が高い秀逸なワイン

私感:グランクリュのブレンドはオーストリアのゲミシュターサッツと同じで、すべての品種を同時に収穫して仕込む製法。味わいはピュア、ミネラル、スパイス。時間とともに複雑味が増し、石清水のような純粋さを感じさせるワイン


ファミーユ・ルルマン・シュッツ
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■ファミーユ・ルルマン・シュッツ エトワール・ド・ロゼ(PN100%)
アルザスの中心部にあり、所有する54㌶の農園では有機栽培で環境に配慮した取り組みを展開中。ラングドック・ルーションでは赤ワインを製造しているので全34アイテムを生産。現当主3代目が手掛けた白とロゼの間の“ピンクの星”は過熟した状態で収穫したピノ・ノワールを直接圧搾し、発酵を途中で止めた甘口タイプ。昨年は『モンディアル・デ・ヴァン・ブラン2024』で、ゲヴュルツトラミネール2021ヴァンダンジュ・タルディブがグランプリを受賞
近藤:8度位の供出温度でグランマンジェや赤系果実のデザート、ワインを凍らせてシャーベット状にして楽しむのも一興。柑橘系果実、ピンクGF、サクランボ、ピンク・ペッパー、オリエンタルスパイス、果実の甘味と酸味、スパイシーなニュアンス 



レマン醸造所
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■レマン醸造所 ブレンドウイスキー“セ・ラ・ヴィ”
1850年創業、受け継がれた職人技が評価され、仏政府から無形文化財企業EPVに認定されたアルザス最古の蒸留所。家族経営で現当主は6代目。フレンチ・ウイスキーのパイオニアで1998年から生産を開始。セ・ラ・ヴィ(仏語で“これが人生だ”)はボルドー樽で5年間熟成。
近藤:フレンチウイスキーはフルーティさがポイント、ベルガモットや杏仁似の香り、ブレンドした茶葉のニュアンス。練れた味わい、ストレートでもやわらく、ソーダで割っても美味。小麦と麦芽を使っているので、お茶割りで楽しみたい気分。


✨✨✨


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ランチ休憩の後、試飲商談会へ


シャンパーニュのブースで
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ジャコヴィアック・ロンド―はフレッシュ、凝縮感、そして・・・深み

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モンデの自慢は熟成に使うコンクリートタンク
ファミリーの知恵が詰まったオリジナル

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セラーマスターは2020年のインターナショナル・ワイン・チャレンジで
「スパークリングワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に選出されたミッシェル・パリゾ氏。
シャンパーニュ講座では何度かドゥヴォーを取り上げていますが、
安定感のある味わい
加えて、トップレンジの『ステノペ』は
ミシェル・シャプティエとのコラボシャンパーニュ

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ドメーヌ・フレイビュルジェのピノ・グリ
満足感をもたらす心地よいワイン

グランテスト来日メンバーのワイン・スピリッツの魅力がお伝えできれば幸いです!

posted by fumiko at 08:23| Comment(0) | 来日したワイン生産者&関係者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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