2021年06月05日

本日発売のワイン王国7月号 (123号) のハイライトは日本ワイン!

            6月5日(土)発売の『ワイン王国』
         No.123の並びには軽快感があってイイ感じ!

 215本のブラインド・テイスティングから63本を決定!
 私たちが選んだ“本当に美味しい”日本ワィンはこれ!
 今号ではテイスターをさせていただきました。


 2日間にわたる検証
 photo by Kadowaki
 赤ワインのテーブルでテイスターの川邉久之エノログと


 マスカット・ベーリーAのコーナー
 テイスティングは5人のテイスターが密にならないように3か所に分けて実施
 夜、編集部から、一覧表にした5人の試飲結果が届きました、お疲れ様です!
 すべてのワイン銘柄も記載されていたので、自らの採点を明確に確認できました。
 215本のアイテムの中から“きらり”と光る存在も発見!

 
 色調の違いにも趣があるロゼワイン


 2日目は上位ワインをリ・テイスティング
 撮影に備えてセッティング中のカメラマンKadowakiさん
 この日は日本ワインの旗振り役石井もと子さんもご参加くださいました。
 意見交換の様子は動画をご覧くださいませ!


 甲州部門で高得点だったワインのフライト
 ルバイヤートはマイベスト3の中の1本、超お薦めのワインです!


 国際品種シャルドネ部門で5つ星のソラリス
 安定感のあるワイン!


 山梨県果樹試験場で育種されたビジュ・ノワール
 フランス語で“黒い宝石”という意味を持つ品種です!


     今、一番気になっているぶどう品種がアルバリーニョ
    気候変動対策の一環として、仏ボルドー地方でも栽培が許可された品種

             アルバリーニョ プレイバック!
        photo by Morigami/2020年12月@つきぢ神楽寿司新館

昨年12月、大分県出身の森上久生ソムリエとワイン王国の村田惠子編集長&同編集部の大久保嬢と密やかな忘年会(コロナ渦中ということで)をしました。ワインは日本ワインに特化しました。その折、森上ソムリエが持参してくれたのが、同郷の安心院葡萄酒工房のアルバリーニョ2019でした。神楽寿司の和のテイストととても良く合っていました。森上さんは「2019年は原産地本来のアルバリーニョらしい、香味のキャラクターが備わりつつも、収穫時期の幾度にも重なる台風で、レイニーヴィンテージになりました」と語っていました。

今回、私はブラインド・テイスティングで、『安心院ワイン アルバリーニョ2020』に五つ星評価をしていました。2020年はぶどうも程よく熟し、ほぼ理想的な状態で収穫できたことがわかる味わいで、私にしっかりと存在感を示していました。日本で造られているアルバリーニョは高額なものが多いだけに、このワインは“カリテプリなアルバリーニョ”として、お薦めしたいです!

 アルバはラテン語で“白”を意味する言葉 
 スペインのへレスの白い土壌アルバリサやアルバムも同じ語源です!


 スパークリングワイン部門のフライト
 キャメルファームワイナリーのレガミ エクストラ ドライ
 6種のぶどうを巧みにブレンドしたチャーミングな泡もの!

 [ぴかぴか(新しい)]ワイン王国の日本ワイン紹介ページ&編集部作成の動画


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から、お役に立つ最新号です!



 追記:ルバイヤート甲州と川上善兵衛翁が開発したブラック・クイーン
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  画像データ:ワイン王国123号28頁

初日に215本のワインをブラインド・テイスティングした後、5人のテイスターの結果は即、集計され、最終的に「63本のワイン」が選出されました。そのなかで、特に評価が高かったワイン23本には “5つ星マーク” が付けられています。
“マイベスト3”は添付した画像の通りです。

130周年記念「ルバイヤートワイン」白2020年/丸藤葡萄酒工業
一覧表が届き、自分のメモと照らし合わせながら銘柄を確認。甲州部門で私が5つ星評価していたのは5本(エントリー数24)あり、なかでもB-21という番号のワインは酸味、果実味、なによりバランスの良さが際立っていて高評価できました。それが丸藤葡萄酒工業の甲州、自分でも納得できる結果だったと思っています。

編集部から「ベストワインを3本挙げてください」との指示が届いたので、マイベストのこのワインの要点をまとめるために、大村春夫社長に電話で軽いインタビューをさせていただきました。

 
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        先人へのオマージュは良いワインを造ること 大村春夫

甲州ぶどうは日本固有の品種として知られており、2010年にはブドウ・ワイン国際機構OIVに品種登録されました。カリフォルニア大学デイビス校によるDNA鑑定では85%ヴィティス・ヴィニフェラと判定されており、生産量が一番多い山梨県では、近年品質向上が著しく、甲州ぶどうから造られるワインは海外から高い評価を得ています

           ★★★★★ ☆☆☆☆☆ ★★★★★
ルバイヤートでは早くから辛口の甲州を生産していました。料理に合うワイン造りを念頭に置いていたからです。縁あって、俳優業以外でも料理研究をライフワークにしていた金子信雄(故人)さんが経営する荻窪のフランス料理店「牡丹亭(環八沿い)」にワインを持ち込み、味を見てもらいますが、小沢幸一シェフから「このワインだとうちの料理には合わない!」と厳しい指摘を受けます。

「嫌なら扱わないと言うはずだ。味の欠点を指摘してくれるのは、ワインの可能性を見込んでいるからかも知れない」と、シェフの心理を読んだ大村さんは、持ち前の負けん気を出して大奮闘。味わいの欠陥をなくすために試行錯誤を繰り返しました。

折しも、1983年にメルシャンがシュール・リー製法を開発して、2500円程(大村社長の記憶)でワインを発売したことは、大村さんにとって大きな衝撃でした。
同社が導入したパイパーオキシデーションや果汁処理(1970年代から試みられていた綺麗な果汁を得るための方法)等、ワイン造りの情報共有を受けながら、自らのワインに改善を加えていきます。
麻井宇介先生(故人)から甲州シュール・リー&ハイパーオキシデーションの関係を伝授された大村さんはルバイヤート独自の甲州を生み出します。タンク内のワインにポンプで空気を送り込み、酸化反応を起こさせ、酒質を向上させる製法なのですが、シュール・リーはフレッシュなうちに飲む若飲みワインなので、その効果がいかんなく発揮されています。いつ飲んでも美味しいし、“酢飯”が食べたくなる甲州シュール・リー。何度も言いますが(笑)、超お薦めの1本です!

大村社長は〆の言葉として、「良いワインを造ることが先人へのオマージュであり、それは・・・麻井さんや小沢シェフ、メルシャンさんたちへの感謝の想いです」と語っていました!  大村社長って、やっぱり、イイですね。
コロナが落着いたら、絶対にルバイヤートに行くぞ!!


      ミュゼドゥヴァン松本平ブラッククイーン2019年/アルプス


ブラック・クイーンを初めて意識したのは、開発者川上善兵衛翁が開園した岩の原葡萄園120周年のイベント

でした。岩の原と同年の1890年に開業した帝国ホテルで行われたディナーにブラック・クイーン2007が供出されたのですが、その時の印象は酸味の強さ!
その後、連載していた産経EXで善兵衛翁のマスカット・ベーリーAとブラック・クイーン

について紹介させていただきました。「いつか世の人が自分を認めてくれる日が来るであろう」と書き遺した善兵衛翁に対するリスペクトと日本の風土に合わせて開発されたぶどうたちを応援したく思ったからです。アグネスホテルで開催された岩の原葡萄園主催のぶどう品種と料理とのマリアージュでは、豚肩ロース肉のグリエとブラック・クイーンの相性がとても良く、口中の脂分をしっかりとした酸がきれいに洗い流してくれる印象でした。

2010年に岩の原葡萄園との関わりが深いサントリーワインインターナショナル株式会社(以後サントリー)がドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト社(以後DBR)と共同で特別醸造ワイン『センチュリー』を発売しました。ブレンド比率は、
・CS  カベルネ・ソーヴィニヨン/33%(登美の丘ワイナリー産)
・PV  プティ・ヴェルド /33%(同上)
・ME  メルロ/ 28%(同上 18%、長野・塩尻市産10%)
・MBA マスカット・ベーリーA/ 3%(長野・塩尻市産)
・BQ  ブラック・クイーン/ 3%(登美の丘ワイナリー産)

固有品種のMBAとBQは今までトップ・キュヴェに使われることはありませんでした。
DBRの醸造家エリック・コレールさんにとっても、これら2種のぶどうは初めて口にするものであり、欧州の醸造家が皆、そうであるように違和感や戸惑いを感じていたようです。でも、試飲を重ねるうちに、マスカット・ベーリーAに綿菓子のような甘さ、キャラメルのような甘さがあり、「ワインに温かさや優しさを与えること」、ブラック・クイーンは「ワインに強さを与えること」を実感し、センチュリーのブレンドに使うことを決めたそうです。

      日仏友好のワイン『デュオ ダミ』に使われたブラック・クイーン

限定1380本、ぶどう産地は山梨県甲斐市産(登美の丘)62%、長野県塩尻産38%。ブレンド比率はメルロ56%、カベルネ・ソーヴィニヨン32%、プティ・ヴェルド7%、マスカット・ベーリーA4% 、ブラック・クイーン0.9%、カベルネ・フラン0.1%
2011年は冷涼なVTで完熟した年ではないものの、瓶内でゆっくり熟成していくスタイル

フランス語で“友好の二重奏”を意味する『デュオ ダミ』と命名されたワインが2014年に数量限定でリリースされたのですが、これはセンチュリーでもコンビを組んでいた ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト[ラフィット]社の醸造家エリック・コレールさんとサントリー登美の丘ワイナリーの渡辺直樹ワイナリー長の傑作です。


以上のようなブラック・クイーン遍歴をしてきた私にとって、ミュゼドゥヴァン松本平ブラッククイーン2019は目からウロコのワイン、とても鮮烈でした。本誌対談で、石井もと子さんは「ぶどうの熟度を高めることで、酸の強さをうまく束ね」とコメントし、エノログの川邉久之さんは「“じゃじゃ馬”なブラック・クイーンという品種を見事にデザインしたワインに仕上げています」と語っていますが、特徴的な強い酸味は全面に出ることもなく、ひたすら親しみやすいワイン、好感度200%でした!
川上善兵衛翁も、日本中のワインラバーが、ミュゼドゥヴァンを愛飲してくだされば、「いつか世の人が自分を認めてくれる日が来るであろう」との言葉を実感し喜んでくださると思っています。
ブログにお立ち寄りくださった皆さんがトライしてくださることを願っています!
posted by fumiko at 23:02| Comment(0) | 日本ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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