2014年01月12日

Union des Grands Crus de Bordeaux Trade Tasting 2013 in JAPAN

40周年を迎えたユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー
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1973年に設立されたユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー

(以後UGCB)はジロンド県のアペラシオン(メドック、 オ・メドック、 サンテステフ、 ポイヤック、 サンジュリアン、 マルゴー、 ムーリス、 リストラック、 ぺサック・レオニャン、 ソーテルヌ、 バルザック、 サンテミリオン、 ポムロール)の生産者団体で、現在133シャトーが加盟しています。 シャトー・ムートン・ロッチルド、シャトー・シュヴァル・ブランとシャトー・ディケムが名誉会員になっています。

前回アップした7シャトーを味わう晩餐会

の翌日は、ANAインターコンチネンタルホテル東京でUGCB(本部フランス・ボルドー市)主催のトレード・テイスティングでした。来日したのは108シャトー、試飲するのは最新ヴィンテージ(VT)になるので今回は2010年。来場者はワイン業界およびプレスのみで約900名。出展ブースではシャトーのオーナーや代表者がワインのサービスや接客にあたっていました。

長熟タイプの2010年ヴィンテージ
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まずはシャトー・ランシュ・ムサス(ポイヤック)のフィリップ・カステジャさんに前日のお礼を!

カステジャさんは2010年について「ワインはソフトで、酸味もあり、バランスが取れたトップVTで、ボルドー的なワイン」と表現していました。カベルネ主体(CS70%、ME30%)、深みのある濃い色調、黒系果実の凝縮感、口中のドライ感。前日のディナーで味わった1996年VTの色調とタンニンの変化を思い出しながら、上質な果実味、酸味、タンニンを備えた2010年VTの十数年先の熟成具合を連想、今後が楽しみです。新樽率55%でVTによって比率は若干異なります。

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シャトー・ド・フューザル(ぺサック・レオニャン)のアナベル・ドゥニさん
「2010年はグレートVTで、白(SB70%、SE30%)はフレッシュ感と爽快な酸味が魅力、赤は少し熟成させてから」とアナベルさん。前日のディナーに登場した赤の2008年とフォアグラが素晴らしいマリアージュだっただけに、良年の2010年の熟成には期待したいです。

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元気なマダム、シャトー・ジスクール(マルゴー)とシャトー・デュ・テルトル(同)のロール・バスタールさん

「ジスクール(右のワイン)の2010VTは複雑味があり、長期熟成型のワイン」とロールさん、『神の雫』に取り上げられたことで、日本での知名度も上がっています。

そして、もう1つのワイン『シャトー・デュ・テルトル』の説明にはさらに力が入っていました。ロールさんはこのシャトーを〝スリーピングビューティ(眠れる美女)〟と形容。 同地区の一番小高い位置にあるテルトル(小さな丘の意味/標高25メートル)はジスクールと同じ所有者オランダ人実業家のエリック・アルバダ・イエルヘルスマさんが1997年に取得したもので、大規模な設備投資を行い、シャトーを甦らせました。エリックさんを眠り姫を目覚めさせた王子に例えていた訳ですが、テルトルは豊潤で香り豊か、チャーミングなワインです。前日の2002年VTも他のワインに臆することなく、料理との相性はとても良かったので、今後の躍進、楽しみです。

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気になるシャトーの1つ、スミス・オー・ラフィット(ぺサック・レオニャン)
毎年、営業マネージャーのダヴィッド・オルノンさんが来日しています。

「2010年はグレートVT、エレガントでクラシック、時間が必要です。2009年は表現力が豊かでわかりやすいワインです」と2つのVTの違いを説明後、赤ワイン(CS64%、ME30%、CF5%、PV1%)については「リッチで、ブラックベリーやダークチェリー、胡椒や甘草、スモーキーさを感じます。このスモーキーさは砂礫土壌からくるもので、樽由来のものではありません。新樽率は70~75%で使用樽はシャトー所有の樽工場で製造、樽の責任者はJean Luc Iteyです」とコメント

白い花、スパイス、ハーブ、樽のニュアンス(38ヶ月)を感じさせる白ワイン(SB90%、ソーヴィニヨン・グリ5%、SE5%)。ダヴィッドさんは「フラッグシップのレア物で、平均生産量は2000~2500ケース(12本入)。フレッシュでエレガント、土壌由来のミネラル感があります。2010年VTは凝縮感があり、10~15年の熟成に耐えられます。熟成により、ドライフルーツやアカシアの花、蜂蜜のニュアンスを感じます」と説明していました。パーカーポイントでも高得点を得ているシャトーなので、UGCBの会場でも人気があります。

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笑顔も素敵なシャトー・ラグランジュ(サン・ジュリアン)の椎名敬一副会長

「ボルドーは09、10と2年続きであたり年でした」と椎名副会長
「2010年は気候的には2008年をもっと暑くした年で、VT (CS75%、ME25%)はクラシック、正統なメドックスタイルで1986年VTに似ている長熟タイプ、まだタンニンは固いです。2009年VT(CS73%、ME27%)はエレガントで柔らかさがあります。2013年はCSとメルロが花ぶるいにあい、メルロは平均30hl/㌶、マルゴー地区では25hl/㌶というところもあります。しっかりした選果を行っているシャトーは品質はキープできますが、シャトーものになれは選果は相当厳しくしなければならないので、数量は少なくなりそうです」とのこと。

椎名副会長は「2010年は開くのに時間がかかるVTなので、しっかり待ってから飲んでください」とおっしゃっていました。10年以上経過してから本領を発揮するVTで、タンニンの質から言うと1986年VTに近い固さがあるそうです。2010年VTを入手なさった方は、あせらず飲み時を待っていてくださいませ。

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シャトー・ ランゴア&シャトー・レオヴィル・バルトン(サン・ジュリアン)のリリアン・バルトン=サルトリウスさんと愛娘メラニーさん

バルトン家初の麗しき女性ワインメーカー、10代目のメラニーさんはまさに〝Lady Langoa〟、ボルドー、デジョン、イタリアでワイン修業をしたそうです。初来日なのに、早朝日本に着いて、夕方には韓国へ。和食を楽しむ暇もない強行ツアー!

ランゴア・バルトン2010(CS57%、CF9%、ME34%)は「ファンタスティックでミラクルなVT、完璧なバランス、上質なタンニン、パワーもあるので数年待って飲んでいただきたい長熟ワインです」とリリアンさん。一方のレオヴィル・バルトン2010VT(CS74%、CF3%、ME23%)は「まだ閉じ気味で複雑。十分な時間が必要です」とコメント。リリアンさんはぶどう品種、栽培方法、醸造法は全部同じなので、ワインの個性の違いはテロワールであり、土壌や畑の角度(方角)等がその要因になっていると語っていました。

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シャトー・カノン・ラ・ガッフリエール(サンテミリオン)のオーナー、ステファン・フォン・ナイベルグ伯爵は現在37代目、800年の歴史を誇るナイベルグ家の当主です。

伯爵は「2010年は偉大な収穫年です。酸味があり、pHは低め、まろやかで深みがあり、フランス的なワインと言えます。2009年VTより複雑で長熟、私の好きなヴィンテージです」とコメント。使用ぶどう品種はCS45%、CF5%、ME50%で、 カベルネ・フランを使うことで、スパイスや花のようなフレッシュさが表現できている由。温かな気候だった2009年は2010年より、もう少しタンニンが丸く、アメリカ的 (よりシンプルで理解しやすいワインという意味)とのことでした!

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1306年、レイモンド・ギレム・ド・ファルグ枢機卿によって建造された歴史あるシャトー・ド・ファルグ

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シャトー・ド・ファルグ(ソーテルヌ)のアジア・アメリカ担当のフィリップ・ド・リュル・サリュスさん

「2009年は驚くべきVT、パワフルです。2010年はバランスが良く、凝縮しています」とフィリップさん。一般的に甘口ワインというとデザートワインとしてとらえられてしまうことが多いので、「ノーマルな食事と合わせて」というのが彼の主張です。シンガポ-ルで、鳩のロースト(塩で)と素晴らしいマリアージュを体験したことを語っていました。VTにもよりますが、刺身や生の牡蠣、シーフードにも合わせて楽しめると。2010年VTはフレッシュで甘さの後ろに控えた上品な酸味が好印象。個人的にはアンズのタルトやブルーチーズとの相性が一番好きです。

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テイスティングは15時30分に閉会。その後、UGCBのメンバーはアジアツアーの次の訪問先、韓国へ


[黒ハート]インフォメーション
5月17日&18日にボルドーで開催される〝ル・ウィークエンド・デ・グラン・クリュ・ボルドー
シャトーのオーナーや代表者と意見交換しながらの試飲会、シャトーでのデイナー、ぶどう畑訪問、ゴルフ・トーナメントなど、週末を満喫できるイヴェントです。ボルドーワインラバーさんにお薦めです。

5 月17 日(土)
■ 最新ヴィンテージ(瓶詰済みワイン)の大試飲会/対象はワイン関係者&ワイン愛好家。2011年VT と各シャトーがセレクトした計2 ヴィンテージを試飲。100超の生産者が出展。参加費(除 昼食代):60€(2014 年5 月15 日までの予約)、当日券は75€。学生とワイン業界関係者(証明証要)半額。9 名の購入で1 名無料
■シャトーでのディナー/UGCBのシャトーオーナーが各自のワインを供出。参加費:140€(2014 年5 月7 日までの予約)、ボルドー市中心部発着のバス代含
■ ソワレ・デ・グラン・クリュ/ボルドー市のオペラ座アーケードでUGCBの新世代のオーナーたちと軽食を。リラックスした雰囲気が好きな18歳から35歳までを対象にしたスペシャル・イベント。参加費:60€

5月18日(日)
■ぶどう畑ツアー/プレステージある3シャトーを訪問。ボルドー発の3コース(メドック方面、グラーヴとソーテルヌ方面、右岸方面)、参加費:90€(2014年5月7日までの予約)、昼食・バス代含
■オープン・デイ/UGCBの加盟する多くのシャトーがテーマ性のある見学を用意。訪問可能シャトーはサイトで。参加費:無料(予約制)
■ユニオン・デ・グラン・クリュ杯ゴルフ・トーナメント/ワイン&ゴルフ好きとシャトーのオーナーたちとの交流ゴルフ、グリーン・フィーと昼食代含。賞品はメンバーのグラン・クリュなどのシャトーワイン。会場はゴルフ・デュ・メドック。参加費:95€(2014年5月7日までの予約)

詳細&問い合わせ、お申込み等はユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー

のサイトで。イベントによっては定員に限りがありますので、お早目にチェックを!
Union des Grands Crus de Bordeaux-10 cours du XXX Juillet-33000 Bordeaux France
Tel.+33(0)5 56 51 91 91

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