今回は私の記憶を補うための備忘録!
ワインにとって大事な「亜硫酸SO2」についてまとめておきます。
その前にほんの少しだけ寄り道
数の子とシャンパンの相性の悪さはSO2が原因なの?
前回のブログ数の子とシャンパンには多くの方がRTやご意見をツイートしてくださいました。本当にありがとうございました!
@yokokumaさんのツイートには、数の子とシャンパンのバッドマリアージュに関連する「SO2原因説も要検証かと」という文言がありましたが、これは昨年、ツイ友@taste_and_fun(沼田)さんがポストしていたので、私も拝読しました。読後、某ワイナリーのSO2無添加の白ワインと数の子を合わせて相性を試しました。しかしながら結果は無残、口中に生臭さが残り、ナイスマリアージュとはとても言えません。その時のワインには酸化臭があり、瓶詰してから日数が経っていることがわかりました。
それゆえ、@yokokumaさんに「SO2を添加しないワインの場合、瓶詰直後のフレッシュな状態なのか、1年以上経過して酸化の可能性がある状態なのかで出てくる答えは変わります。その点をどうお考えですか?」 とツイートしました。添付のasahi.comリポートには「数の子や塩辛、イクラなどと合わせたところ、後味までさわやかな果実味が残った。すしなども含め、日本食全般に合う」 との記述はあっても、瓶内のワイン状態には触れられていません。新鮮さを感じさせる記述なので、たぶん「瓶詰直後の還元的要素が強い時だった」と推察できます。
沼田さんにも以前同じ問いかけをしたことがあります。沼田さんはご自身の体験として「通常、亜硫酸無添加ワインで、満足のいく品質のモノにあたることは少ないと思われます。このカテゴリーでの、高品質ワインの生産を望むのと同時に・・・(沼田さんの文・引用)」と記されていますが、私も無添加ワインの難しさはまさしくそこにあると思っています。
ゆえに、現段階での私の結論は、ワイン瓶内における「時間差=開けてみないとわからない不安定さ」、また自分で試した 「SO2無添加ワインの実験=生臭さ・苦さが出ていた」を前提にして、数の子とワインの相性の悪さの原因が、SO2に由来すると結論付けるには時期尚早と思っています。SO2無添加の高品質ワインで何度も試す必要があると思います。
カレッジの実験で、もう少し予算があれば、是非トライしてみたかったのがドラピエ社のブリュット・ナチュールNV サンスフルです。その名の通り、醸造時の亜硫酸無添加で、このシャンパン#6については昨年の講座で取り上げていますので、ご参考までに。
>>>http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2010-08-06-1
昨年秋、同メゾンを訪問し、ミッシェル・ドラピエ社長に隅々まで案内していただきました。シャンパン造りのコダワリも充分伺うことができました。サンスフル完成までにかけた情熱、3年間の試行錯誤の末に出来上がったシャンパンについてドラピエ社長は、「すべての条件が完璧でないと造れない」と言い切っていました。SO2無添加ながら安定したスタイル、私は100%満足しています。
ノン・ドザージュ(残糖2g/Lあり)で、同メゾンが最も大事にしているぶどう品種ピノ・ノワール100%を使ったベースワインの綺麗なブラン・ド・ノワールということを考えると、#5マイィのブラン・ド・ノワール同様、数の子との相性は良いはずと思っています。来年のお正月前までに沼田さんと高品質な無添加ワインも入れた相性実験をしたいです。
亜硫酸(SO2)に関する一考察
ワイン醸造で使われている亜硫酸の無害性については農学博士の渡辺正澄先生がかなり前から書かれています。2007年に行われた先生主催のワインマスター研究会で貴重な報告がありましたので、まとめておきます。
ワイン中の二酸化硫黄 (遊離亜硫酸=SO2) が無害であることは、1982年ドイツのマインツ市で開催された国際ぶどう・ワイン醸造シンポジウムで、
ガイゼンハイム研究所のProf.Dr.K.Wucherpfennig(プロフェッサー・ドクター・カール・ヴァッファフェニッヒ)が報告しています。欧米のワイン関連専門誌等でも、二酸化硫黄は、ワインの酸化防止や微生物による腐敗防止作用に必要であり、許容量以下の添加であれば、健康上、全く心配がないことを明記しています。ワインマスター塾では、ワイン中の二酸化硫黄が適量以下ならば、人体の酸化酵素で酸化され、対外に排出されることをWucherpfennig教授の報告にそって紹介しています。
欧州では食品の殺菌剤として2000年も前から使用
二酸化硫黄は、欧州では既に2000年も前から食品の殺菌剤として使われていました。
古代ローマの政治家で学者の大カトー(B.C. 234-149)の農業論には、ワイン醸造に初めて二酸化硫黄の使用が記載されています。今日では二酸化硫黄とその塩は食品に広く利用されている保存剤であり、殺菌剤でもありますが、さらに生体中に摂取された二酸化硫黄は少量ならばむしろ栄養となるそうです。しかしながら、摂取量について、多くのワイン生産圏では、個々の食品に対して適正な使用量を法的に遵守しています。世界食品保健機構は平均体重で一日あたり、二酸化硫黄を50mgに規制すべきであると提案しています。
二酸化硫黄が科学的にみて、健康にプラスかマイナスかは、30数年前に得られています。
■Shiele(ジーレ)は1971年に、世界各国のワインと二酸化硫黄に関する約1500以上の研究報告をして、「二酸化硫黄は生体内で代謝されて人体に有益な成分として取り込まれた後は酸化されて排泄される」との結論を導き出しています。
■Greenberg(グリーンベルグ)は1961年に二酸化硫黄は、生体に栄養と共に取り込まれるのみならず、多くの動植物と同様に一時的に、内臓(内部)各器官の代謝経路を経由して主に含硫アミノ酸(シスチン、シスタイン)に変わることも明らかにしています。この含硫アミノ酸は、食事中に不足しやすい重要なアミノ酸です。
含硫アミノ酸を多く含む食品
含硫アミノ酸(シスチン、シスタイン)は多くの食品中に含まれています。観世ふ、小麦粉末状小麦蛋白、大豆、粉末状大豆蛋白、新鮮なイワシ、かつお節、筋子、とり貝、イカ、伊勢えび、まぐろ、干し海苔など(文献:新編食品成分表 2000)
タウリンは、シスチンやシスタインを出発物質として生合成されますが、魚介類では特にタコやイカに多く含まれています。タウリンの多いタコは、この還元物質によって、冷凍貯蔵中に酸化されにくく、保存がきく食材の1つです。余談ですが、先の数の子の実験の松前漬がシャンパンと良く合っていたのは、日本酒で戻した効果もありますが、乾燥イカの“還元力”もあると思います。
ワイン醸造時、酵母、乳酸菌、貴腐菌の蛋白質・自己消化によって、含硫アミノ酸が生成されます。これらの化合物は、醸造過程でジエチル・サルファイトのような物質に変わります。テイスティング用語では、いわゆるミネラルと表現され、ワインを新鮮に保つ役目をしますが、貯蔵中に亜流酸となり、やがてグルコースやアセトアルデヒドと化合して結合亜硫酸となり、さらには亜硫酸塩として酸化されてしまいます。
以上のように、人間は日々、様々な食品から、含硫アミノ酸を栄養として摂取しているのです。
出典:ワイン総合研究所 ワインマスター研究会 渡辺正澄/2007年12月4日第12回会報
アンセルム・セロスが語る亜硫酸
最後に、ジャック・セロスのアンセルムさんはご自身のワイン造りにおいて、「2001年ヴィンテージにSO2を使わなかったら酸化がひどくなった。ぶどうジュースにSO2を入れないことでワインが病んでしまったら罪なことであり、それで病気の子供にほんの少し手当てをするのと同じように2001年にはSO2を使った」と語っていました。アンセルムさんの人となりがわかる一コマです。
ラベル:シャンパーニュと数の子 亜硫酸



gillmanさん
術後の具合はいかがですか? ご無理なさいませぬように!
micheさん、チェック、ありがとうございました!
ChinchikoPapaさん、いつも詳細なリポート、凄いです!
vientre-dolorさん、チェック、ありがとうございました!
ワインの裏ラベルに書いてある亜硫酸の使用意味
覚えておいていただけると嬉しいです!
う~~ん@@)!
おべべじゃなくって
白衣にビーカー風ワイン博士fumikoさま
そうなんですの?数の子 いくら {うに からすみ}(ナカッタケレド)
日本酒 : ワイン
つい 思っちゃいました。 グランマ・ぴよ拝
チェック&コメント、ありがとうございました!
ワインも誕生数秘学も、奥が深いですよね。日々努力で~す!
ところで、シャンパンは喜んでいただけましたか?
にょにょさん、ありがとうございます!
Binさん、チェック、ありがとうございました!
誤解や偏見を取り除く上で、こういう情報は貴重ですね。