2009年07月10日

ドライ&スイート両面の魅力を備えた“セミヨン”をもっと身近に

甘口ワインの世界では世界最高峰の「シャトー・ディケム」を筆頭に、素晴らしいワインが生み出されています。でも、辛口タイプとなると、セミヨン主体、あるいは、セミヨン100%といったワインを飲んでいる方は意外と少ないようです。6月にオーストラリアワイン日本事務所がプロだけを対象にしたセミヨンセミナーを行なったのですが、そこに参加していたメンバーの発言から、そのことがわかりました。国際種のセミヨンをもっと身近に・・・
そこで夏期講座第1回品種別では甘口&辛口の魅力を備えた“セミヨン”にスポットを当ててみることにしました。

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まず最初はセミヨンとブレンドされることが多いソーヴィニヨン・ブラン100%のワインをチェック!
白ワインの魔術師デュニ・デュブルデュー教授が造る、#1:シャトー・ドワジー・デーヌ2007
輸入元:ファインズ
上品な酸が心地良く、厳選されたぶどうの旨さが伝わってくる辛口の白ワインです。

その後の4アイテムはセミヨン100%、セミヨン主体です。
#2:ピーターレーマン・バロッサ・セミヨン2006 /輸入元:ヴィレッジセラーズ
セミヨン100%。オーストラリア、バロッサ・ヴァレーの熟したセミヨンから造られる柑橘系果実たっぷりのフレッシュ&フルーティな白ワイン。梅雨時にぴったりの爽やかな味わい。

#3:サドヤ シャトー・ブリヤン2004 /生産者:サドヤ
セミヨン100%、フレンチオークで12ヶ月貯蔵、さらに一升瓶で14ヶ月貯蔵、瓶詰は2007年6月。2004年ヴィンテージは2007年10月から発売。フレッシュでありながら、酸(黒酢のような)を予感させるような香り、シェリーのランシオ香に似たニュアンスもある。樽由来の軽いエグミ感、蜜のような甘さが後味に残る。総酸8.9g/L

#4:ティレルズ VAT 1セミヨン2008(輸入元:神酒連)
2008年ヴィンテージは未入荷、ワインオーストラリア日本事務所からの特別供出ワイン
セミヨン100%、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州ハンター産。グラス壁面に気泡があり、色調は若さを感じさせる淡いイエロー。香りの中に青っぽさ、口中ではきびきびした酸、余韻&喉越し軽め。

#5:エール・ド・リューセック2007(輸入元:ファインズ)
セミヨン79%、ソーヴィニヨン・ブラン21%のブレンド。フランス、ソーテルヌの2級シャトー、リューセックが造る辛口タイプ。上品な樽の要素とバランスの良さが講座生に受けたのか、当日の一番人気。さすがシャトー・ラフィットの自信作! リーズナブルなお薦めワイン

#6:デ・ボルトリ ノーブルワン2006 / 輸入元:ファームストン
セミヨン100%。ノーブルワンはNSW州リヴェリナ産。凝縮感があり、甘味と酸味のバランスが絶妙。今飲んで美味しいワイン。余韻にアプリコットやマーマレードの味わい。

#7:カルム・ド・リューセック2006(輸入元:ファインズ)
セミヨン97.5%、ミュスカデル2.5%のブレンド。生産者は#5と同じ。甘口ワイン「シャトー・リューセック」のセカンドワイン。発酵は新樽と1年目の樽を各50%ずつ使い、樽熟成は18ヶ月で発酵同様、新樽と1年目の樽が各50%。#6より新樽の要素が出ている分、インパクトが強い。厚みがあり、余韻も長い。ポテンシャルのあるワインなので、より長く熟成させたい。

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セミヨン100%の凄さを実感したのは2007年のことです。
オーストラリアのNSW州ハンターにある『ティレルズ』を訪問し、その時に若いヴィンテージのワインと熟成させたワインの劇的な違いを体感しました。ハンターのセミヨンが他の産地のセミヨンと異なることを知り、すごい衝撃を受けました。

ハンターは収穫期雨が多いので、雨を避ける意味で、一般的にぶどうが完熟する前に摘み取ります。結果、仕込んですぐの若いワインは酸がしっかりしていて引き締まった印象、アルコール度数は低めです。そして、長期熟成させることにより、蜂蜜やナッツ、香ばしさを備えたワインに変化していきます。他のエリアのセミヨンとは異なるハンターのセミヨン、これはオーストリアが誇る1つのスタイルです。

今年4月、サドヤのセミナーでセミヨン100%のワインをテイスティングさせていただきました。この時、同社のセミヨンに対する思い、根底にある考え方がティレルズに共通すると感じ、いつか、この2アイテムの比較をしたいと思っていました。今回、その思いが講座で実現、受講生の皆さんと一緒に試飲することができました。

2008年、2004年というヴィンテージ違い、また樽の使用の有・無もあって、2つの比較はイメージしていたものと少し違いました。やはり両社のセミヨンは長期熟成させたワインを味わうことがポイント! 次回は10年以上経過したワインでチャレンジしたいです。

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#6のノーブルワンと#7のカルム・ド・リューセックを比べてみると、前者の方が甘いのですが、酸はカルムの倍以上あります。この酸のもたらす効果なのでしょうか、ワインはベタベタせず、すっきりとしたピュアな印象なので、講座生からは「美味しい」という声がたくさん挙がっていました。

お楽しみとして、今回2種の甘口ワインに合わせて、オーストリーから持ち帰ってきた「ニコライホフ」のアプリコット・ジャム(ビオディナミ製品)、フルム・ダンベール(フェルミエ扱い)とのマリアージュを試しました。
カルム・ド・リューセックは樽の要素が強い分、ワインの方が勝ちすぎてしまい、相性の点では今飲み頃のノーブルワンが素直に合っていました。カルム・ド・リューセックとは5年後に再会したい、そんな気分でいます!
posted by fumiko at 23:55| Comment(1) | TrackBack(0) | ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Winoさん&miumiuさん
ワイン好きのおふたりもどんどんセミヨンのドライタイプ、飲んでください~
Posted by fumiko at 2009年07月13日 11:59
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