2009年01月19日

アンリオの『ブリュット・ミレジメ1989』、古酒に感じる焙煎コーヒーの香り

昭和女子大学オープンカレッジが始まりました。シャンパン編からのスタートです。
第1回目のシャンパン・メゾンは熟慮した結果、昨年創業200周年を迎えた『アンリオ』にしました!


左から(1)、(2)、(5)、(4)、(3)の順に並んでいます

テイスティングは以下の順で行いました。
最初はメゾンの顔と言える(1) ブリュット・スーヴェランNV、2番目は(2) ブリュット・ミレジメ1995
3番目は同メゾンのトップキュヴェ、(3) キュヴェ・アンシャンテルール1995
(1)、(2)、(3)の順に味わうと、ワインのベースになっている“生地”の違いがわかります。

(1) 柑橘系果実の風味があり、さわやかでミネラル感豊かな味わい
(2) 甘さを予感させる香りで、甘栗や熟した果実のニュアンス、上品できれいな酸味、余韻も長い
(5) ナッツの風味、ロースト香、重厚で生地の上質感あり、バランス良し

次にメゾン違いの(4) ニコラ・フィアット・パルム・ドール1997を。
ネゴシアン兼醸造業者MN(ネゴシアン・マニピュラン)のアンリオと
シャンパーニュ地方最大の生産協同組合CM(コオペラティヴ・ド・マニピュラン)のニコラ・フィアットの対比は、良年と言われている1995年と1997年のそれぞれの特徴が出ていました。
コクと広がりの1995年、果実味とエレガントさの1997年。ともにさすがトップキュヴェです、温度があがってくるとより一層ふくらみが感じられました。

そして、最後の供出は(3) アンリオのブリュット・ミレジメ1989!
講座生の皆様に新春スペシャルとして、20年経過したシャンパンの古酒を味わっていただきました。
輝きのある金色、キメ細かな気泡が1本筋になり連なっています。
気泡はワインに溶け込み、ドライフルーツやコーヒーのような香りで、味わいはきわめてドライです。
奇麗な酸の存在は見事、まだまだ熟成に耐えられる感じがしました。



シャンパンの古酒には得もいわれぬ魅力的な香りがあります。
カラメル、チョコレート、焙煎コーヒーのような香りなのですが、この謎について教えてくださったのが農学博士の戸塚昭氏です。

アミノ基と糖類などのカルボニル基との化学反応『アミノカルボニル反応』なるもので、食品・飲料全般を通して加工、貯蔵、熟成過程でこの反応がおきると、製品は褐色を呈するとともに、香りにも変化が生じてきます。これは発見者の名から『メイラード反応』とも呼ばれているそうです。


アンリオ創業200周年を祝う夕べから(2008年7月1日)
アンリオ200周年を記念して開催されたディナーに登場した『キュヴェ・アシャンテルール1959(マグナムサイズ)』、火打ち石やシャンピニョン、そして“コーヒー”のような香り!

アンリオ創業200周年を祝う夕べから(2008年7月1日)


講座でテイスティングした『ミレジメ1989』も綺麗な金色で、コーヒーのような香りがありました。
戸塚先生はアミノカルボニル反応について「酒類においてその成分中にアミノ酸と糖類が共存する清酒、みりん等ではこの反応は製品の貯蔵・熟成中に褐色に着色する劣化現象と認識されることが多いが、貴腐ワインや天然甘口ワインなどは酒質の向上が期待され、シャンパンなどの発泡性ワインにおいてもアミノカルボニル反応の効果が期待される」と述べています。

シャンパン製造では瓶内2次発酵の時点で、“蔗糖”と酵母を添加して瓶の中で自然の泡を発生させます。それから最後の作業の門出のリキュール(ワインと蔗糖の混合液)、ここでは蔗糖の量によりブリュット(辛口)やセック(半辛口)などに分けられます。
アミノカルボニル反応によって生成する化合物はアミノ酸の種類によっても異なり、風味も様々だそうです。シャンパンの瓶内二次発酵において生成する香りを経時的に解析した報告はないようですが、各種アミノ酸と蔗糖等の糖類を加熱した時の香りを分析した結果から類推して、シャンパンの古酒から感じられるカラメルや焙煎コーヒー等の香りはアミノカルボニル反応に由来するようです。                           参考文献:機関誌No.105

シャンパン・アンリオの輸入元:(株)ファインズ
URL:http://www.fwines.co.jp
なお、『アンリオ・ミレジメ1989』は、赤坂の『カーヴ ド ヴァン』になら少量ながら在庫があるようです。ご興味があるかたは03-3470-1062にお問い合わせ願います。

年初の素晴らしいシャンパン体験は(株)ファインズ様のご協力で実現することができました。心から御礼申し上げます。羽根田さ~ん、ありがとうございました♪
posted by fumiko at 23:23| Comment(7) | TrackBack(0) | オープンカレッジ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アンシャンテルールいいですよねぇ~私も大好き!
59って。。。一度は経験してみたい!
Posted by Wino at 2009年01月20日 23:32
先生のおかげでまた新しい体験をさせていただきました!
噂に聞いていたコーヒーの香...いいですねぇ。

家で「アミノカルボニル反応」の資料をじっくり読ませていただきました。
(結構こういうの好きなんです)
シャンパンの添加する酵母や糖の種類によって生成する化合物が違う...
ということはメゾンの酵母の種類や添加する糖が分かれば、ある程度そのメゾンによっての熟成した後の香りや味が予想できるかもしれませんね。
(誰か研究してくれませんか?)

まだまだシャンパンも奥が深くて面白いです!
Posted by shiomi at 2009年01月22日 14:56
winoさん、チェック&コメント、ありがとうございます。
前に貴ブログに「アンリオが好き」と書いていましたよね。
'59は50年以上経過しているのにそれを感じさせないフレッシュさがあり(気泡の恐るべき効果を実感)、複雑味、包容力がありました。
もちろんコーヒーの様な香りも魅力です!


shiomiさん
>噂に聞いていたコーヒーの香...いいですねぇ。
いいですよね~、貴重な体験ですよ~
shiomiさんのご指摘のあるような研究、私も期待しているのです。
今度、シャンパンメゾンを訪問した時にいろいろ聞いてみたいと思っています。たかがシャンパン、されどシャンパンなので(笑)
Posted by fumiko at 2009年01月23日 13:54
なるほど奥が深い。アンリオですか、また新しい名前を覚えました。
コーヒーというのも凄いですが、火打ち石って、何だか懐かしい気がします。子供の頃には有ったような。
Posted by hako at 2009年01月25日 23:59
hakoさん、無事、お戻りですね。
ドバイは興味ある都市ですが、私が訪問するチャンスは、なさそうです。
そのような意味からも現地からの画像は面白く拝見しました。
今年もより一層のご活躍を期待しています。

シャンパンの古酒に感じるコーヒーの香り、
火打石はシャブリ(ぶどう品種シャルドネ)を表現する時に良く使われます。
Posted by fumiko at 2009年01月26日 18:19
先生。こんにちは♪ こちらの口座、本当に受講したかったものなのですが、あいにく都合のつかない日が何日かあり断念しました。それだけに素敵な様子が益々色鮮やかにおいし〜く見えて聞こえます♪ 
次なる機会がまた早くきますように。。
Posted by Mitsy at 2009年01月29日 19:40
Mistyさん、コメントありがとうございました。
この回は本当に贅沢でしたよ。いつか、お時間があえばカレッジで!

2月は久々にお目にかかれそうですね、楽しみにしておりま~す♪
Posted by fumiko at 2009年01月30日 00:27
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