2025年06月03日

ビルカール・サルモンの30年来の大英断‼ NV『ブリュット レゼルブ』から新バージョン『ル レゼルブ』へ

1818年創業のビルカール・サルモンは7代にわたり家族経営を貫いているメゾンであり、星付レストランやミシュランシェフから絶大な人気を得ています。4月に来日した6代目アントワン・ローラン=ビルカール氏は、メゾンの顔 “ブリュット レゼルブ”の大胆な内容チェンジについて、要となるポイントを語りました。ワイン王国webの記事も併せてご笑覧くださると嬉しいです

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#1 ブリュット ロゼ
セパージュ:ピノ・ノワール33%、シャルドネ43%、ムニエ24%
ベースヴィンテージ:57%/2020年
リザーブワイン:43%/2018年、2019年
ワイン醸造:ステンレスタンク100%
ドザージュ:5.10g/L

#2 ブリュット スー ボワ
セパージュ:ピノ・ノワール30%、シャルドネ40%、ムニエ30%
ベースヴィンテージ:68%/2015年
リザーブワイン:32%/2006を含む5ヴィンテージ
ワイン醸造:オーク樽100%
ドザージュ:4.9g/L

#3:ル レゼルブ
セパージュ:ピノ・ノワール28%、シャルドネ29%、ムニエ43%
ベースヴィンテージ:29%/2020年
リザーブワイン:71%/2006年から2019年までの14ヴィンテージ
ワイン醸造:ステンレスタンク92%、オーク樽8%
ドザージュ:3g/L

#4 ブラン・ド・ブラン グラン クリュ
セパージュ:シャルドネ100%
ベースヴィンテージ:68%/2017年
リザーブワイン:32%/2012年、2015年、2016年
ワイン醸造:ステンレスタンク100%
ドザージュ:3.9g/L

#5 キュヴェ 二コラ フランソワ 2012
セパージュ:ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%
ヴィンテージ:2012年
ワイン醸造:ステンレスタンク90%、オーク樽10%
ドザージュ:3.8g/L

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贅沢なノン・ヴィンテージ
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ベースヴィンテージは2020年
リザーブワインはパーペチュアル(2006~2019までの14ヴィンテージ)
NVで14ヴィンテージを贅沢に使うのは凄すぎ

アントワン氏は画像のグラスがちょうど良いとおっしゃっていましたが、
私はもう少し大きめのグラスでも良いと思いました。
温度変化でリザーブワインに由来する複雑味が明確に出てきたから、というのが理由です!


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キュヴェ・二コラ・フランソワの新ヴィンテージ2012
シャンパーニュ地方にとって2012年はグレートヴィンテージ
健全に育ったぶどうは豊かな糖分と十分な酸味を備え、
屈指の出来栄えとなるシャンパーニュになっています。


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シャルドネの比率が多いロゼ
食通に好まれる味わい
ロゼも“ブリュット”が外れ、ル ロゼになります。


✨✨✨


5月のNHKシャンパーニュ講座でビルカールの新・旧比較
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#1:ル レゼルヴ(新)
ぶどう品種:ピノ・ノワール28%、シャルドネ29%、ムニエ43%、
ベースヴィンテージ:2020年/29
リザーヴワイン:2006年~2019年までの14ヴィンテージ(パーペチュアル)/71
ドザージュ:3g/L
価格:11,660円

#2:ブリュット レゼルヴ(旧)
ぶどう品種:ピノ・ノワール30%、シャルドネ30%、ムニエ40%
ドザージュ:8g/L
価格:11,000円

#1#2の大きな違いは3点
①リザーブワインの比率、②瓶熟の期間、③ドザージュ量
それと「ル レゼルブ」は少しだけ木樽を使用

#2のベースヴィンテージは明確でなかったので非記載
リザーブワインはベースヴィンテージの2つ前までのワインを使っていたので、
もしベースヴィンテージが2020年なら、リザーブワインは2019年と2018年ということになります。

第3週&第4週とも、多くの受講生が、味わいの変化を感じ取ってくださいました。
昔からのBSファンは、旧バージョンがお好みだったかも
私は旧バージョンの果実感が好きでした。
新バージョンは、温度やグラスによる変化、時間の経過で複雑味が増してきます。


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#3:ル シエルジュロ2020 
ぶどう品種:ムニエ100%
ドザージュ:0g/L
価格:24,200円

マルヌ渓谷のテロワールを生かした単一区画シエルジュロのムニエ100%。シェフ・ド・カーヴのナタリーさんがムニエの出来を見て決断。この2020年がファーストヴィンテージになります。酸味は穏やか、石田博ソムリエから「他に類を見ないスタイル」と評されたアイテム

#4:ラ コート ア ブラ2015
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
ザージュ:0g/L
価格:24,200円

5代目が区画に注目して誕生させたシャンパーニュ、2008年から毎年生産。自社畑キュミエールにある区画コート ア ブラのピノ・ノワール100%、完熟ぶどう由来の豊かなアロマ、凝縮感、豊潤さ、口中で広がる酸味の心地よさ、厚み、ジョセフ・ペリエのDNAを感じさせるアイテム


第3フライトはキュヴェ ジョセフィーヌ2014
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第1フライトのBSビルカール・サルモン、第2フライトのJPジョセフ・ペリエ
各メゾンの味わい&スタイルを感じ取ってもらった後で、(ブラインド供出)の#5が、
第1フライトと第2フライトのどちらに類似しているか判断してもらいました。

各週とも9割が正解していたので、この試みは一応成功だったかと・・・
BSはミネラルや酸のキレが特徴
それと比べるとJPはフェミニン、穏やかで控えめ

キュヴェ ジョセフィーヌは
1982年のファーストヴィンテージから85年、89年、90年、95年、98年、
2002年、2004年、2008年、2012年そして最新2014年で、11回のみリリース

今年で創業200周年になるジョセフ・ペリエ
JP来日セミナーでは石田博氏がゲストスピーカーとしてコメントを担当しました。
詳細はワイン王国webで!
コルクについて
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左は第3週のコルク、右は第4週のコルク
開栓時、中央のラ コート ア ブラ2015だけ、短い手応えを感じた(並べても中央だけ低い!?)ので、メゾンに質問

回答:長さの違いは意図したものではなく、天然素材ゆえの差異&期間の差。製造工程によっては寸法にわずかな差異が生じます。というのも、コルクはコルク樫の樹皮から採取されますが、樹皮の成熟度によって厚さが異なるためです。もちろん規格化と均一性の追求は行われていますが、瓶口に栓をしている期間の長さによってもコルクの長さに違いが出てきます。

お送りいただいた写真の栓は、3種類のキュヴェ、異なるヴィンテージ、異なるデゴルジュマン(澱抜き)であり、ボトル内で過ごした期間も異なります。これらが3本のコルク寸法に差がある理由です。また、コルクは抜栓後にわずかに膨張して元の体積に近づきますが、瓶詰め前の完全なサイズには戻りません。コルクは完全に天然の素材であるがゆえに、若干異なる動きを示すことがありますが、目的 -特に密封性- はしっかり果たしています。


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5月半ば、修学旅行以来、奈良を訪問
柿が名産なので、「柿もなか」を購入
講座でシャンパーニュと合わせてスペシャル体験をしてみました。
柿を半分使った贅沢なアンはとても美味、味わいも上品
ムニエ100%との相性良好でした!
京都・奈良に関しては後日アップします


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製品についての問い合わせ先:JALUX 電話 03-6367-8756


2025年05月24日

2000万年前の時が織りなすワイン産地サンタバーバラ・カウンティ&初代「カリフォルニアワイン・ソムリエアンバサダー」決定


 カリフォルニアワインの多様性を発信しているカリフォルニアワイン協会(CWI)
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カリフォルニアワイン協会主催のカリフォルニアワインAliveテイスティングは試飲会とセミナーの2本柱です。2019年から“テーマ産地”を定め、ナパ・ヴァレー、ソノマ・カウンティ、ローダイ、パソ・ロブレス等を深堀りしてきましたが、今年は冷涼エリア、映画『サイドウェイ』の舞台にもなった「サンタバーバラ」にフォーカスしました。
業界関係者対象の試飲会には、東京64社791品、大阪49社645品の出展数があり、参加者は東京674名、大阪308名で、過去最高数を記録との公式発表もありました。


カリフォルニアワインAliveテイスティング2025
第一部セミナー
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ABC、クラウン・ポイント、フェス・パーカー、ブリュワー・クリフトンの各生産者
最右はサンタバーバラ・カウンティ・ヴィントナーズのアリソン・ラスレットCEO

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総面積68万5,000ヘクタール以上
総栽培面積4,450ヘクタール以上
ぶどう品種は75種以上
栽培のトップ5品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、シラー、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
AVAは7つ(2025年現在)

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■サンタ・マリア・ヴァレー/太平洋に近いエリア、CHやPNやシラーを栽培
■サンタ・リタ・ヒルズ/PNやCHに適したエリア、日較差は10度程度
■バラード・キャニオン/サンタ・リタ・ヒルズの東側に位置し、ローヌ地方のミストラル似の風が吹くローヌ系品種向きのエリア

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■ハッピー・キャニオン・オブ・サンタバーバラ/ 海から離れた30度超の日もあるエリア、栽培品種はボルドー系のCSやSB
■ロス・オリヴォス・ディストリクト/50のテイスティングルームを備え観光に力を入れているエリア、SBが主役
■サンタ・イネズ・ヴァレー/5つのAVAを包括、土壌も品種も様々、多様性に満ちたエリア
■アリソス・キャニオン/暑すぎず&涼しすぎずの気候状況に恵まれた最も小さなエリア、ローヌ系品種向き

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1.フェス・パーカー シャルドネ“アシュリーズ” 2023
サンタ・リタ・ヒルズAVA。2023年は冷涼年。太平洋に近い冷涼エリアで畑は砂質土壌。ぶどう樹は1990年代後半にパーカー家が植樹。100%樽発酵(新樽37%)、7カ月熟成。柑橘系果実、黄リンゴ、洋梨、レモンクリーム、バニラ、ブリオッシュ、口中なめらかな、好印象。

2.ブリュワー・クリフトン 2023  ピノ・ノワール
サンタ・リタ・ヒルズAVA。1996年にワイナリーを立ち上げ、ワイン業に関わって30年のブリュワーさん。造りのスタイルは10~30年の使用樽を活用。全房発酵を取り入れているのは「“梗”が、繊細な植物的なアロマを生み出し、果実の力強さを引き立て、タンニンやストラクチャー、旨味の要素が表現できるから」とコメント。果実と酸味のバランスが良く、丁寧さが伝わってくる味わい。

3.オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール“ノックスアレキサンダー” 2020
サンタ・マリア・ヴァレーAVA。1982年創業のワイナリー。サンタバーバラの地で造るブルゴーニュスタイルの魅力を世界に知らしめた創業者ジム・クレンデネンさんは2021年に他界し、現在は長女イザベルさん&息子ノックスさん、ワインメーカーのジム・エデルマンさんとセラーマスターのエンリケ・ロドリゲスさんの4人体制で活動中。父親亡き後も、ワイン造りの標語は“バランスと個性”。ノックスアレキサンダーはぶどうは3つの畑、ワイナリーが位置するビエン・ナシード、自社畑ル・ボン・クリマ、隣接するランウェイの一部を使用。発酵は5トンの開放型発酵槽を使い、25%全房発酵、フランソワ・フレールの新樽100%で熟成は22ヵ月。ラズベリー、ベーキングスパイス、ナツメグ、アーシーさ、ミネラルのニュアンス。

4.ラバージ グルナッシュ 2021 来日中止
サンタ・リタ・ヒルズAVA。同エリア西側の敷地に点在する17エーカーの畑にアルバリーニョ、ピノ・ノワール、グルナッシュ、シラーを栽培。動画で「健全な畑から産する果実味・骨格・酸味を備えたバランスの取れたぶどうが重要であり、そのためには収穫のタイミングが大事」とのメッセージ。世界で最も冷涼なグルナッシュの栽培地のひとつで、全房発酵の比率は23%、ブルゴーニュ樽(228L)で18ヵ月育成、アルコール度数15.4%、ボディ感ある味わい。

5.クラウン・ポイント “カベルネ・ソーヴィニヨン” 2021
ハッピー・キャニオンAVA。太平洋から北へ18㎞、サンタバーバラ・カウンティの東端、標高290ⅿで畑は15ヘクタールで岩が多い火山性土壌、南向き30度の斜面。ぶどう品種はCS97%とPV3%(自社畑100%)のブレンド。新樽と一空樽各50%で22ヵ月熟成、赤紫の色調で粘性もあり、カシスやブルーベリーのアロマ、若々しいテクスチャーで中盤からシルキーなタンニン。


供出ワイン
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供出順に
1.フェス・パーカー シャルドネ シャルドネ“アシュリーズ” 2023
2.ブリュワー・クリフトン ピノ・ノワール 2023
3.オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール“ノックスアレキサンダー” 2020
4.ラバージ グルナッシュ 2021
5.クラウン・ポイント “カベルネ・ソーヴィニヨン” 2021


午後からの試飲会
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大盛況!

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フリーマンアキコさんのワインスタイルは上品
和の要素を感じます!

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桃井隆宏さんが手掛けるアーサーセラーズのワインは超お薦め

余談ですが・・・
椿山荘主催『日本で飲もう最高のワイン2015』で専門家審査員を担当した時、
最高賞プラチナに選ばれたワインのひとつが桃井さんのピノでした。
10年ほど時が経ちましたが、今回、久々に桃井さんと再会し、懐かしく嬉しく思いました!

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上記は2015年の受賞式の記録
ここにも書いてありますが、
アキコさんと桃井さんのワインの師匠はエド・カーツ氏
品のある造りが共通しています。

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マージュラムのブース

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当日のマイベスト
シラー好きには最高でした!


✨✨✨

 サンタバーバラのワイン試飲とHAL YAMASHITAの新和食の食体験
試飲会翌日のプレスイベント

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   出典:CWI


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Haru YAMASHITA シェフのオリジナルメニューに合わせて

勢揃いした来日メンバー
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アリソン・ラスレットCEO(2列目中央)&来日した9生産者


オーボンクリマ ブースの設定はABC順でした
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イザベル・クレンデネンさん 
ヒルデガードホワイトワイン2021はサンタ・マリア・ヴァレーAVA
PB50%、PG45%、アリゴテ5%をブレンド
新樽100%で品種毎に2年間熟成、私には樽若干強め


ブリュワー・クリフトン
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グレッグ・ブリュワーさん
サンタ・リタ・ヒルズ ピノ・ノワール2022

ジム・クレンデネンさんを尊敬し、彼の造りを模範にしてきたグレッグさん
使用樽を使い、全房発酵に注力する彼のワインは繊細
ABCの後に試飲したことで双方の造りの違いを実感

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愛媛の真鯛のカルパッチョと新鮮なハーブとナイスなペアリングだったシャルドネ
ブリュワー・クリフトンのワインに感じる“塩味と旨味”


クラウン・ポイント
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エージェー・フェアバンクさんはカベルネ・ソーヴィニヨンを2種


ディアバーグ・ヴィンヤード&スターレーン・ヴィンヤード
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タイラー・トーマスさん
シャルドネ ドラム・キャニオン・ヴィンヤード2019
スターレーン アストラル2013

う~ん、見覚えあるお顔・・・
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当時の画像をお見せして確認しました。
2014年当時はワインメーキングディレクター、今は醸造長兼社長
サンタバーバラの素晴らしさが体感できた貴重な訪問記はコチラ


フェス・パーカー
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スペンサー・シュールさん
ブースではシャルドネ2023とピノ・ノワール2023を紹介


ラバージ
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来日できなくなってしまったラバージ
サンタバーバラ・カウンティのフィル・カーペンタ―さんが代役!

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握り寿司に合わせたのはアルバリーニョ2023(未輸入)


ロンゴリア
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ブルック・クリスチャンさん
手にしているのは日本未輸入のアルバリーニョ2023&メンシア2022


マージュラム
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ダグ・マージュラムさん
ローヌ系5品種を使用したM5

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照り焼き鶏もも肉にはマージュラムM5、メイン品種はグルナッシュやシラー
2014年のサンタバーバラ訪問時から気になっていた造り手が“マージュラム”


ネイティブナイン
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ジェームズ・オンティヴロスさん
ランチョ・ヴィネード シャルドネ2020とピノ・ノワール2020を手に!


プレスキィ―ル
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トニー・チャさん
日本未輸入のアリゴテ2023&ピノ・ノワール2022を披露



【最新情報】
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記載事項に関するお問い合わせ先
カリフォルニアワイン協会(CWI)
jpmedia@wineinstitute.org

posted by fumiko at 23:02| Comment(0) | カリフォルニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月13日

テロワールの探求と進化を続けるブルゴーニュのドメーヌ シャンソン

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輸入元ファインズの招聘で来日したシャンソンのヴァンサン・アヴネル社長が、
直近の話題について語りました。
リポートはワイン王国webで!

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ヴァンサン社長が手にしているのはドメーヌもの

2024年の出荷分から新しいロゴを採用しています。
ドメーヌワインはDOMAINE CHANSON
ネゴシアンワインはDEPUIS 1760 CHANSON
わかりやすくなった印象です!

GREAT PLACE TO WORK®

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出典:ファインズ


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取材会場だったアピシウス
上品な設えの店内は心地良い空間でした!

posted by fumiko at 12:23| Comment(0) | 来日したワイン生産者&関係者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月06日

ランベルト・フレスコバルディ社長がレトロスペクティブ垂直試飲で語ったスーパータスカン『マッセート』


“魅力あふれる豪華さ”の代名詞
深みがありビロードように滑らかなブラックチェリーの風味と、
南国の豊かなチョコレートの濃厚さ
マッセートには心が震える官能があり、甘美なメルローを見事に表現した“高貴さの完成形”

セレナ・サトクリフMWがスーパータスカン『マッセート』を形容した一文、最上級の賛辞


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左から ■マッセティーノ2022、2018
■マッセート2021、2016、2015、2013、2009、2006、2005、1999、1996、1995

昨秋開催されたマッセートのマスタークラス
レトロスペクティブと題された垂直試飲

2021年から1995年まで遡って10ヴィンテージ(VT)を垂直試飲しましたが、
収穫年の古いワインまでを単に回顧(試飲)するだけでなく、
収穫したぶどうに長年の知恵を投影させてきた社長ならではの試み
今後の進化を目指す意味合いを加味した表現と推察しました。
マッセートの根幹は
伝統と未来のコンビネーション!

                    🍷

新任のマルコ・バルシメッリ生産部長を伴い
6年ぶりに来日したランベルト・フレスコバルディ社長

トスカーナの歴史と深いつながりがある名門フレスコバルディ家
同家がワイン醸造を開始してから30代目となるランベルト氏
“レトロスペクティブ”との形容に深みを感じます。


                   🍷 🍷 🍷


イタリア・トスカーナのスーパータスカン『マッセート』
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画像データ:(C)マッセート

トスカーナ州の海沿いに位置するマレンマ地方ボルゲリ
ワイナリーは地中海からわずか数キロ


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photo by Fumiko

自然の本質をとらえ、それを最高レベルに引き上げる

鮮新世粘土質土壌の小区画から生まれるマッセート
特別な青色粘土層とメルロとの良好な関係
水分を溜め込んだ土壌は地中の温度を冷たく保つ
メルロは成長を促され、複雑味を高める
因みにマッセートはドライファーミング(無灌漑)


参考資料
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出典:武田弘先生作成の地質表


青色粘土層(C)マッセート.png
画像データ:(C)マッセート

セミナー中、繰り返し強調されていた特殊な青色粘土層

約7㌶の丘の中腹にあるぶどう畑は、
上部は小石と砂の多い土壌
下部は砂と粘土が混在する土壌
中腹部はブルー粘土と呼ばれる土壌

🍷 🍷 🍷


第1フライト
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第1フライトはマッセティ―ノ2022、2018
マッセート2021、2016、2015、2013
着席時にはテーブル上に6グラスが並んでいました。

マッセティーノ樹齢の若い樹を使ったマッセートのセカンドワイン、飲みやすくフレッシュ
■2022年は冬から春の間は乾燥していて高温と旱魃が75日続いた。夏も非常に暑く35度を超える日があったが8月の降雨でぶどうは良好に熟した。マッセティ―ノは猛暑でも“フレッシュさ”を備えていることがポイント。アロマ、ボリューム感、スタイルにおいて理想的なVT
■2018年はぶどうが熟すには温暖な気候だった。極端な温かさではなかったが、春はマッセート史上最も降雨が多かった。収穫は長期にわたり、8月31日から開始し10月4日に終了。チェリー、プラム、バラ、ヴァニラ、スムーズなタンニン

マッセートの三要素はフレッシュ、ミネラル、塩味
■2021年 温暖年。完璧なVTのひとつ。年初にかなりの雨が降り、地中に水分が蓄えられた。夏の暑さが凝縮感を与え、バランスの良いぶどうが収穫できた。チェリー、スパイス、エレガントで余韻も長い
■2016年 雨が多かったが、気候は程よく収量も適量。肉厚でタンニンも豊か、カシス、甘草、ココア、今までになかったタイプ
■2015年 気候は完璧、約10年経過しているが、まだ若さを備えたVT。フレッシュ、塩味、口中での厚み、緻密なタンニン
■2013年 降雨が多く気温は低め。「偉大なテロワールはパフォーマンスに優れ、2013年ヴィンテージでは粘土質が余分な水分を吸い取ってくれた」とバルシメッリ氏。チェリー、ミント、バルサミコ、アールグレイ、黒オリーブ



ボルゲリの特殊性
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ボルゲリについて「トスカーナにあって、トスカーナではない。この地は昔からサンジョベーゼの品種で知られてきたが、温暖な気候下のボルゲリは特殊で、ボルドー系品種に適したエリア」とフレスコバルディ社長


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マッセート・カヴォーへの入り口
専用に設計されたセラーには、すべてのヴィンテージのマッセートを、
個別のスチール製バスケットで完璧な状態で保管



第2フライト
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マッセート
■2009年 温暖年。夏の間降雨はなく、35度超えの日が続いた。アフリカから吹く強風(シロッコ)でぶどうの熟成は進み、収穫はマッセ―ト史上最も早く9月2日に始まり10日に終了。糖分、酸味、タンニンのバランス良好、チェリー、スパイス、ミネラル、チョコレート
■2006年 偉大な収穫年。4月から8月まで降雨がなかった。9月上旬に気温が上昇、理想的な天候のおかげで凝縮感あるぶどうを収穫できた。非常に乾燥した年。黒系果実、スパイス、エレガントなタンニン、フレスコバルディ氏とバルシメッリ氏好みのVT
■2005年 芽吹きは遅れたが開花は例年より早く順調な天候に恵まれぶどうは完璧に熟した。20年経過しているが、若々しくクリスピィ。バルサミコを連想させる熟成感。ミネラル、塩味、チョコレート
■1999年 冬から春まで冷涼、夏は暑く日較差(昼夜の温度差)があり、収穫は理想的な気象条件下、7日間続いた。ハーブ、甘草、葉巻、黒オリーブ。熟成が進んでいる印象ながらまだ熟成のポテンシャルあり
■1996年 冷涼年。芽吹きは遅かったが6月と7月は安定した気候。8月中旬の降雨で熟成が遅れたが収穫は9月8日に開始。90年代は現在と違い、大きなばらつきはなく、マッセートのDNAミネラルや塩味が顕著。黒系果実、バルサミコ、アールグレイ、レザー
■1995年 冷涼年。年間を通して例年通りの気候、6月下旬から気温が低下、8月は断続的な降雨、9月は涼しい日が続き、収穫は9月13日に終了。ミント、バルサミコ、トリュフ、チョコレート、上質なタンニン

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長年ボルドーでワイン造りに従事してきたマルコ・バルシメッリ氏は、ボルドーとボルゲリのそれぞれの土壌で育つメルロついて、「気候や標高、台木や剪定が違うが、ボルドーでは樹勢が強くなりがちなので、植密度を高める必要がある。一方で、マッセートは、特殊な粘土質土壌ということもあり、植樹間隔はボルドーほど留意する必要はない」
また、「2020年や2021年は暑い年だったにも関わず、素晴らしいワインができたので、温暖化に対しては、気温の上昇だけをとらえるのではなく、それよりも、一時的に大量の雨が降ったり、極端に寒い日、暑い日等が発生することが増えているので、気候全般を見た時の、“変化の早さ”を懸念している。ぶどう畑でいかに対処していくかが課題である」と言及。

フレスコバルディ社長は、マッセート10ヴィンテージの垂直試飲の後、「ワインは熟成によって変化していくものであり、樹齢が古くなれば複雑味も増し、古樹になれば気候への適応力も備わっていくが、ワインは年ごとの個性を反映した農産物」と強調。リコルクに関しては、反リコルク派であることを明言。「ワインのマジックモーメントを壊すから」というのが理由。気候変動対策については、「涼しい年は結構あるが、天候を自分たちの力で変えることはできないので、ぶどう樹の台木や仕立て方を工夫しながら管理していく必要がある」と語りました。

マイベスト3は・・・
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2015年 果実の凝縮感、旨味、シルキー
2006年 骨格、バランス、ボルドーを彷彿とさせる味わい
1996年 マッセートの神髄“フレッシュ”、エレガンス、個人的に冷涼年好み


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マッセティーノ&マッセート
ラ・プラス・ド・ボルドーを介して市場に!
オルネッライアと併せて、ワイン愛好家垂涎のアイテム


🍷 🍷 🍷

CYCLEでペアリングディナー

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すべてのワインは大容量のマグナムサイズで登場
マッセートは2021年、2006年、1996年の3アイテム
セミナーでマイベスト3だった
2006年と1996年を見つけ、
何とも光栄でハッピーな気分

ワインの熟成に寄り添う
トリュフ、イチジク、ヘーゼルナッツ、チョコ等


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花や葉、根を表現したアミューズブーシュ
栗のフィナンシェ、リコッタチーズ入りのスナック等


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一番若いヴィンテージからスタート
カルパッチョ風和牛のとろけるような脂分を、
若いメルロのタンニン分が洗い流してくれる印象

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菊芋、ヘーゼルナッツ、アンコウ × マッセート1996

社長のお気に入りヴィンテージ
菊芋のもったり感、木の実の風味
こってりしたソースが仲介役


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アメ色の恵鴨


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牛蒡、オレンジ、恵鴨 × 2006年ヴィンテージ

ポテンシャルある2006年
大容量は若さあふれる趣き
牛蒡のミネラルや鴨のロースト風味と合わせて

10年後、2006年のマグナムと再会できたら、と願ってしまいました!


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チョコレート、小豆 × マッセート2006

サトクリフMWが表現するチョコレートの濃厚さ
茹で小豆のニュアンスも感じました!


マッセート画像.jpg

挑戦するのは怖いことではあるが、
30年前にマッセートを手掛けた人たちに感謝している。
未来があるから今がある!

ペアリングディナーの〆で上述のように挨拶したフレスコバルディ社長


                   🍷

ランベルト・フレスコバルディ社長、マルコ・バルシメッリ氏&エレナ・オプレアさん
マスタークラスセミナー&ペアリングディナーにお招きいただき、ありがとうございました!


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🚩Cycle
ヨーロッパ基準のプラスチックフリー認証グレードBを取得(4月16日付)
使い捨てプラスチックの使用を最小限に抑えることを目指す認証機関が発行するもので、
Cycelが日本の全業界において初の取得店になりました。
サステナブルと自然保護をコンセプトにしているので、
環境への配慮は、当ブログに載せているお料理や器等でもご理解いただけると思います。


💦ご挨拶
SSブログからseesaaブログへの引っ越しに伴い、リポートが大幅に遅れてしまいました。
すみませんm(_ _)m

posted by fumiko at 23:00| Comment(0) | マッセート/ Masseto | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月27日

シャンパーニュ講座でランソンのクリエイションを披露


ランソンの新プロジェクト「クリエイション」
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  • ルイ・ロデレール コレクション245
  • ランソン ブラック・クリエイション258
  • ランソン ロゼ・クリエイション67
  • ランソン ノーブル・シャンパーニュ2005
  • タルラン ラ ルテシエン プレステージュ2005
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まず、ブラインドで#1と#2をテイスティング
下記の対比表を参考データとして配布

その後、ランソンスタイルを反映させた人気のロゼを供出
#1と#2のどちらに共通項を感じるか
判断していただきました。

第1フライトはランソンとルイ・ロデレールの利き比べ
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  #1:ルイ・ロデレール コレクション245

  • 生産者:ルイ・ロデレール(NM
  • ぶどう品種:CH41%PN35%M24%
  • ベースヴィンテージ:2020年(55%)
  • リザーヴワイン:45%
  • ドザージュ:7g/L
  • 価格:10,450
  • 輸入元:エノテカ
奥行きのある味わいのコレクション
グラス内の時間経過を含め、アロマ豊かで、黄リンゴ、マンダリン、ネクタリン
中盤から柑橘果実の内果皮似の軽いビター感
酸味の広がりとキレ感、塩味、余韻は口中滑らかでバランスの良い着地

  #2:ランソン ブラック・クリエイション258

  • 生産者:ランソン(NM
  • ぶどう品種:PN50%、CH35%、M15
  • ベースヴィンテージ:2018年(68%)
  • リザーヴワイン:32%
  • ドザージュ:8g/L
  • 価格:9,900
  • 輸入元:モトックス
ブラック・クリエイション(旧:ブラック・ラベル)
1760年から通算258回目の収穫
2023年にスタートしたクリエイションプロジェクトに絡む表記
気泡活発、青リンゴ、レモンやグレープフルーツ、洋梨、バターやアーモンド
焼きたてのパン、ドライフルーツ、塩味、最初から最後まで綺麗に広がる酸味
活き活きした印象&まろやかさ

最新・比較表.png                 
講座で配布した比較表
ノン・ヴィンテージの中身を明確にした2メゾン
ブラインドの第1ヒントは黒ぶどうと白ぶどうの比率の違い
色調に若干の差があることがわかります。


クリエイションのコンセプト
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スタンダードキュヴェの詳細は
QRコードの読み取りで理解できます!

✨✨✨


#3:ランソン ロゼ・クリエイション67 
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  • 生産者:ランソン(NM
  • ぶどう品種:PN52%、CH34%M14
  • ベースヴィンテージ:2019年(71%)
  • リザーヴワイン:29%(パーペチュアルはステンレスタンクで保存)
  • ノン・マロ比率:75%以上
  • ドザージュ:8g/L
  • 価格:14,850
  • 輸入元:モトックス
旧:ロゼ・ラベル
1952年にロゼ・シャンパーニュを生産してから67回目の収穫
他のメゾンではロゼのシェアが約10%程度ですが、
ランソンではロゼの人気が高く20%を占めています。
チャーミングで優しさが漂うロゼ
アロマはブラッドオレンジやドライローズ、口中では繊細で滑らか
講座では特に女性の皆さんから高評価を得ていました。
ロゼ・シャンパーニュが苦手という男性からも嬉しい反応💕

✨✨✨



第2フライトは2005年ヴィンテージ比較
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  #4:ランソン ノーブル・シャンパーニュ2005

  • 生産者:ランソン(NM
  • ぶどう品種:CH70%、PN30%
  • ノン・マロ:100%
  • デゴルジュマン:2023年1月
  • ドザージュ:6g/L
  • 価格:39,600
  • 輸入元:モトックス
輝きのある黄金色、絶え間なく連なる微小な気泡
アロマ豊潤、古酒由来のモカや焙煎香、クリームブリュレや砂糖漬けのコンフィ
20年の歳月を感じさせないフレッシュ感と層を成して広がる複雑味
気泡はワインに溶け込み滑らか、今飲んで美味!

  #5:タルラン ラ ルテシエン プレステージュ2005

  • 生産者:タルラン(NM
  • ぶどう品種:CH80%、PN20%
  • デゴルジュマン:2021年11月
  • ドザージュ:0g/L
  • 価格:17,600
  • 輸入元:(株)八田

タルランは2022年の講座でフォーカスし、#5を試飲しましたが、
その時は「ラ ルテシエン ブリュット ナチュレ2005」とのネーミング
デゴルジュマンは2020年2月でした。
暑い年ながら収穫期は涼しかったヴィンテージ
第一香から石灰質由来のミネラルがあり、口中で土壌を感じる程
完璧に熟した果実の豊かさ、ぶどう本来の厚みがあるので、ノン・ドゼとは思えない味わい
黄色系の柑橘果実、ストーンフルーツ、コーヒーの焙煎香、アーモンドやブリオッシュ
ゆるやかな酸化熟成のニュアンス
清涼感もあり、ドライな風味


第2フライトもブラインドで供出
先に試飲したランソンの2種と類似しているのはどちら?

第4週では、
13名中9名が#4をランソンと判断
半数以上の皆さんがランソンのスタイルを利き分けてくださいました。
ノン・マロを重視してきたメゾンならではの酸味の一貫性


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ランソン2005はゴールドの輝き




2025年1月から
モトックスが正規代理店として販売を開始
2023年にランソンが導入した新コンセプト「クリエイション」の取扱いも!
今年2月にヘッドオブアジアのマリアン・ジョフロワさんが来日し、お披露目セミナーを開催
ここでは6アイテム試飲しました。

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  • ブラック クリエイションNV
  • ロゼ クリエイションNV
  • ホワイト・ラベル セックNV
  • ヴィンテージ2013 
  • ノーブル・シャンパーニュ2005 最高の年のみ限定生産/10000~25000本
  • ノーブル・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2005 最高の年のみ限定生産/10000~15000本

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ノン・マロの本領発揮
フレッシュな酸と熟成感


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ベースワインは2014年(70%)
ドザージュ28g/L
お薦めしたい癒やしタイプ!!


🍸🍸🍸


Drinks International が選んだThe List
The World’sMost Admaired Champagne Brands 2025
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ドリンクス・インターナショナルが発表した2025年のランキング
1位は圧巻のルイ・ロデレール
長くノン・マロ100%を貫いてきたランソン
2013年にエルヴェ・ダンタンさんがセラーマスターに就任して以降、
現在はヴィンテージものだけがノン・マロ


春季講座が開始しました!
引き続き、ワクワク感のある内容にすべく頑張ります。
何卒宜しくお願いいたします。