2026年10月05日

業界で活躍したBacchus さんを偲びながら・・・


お花1.jpeg

今年は、尊敬すべき方々の訃報が続きました。
腐敗した政権に正面から立ち向かってくれた久米宏さん、三輪明宏さん、張本勲さん、倉本聰さん、文化面でも知的な刺激を与えてくれた東野圭吾さんや山田太郎さん
皆さんには、もっともっと長生きして、世の中を、明るく健全に、導いて欲しかったです。

8月、私の周りにも、あっという間に現世に別れを告げ、違う世界に旅立ってしまった愛すべき逸材がおりました、享年60歳
去り方は高円宮や田中一光さん、ナンシー関さんと同じで、ほんの少し前まで、テニスをしたり、食事をしながら談笑していたのに、という感じで、亡くなる2時間前まで彼はPC作業をしていたようです。


ご本人がSNSのアイコンにしていたのがBacchus(神様)
ブルゴーニュの名門ルイ・ジャドの樽に描かれているバッカスが由来(当時の勤務先/輸入元日本リカー)しています。

ラルディエールさんと 2018年7月ピノセレブレーション.jpg

Bacchusさんが信頼を寄せていたのは、ルイ・ジャドで名醸造家として名を馳せたジャック・ラルディエールさん。ラルディエールさんがルイ・ジャドから離れ、同メゾンがオレゴンに立ち上げたレゾナンスの醸造責任者に就任後、2018年に開催されたピノ・ノワールの祭典「ピノ・セレブレーション・ジャパン」に来日。その折、撮った2ショットからは、ふたりの信頼感が伝わってきます。


輸入元日本リカーはコート・デュ・ローヌの大御所ミシェル・シャプティエも扱っていました。

2009年3月 シャプティエ.jpg

2009年にペニンシュラホテルのヘイフンテラスで、サシで取材した時は緊張しましたが、Bacchusさんのおかげで、実のある話が聞けました。
今でこそ、多くのワイナリーがビオディナミやオーガニックを謳っていますが、ルイ・ジャドとシャプテイエは気候、土壌、微生物等への取り組みの先駆者です。


さらに、Bacchusさんにとって、もうひとつ、大事なワイナリーが・・・イタリアのピオ・チェーザレです。
チェーザレ当主が愛娘フェデリカさんを伴って来日した時、彼女は20歳、初来日でした!

2017年12月来日.png
そして・・・


ピオ・チェーザレ ファミリー.png

COVID-19の合併症で当主が急逝
この時のBacchusさんの落胆の様子は目に焼き付いています。


o○.。o○.。o○ .。o○.。o○.。


お別れ会 公式Photo.jpg
お別れ会の画像から


サービスされたシャンパーニュ.jpeg
Bacchusさん関係の輸入元のシャンパーニュがサービスされました🥂


お花2.jpeg

幹事役のYanagiさん、Sakuramachiさん、大変お世話になりました!
Bacchusさんのご縁で超10年振りの再会もありました。


トマス・キャンベル.png

天井の伊藤啓介さん
長い間、ありがとうございました!
たまには、メッセージをください、待ってます


posted by fumiko at 20:23| Comment(0) | 素敵な仲間 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年09月26日

環境への配慮では他を凌駕するチリのエミリアーナ、直近の取り組みはミミズ堆肥化プロジェクト

リマリ・ヴァレーのプレミアムワインMaycas
取材用画像.jpeg
アジア・ラテンアメリカ輸出担当マネージャーのニコラス・ラベさんを伴い、
チリのエミリアーナからチーフ・ワインメーカーのノエリア・オーツさんが来日

2023年にBrandaboutからの招待でチリを再訪しましたが、訪問リストにエミリアーナがなかったので、オーツさんとは再会ならず。今回9年ぶりにお目にかかることができました。


🍀


2013年と2017年に訪問したエミリアーナ
IMG_6261.JPG

IMG_6256.jpg
2017年9月撮影

ノエリアさんの初来日セミナーの記録
ワイナリーの沿革、有機農法等を記載しています。

チリは縦長の国です。エミリアーナは北部リマリから南部ビオビオまでで950㌶に及ぶ自社畑を所有、全ての畑はオーガニックの認証を取得済、栽培では各産地の動・植物の観察に力を注いでいます。余談ですが、現在、世界最大のビオディナミ生産者は南仏に1,263㌶の自社畑を有するジェラール・ベルトランで100%デメターの認証を取得しています。


🍀


【スペシャルインタビュー】
山梨大学ワイン科学研究センターで担当している「国際ワイン学」のテーマの1つが気候変動や環境への取り組みなので、業界最先端のエミリアーナからは学ぶこと多々あり。7月末の来日ではタイトな日程にも関わらず、ノエリアさんとニコラスさんが単独インタビューの時間を作ってくださいました。輸入元wine to styleの担当吉田佑紀さんにも感謝です!



有機農法、ビオディナミ農法、再生農法へのアプローチ
マイルストーン.png
画像提供:エミリアーナ

1998年に有機栽培&ビオディナミ農法を開始、2003年にはチリ初のオーガニックワイン(コヤム&ノヴァス)をリリース、2006年「ジー2003VT」がラテンアメリカ初のデメター(ビオディナミの認証)を取得、2009年ロス・ロブレスの自社畑がカーボンニュートラル認証を取得、2011年のフェアトレード認証取得で、住宅改善や災害時の労働者支援に資金提供する経済的プレミアムを保証。2019年にはヴィーガン協会から商標使用の認証を受け、2023年にはチリ初のROC(Regenerative Organic Certified/環境再生農業認証)を取得🎊、2024年には、環境や社会に対する透明性や企業責任を厳しく評価する国際認証B-Corp取得

2025年にはタイトルにあるように、ミミズを使った堆肥化に着手しました。来年からは国や大学と連携しつつ、それぞれの微生物が果たす役割を分析する研究を開始するとのこと。今後はより強固に、環境、コミュニティ(居住地域の相互の繋がり)、会社としてのスローガン(会社の活動理念)を前面に出していくと思います。

画像提供:エミリアーナ

2025年に英国の飲料専門誌ドリンクス・ビジネスが主催する「ドリンクス・ビジネス・グリーン・アワード」で『ベスト・オーガニック・イニシアチブ賞』を受賞しました。これはミミズを使って有機物を分解し堆肥化する環境に優しい手法です。

土壌中に生息するミミズは腐敗した有機物(生ごみ等)を餌にしながら廃棄物を天然肥料へと変えます。消化後、未消化物は排泄されますが、ミミズの糞にある薄い脂膜は2カ月ほどかけて分解され、栄養分が豊富な糞として土壌中に放出されて使用可能になります。これらの糞は土壌の肥沃度を高める上で重要な役割を果たし、表土に比べてカリウムが7倍、窒素が5倍多く含まれていることがわかっています。加えて、表土よりも保水性、通気性、多孔性に優れています。ミミズ堆肥化で得られた堆肥は乾燥させて販売できるので、ワイナリーの廃棄物を処理するだけでなく、コミニュティを巻き込んだサステナブルと環境再生農業を組み合わせたビジネスモデルとして評価されています。


🍀


カバークロップについて
IMG_6305.jpg
2017年9月撮影
エミリアーナの拠点はコルチャグア・ヴァレーにある標高550ⅿのロス・ロブレス
畑にはカバークロップ


インタビューで、「特定のカバークロップはあるのか。あるなら植物名とその働きについて知りたい」と質問してみました。帰国したノエリアさんから、以下の≪お返事≫が届きました。

我々はそれぞれが異なる役割を果たす3つの植物を使っています。イネ科は土壌構造を構築し雑草に打ち勝ち、アブラナ科は直根で圧密を破壊し土壌を浄化。マメ科は空気中の窒素を固定*して肥沃化します。ただ、どこでも同じ混合比ではありません。単一のぶどう畑内でも区画ごとに変えています。なぜなら、同じ問題を抱える土壌はないからです。冬に水分を貯め込む重粘土、機械によって荷重がかかった農道端、侵食で土壌を失っている砂質斜面、抑制が必要な区画は、4つの異なる問題であり、それぞれが3つの科の異なるバランスを必要とします。出発点は常に同じ問いからスタートしています~この土壌には何が必要なのか~と
*窒素固定 空気中に約80%存在する使いにくい窒素を、植物や生物が栄養として使えるアンモニアなどの形に変える現象

3つの科、それぞれの役割
イネ科(オート麦) 
繊維状の根系。細かい根の密なネットワークが土壌粒子を包み込み、それらを団粒に結合。オート麦はバイオマス(動植物から生まれた再生可能な生物資源)の大部分を供給し、直接的な競争を通じて雑草を抑制

アブラナ科(飼料用ダイコン=フォラージ・ラディッシュ) 
太い直根が圧密層を突き破り、水や根が通る通路を確保。急速に成長することと、単純な物理的競争を超えて作用するグルコシノレート(アブラナ科の植物に含まれる辛味・苦味成分)によって雑草を抑制。アブラナ科は、窒素固定の働きはせず、機械的かつ衛生的な役目を担う

マメ科(クローバー、ベッチ、バーメディック) 
根粒菌との共生により大気中の窒素を固定し、それを土壌中に利用可能な形で残す。種と生産されるバイオマスによって、ヘクタールあたり50から400kgの窒素に相当。バーメディックには独自の利点があり、その硬い種子は土壌中で数年間生存可能で、段階的に、カバークロップ自らが再播種(さいはしゅ=再度発芽)


🍀🍀🍀


気候変動の影響と微生物
世界的に温暖化の影響が出ている今、ノエリアさんの懸念事項は“熱波”です。昨年12月(北半球の春)にも発生しました。
影響がなかった頃は、ぶどうに陽を当てるため、キャノピー・マネージメントを施していましたが、現在では、直射日光に当たらないようにするため、葉を残し、陰を作る工夫をしています。カバークロップは畑に保水性を与え、土壌を太陽熱から守るので、地表と地中では15度の温度差があるとのこと。微生物の健全な生育には土壌内部を冷たくしておくことが大事なので、カバークロップは欠かせません。

2023年6月、チリの南部と中部で大豪雨が発生し中部では橋も決壊。ワイナリーがあるコルチャグア・ヴァレーの年間降雨量は600㎜ですが、6月は3日間で580㎜の雨が降りました。ところが、ぶどう畑は降り続いた雨でもダメ―ジは受けず、排水もスムーズだった由。片や、近隣の有機栽培やビオディナミでないワイナリーでは表土が濁流によって流れ出し畑が大欠損。「オーガニックやビオディナミのお陰で土壌中の微生物が水のコントロールをしてくれました。近隣のワイナリーでは、微生物が表土にいるので、豪雨によって表土が流されると微生物もすべて消滅してしまいます」とノエリアさん。有機栽培25年の底力を感じさせる出来事!



🍀🍀🍀


最新アイテムは清涼感のあるマイカス
リマリ.png
画像提供:エミリアーナ
2013年のチリ取材時、北部リマリ・ヴァレーを視察しました。砂漠、サボテン、石灰、海風という4つの単語をイメージしました。!

上の画像はエミリアーナのサイトに掲載されているリマリ・ヴァレーですが、ご覧のように砂漠のような景観とサボテンが印象的。エミリアーナはこの地で“高品質でオーガニックなプレミアムワインだけを造るプロジェクト”をスタートさせました。ワイン名はマイカス、白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールの2アイテムのみ


リマリの朝霧カマンチャカ
IMG_0528.jpeg
画像提供:エミリアーナ

リマリではCamanchaca(カマンチャカ)と呼ばれる朝の濃霧が畑を覆い、ぶどうを強い日差しから保護し、ゆっくりと熟させることができるので、高品質なワイン用ぶどうの栽培に適しています。年間の雨量は100∼150㎜、リマリ独自の海風、朝霧、石灰土壌、赤粘土が総合的に作用して特徴的なワインを生み出しています。


『雷庵』の鱧天ぷら × マイカス シャルドネ2022
IMG_8557.jpeg
225㍑の仏オーク、セメントのエッグタンク、2000㍑の仏フードルで熟成
マンダリンオレンジや白胡椒のアロマ、ストラクチュアのある味わい、塩味やミネラル
テロワールを反映した清涼感のある白ワイン
お塩を添えた天ぷらとナイスマリアージュ


IMG_8560.jpeg
ざる蕎麦に寄り添うピノ・ノワール
出汁の醤油や旨味と調和


マイカス ピノ・ノワール2021
IMG_8563.jpeg
225㍑と500㍑の仏オーク、2000㍑の仏フードルで熟成
チェリーやラズベリーのような赤系果実、ピンクペッパー、爽快で瑞瑞しい酸味
きめ細かなタンニン、余韻とともに残存する果実の凝縮感


IMG_8565.jpeg
当日、京都『和久傳』の笹に包んだ西湖(蓮粉を使った冷菓)を持参
和の世界を楽しんでもらいました。


記念画像23.jpg
ニコラスさんとは初対面、ノエリアさんとwine to styleのYukiさんと

チリ初のROC取得およびチリで唯一のROC取得ワイナリー『エミリアーナ』
ROCに関しては英国と米国が一番関心を示しているそうです!


【製品についての問い合わせ先】
wine to style
TEL:03-5413-8831


posted by fumiko at 22:23| Comment(0) | チリワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年09月18日

春季講座最終回の報告はマグナムで熟成させたシャンパーニュの余韻に浸りながら・・・

4月から9月までの春季講座、6回目は恒例のマグナムマンス
第3週&第4週合同の付加価値大のひとときになりました🥂

IMG_0213.jpeg
左から右に供出順
#1:ビルカール・サルモン ル・ブラン・ド・ブランGC
ベースヴィンテージ2019年77%、リザーヴワイン2018~2015で23%、醸造ステンレスタンク、デゴルジュマン2025年4~6月、ドザージュ3.9g/L、価格44,000円、輸入元JALUX

#2:ド・スーザ キュヴェ・デ・コダリー エクストラ・ブリュット ブラン・ド・ブランGC
ベースヴィンテージ2015年50%、リザーヴワインは1995年からのパーペチュアル50%、醸造は木樽発酵、デゴルジュマン2020年10月6日、ドザージュ5g/L、価格49,500円、輸入元wine to style

#3:フェッラーリ ペルレ・ミレジム2010
トレントの丘陵の最良の地に位置する南東~南西向きの自社畑ヴィッラ・マルゴン(標高700m)、醸造ステンレスタンク、デゴルジュマン2018年、ドザージュは10g/L程、価格33,00円、輸入元日欧商事

#4:フィリップ・ゴネ シグネチャー ブラン・ド・ブラン ブリュット
ベースヴィンテージ2019年70%、リザーヴワイン2年くらい遡ったVT30%、醸造ステンレスタンク、ドザージュ7g/L、定価28,600円、輸入元ヴィノラム 

#5:ピエール・モンキュイ キュヴェ・デロスGC ブリュット
ベースヴィンテージ2020年、醸造ステンレスタンク、デゴルジュマン2024年9月、ドザージュ7g/L、定価24,200円、輸入元横浜君嶋屋 

                   🥂

今季はコート・デ・ブラン、特にル・メニルを中心とするグラン・クリュにフォーカスしたので、4月にお出ししたド・スーザと7月のピエール・モンキュイは、同アイテムのマグナムボトルを用意しました。

多くの著名な醸造責任者は大容量サイズの中でも「マグナム」での熟成を好んでいます。ペリエ・ジュエの前セラーマスターだったエルヴェ・デシャンさんや後任のセブリーヌ・フレルソンさん、パイパ―で活躍していたレジス・カミュさん等、マグナムを推奨しています。「何故1,500ml?」という点については、以前メルシャンの安蔵光弘さんからいただいた説明を載せておきます。

IMG_0230.jpg


IMG_0222.jpeg
5アイテムをしっかり利き比べていただくために、5分程度の時間差で供出
冷蔵庫温度からグラス内の温度が上がった状態までの変化をチェック


3ステップ.png

第1ステップは春季で出した2アイテムの特徴を提示し、皆さんには4月と7月のテイスティングコメントを見返していただきながら、5アイテムの中から該当すると思うものを探してもらいました。キュヴェ・デ・コダリーは①木樽発酵、②リザーヴワインは1995年からのパーペチュアル。香りや味わいから、①や②に由来する要素を感じ取ることができるか・・・参加者の多くが2と3に注目していました。

キュヴェ・デ・コダリー
IMG_0218.jpeg

2がキュヴェ・デ・コダリー。樽由来の重厚感やふくらみがあり、焙煎香、白胡椒やフェンネル似のスパイス風味、アーモンドやナッツ、果実のコンフィ等、様々な要素が層になって広がり、コダリー(ワインを口に含んだ時に長さを測る単位、1コダリー=1秒)の名の通り、長い余韻。2023年に他界したエリック当主の遺作!

3はシャンパーニュではなく、イタリアのフェッラーリ。6月に醸造責任者のシリル・ブランさんが来日し、最新のワイナリー情報を話してくださったので、春季のマグナムマンスには是非とも出そうと決めていました。ただ、シリルさんは移籍後、今年で4回目の収穫を迎えたところなので、彼の手に依るヴィンテージものはまだリリースされていません。そこでマグナムマンス用に秀逸なヴィンテージ2010を選びました。

第1ステップのもう1つのテーマはル・メニル・シュル・オジェ探求。ピエール・モンキュイと拠点を同じくするフィリップ・ゴネを選択・比較しました。1から5まで試飲していくと、4と5に共通項あり。ミネラルと石灰を感じるビターな味わい。5のピエール・モンキュイには清涼感と酸味、深山の清流にも似たピュアさがあります。5をル・メニル・シュル・オジェ100%のピエール・モンキュイと推測してくださった方がたくさんいらっしゃいました。春季講座のポイントがル・メニルだったので、とても嬉しい結果でした!

🥂

第2ステップは第1ステップからの流れと消去法から4が候補。2026年はシャンパーニュ地方の記録で最も早い収穫だった由。前年と比べると約14日早まったようです。公示日一覧によるとトロワのモングーでは特例で8月8日に収穫を開始、コート・デ・ブランのル・メニル・シュル・オジェは8月14日でした。テイスティングで5から4に戻ると、太陽の恩恵を受けた黄色い果皮の果物を連想、5より若干骨太のイメージ。フィリップ・ゴネはオジェとル・メニル・シュル・オジェの他、モングーの畑のぶどうを使っているので、繊細さと熟度を備えたぶどうの魅力を併せ持つタイプ


公示日.png



GCの畑.png

第1ステップ、第2ステップを埋めた後、最後の第3ステップはヴィンテージによる違い、というより、本音はシャンパーニュvsスパークリングワインの利き分けです。コート・デ・ブランのル・メニル・シュル・オジェ、アヴィズ、シュイイ、クラマンの4GCのぶどうを使用しているビルカール・サルモンのブラン・ド・ブランの入荷が8月末に決まったので、この機会に私の企みを実行しました。The World's Most Admired Champagne Brands2026 で堂々4位のメゾンと、私の持論“シャンパーニュと拮抗するフェッラーリ”との比較試飲!

1のビルカール・サルモンは抜栓している段階から甘い果実香や花の香りが漂い、思わず笑顔に。トースティーなニュアンス、中盤からの酸味が余韻まで繋がり、低温で丁寧に発酵・醸造していることが理解できます。エレガントでシャンパーニュの王道を行くスタイル。ビルカール・サルモンの熟成期間は通常ボトルで6∼8年、マグナムで8~10年になります。


IMG_3632.jpg

前述の通り、3を2のド・スーザと推測した人が三分の1程いました。豊潤な香りと奥深い味わい、得も言われぬロースト風味。このローストのニュアンスを何人かが「樽由来」と判断したようですが、私は“アミノ・カルボニル反応”によるものだと思っています。フェッラーリのドザージュ量は10g/L程あります。昨今の低ドザージュタイプの発泡性ワインからアミノ・カルボニル反応によるブリュレのような香りや味わいが出ることは稀になっていますが、10g/L以上のドザージュ量が主流だった時代の、長い熟成を経た発泡性ワインからは感じ取ることができます。
多くの講座生を魅了していた3のフェッラーリ、ときめきを与えてくれて、ありがとうございました!

26名中、全問正解だったのは1名
2023年に家庭画報主催で開催した世界のスパークリングイベントでも成績優秀者だったYoshihashiさん、お見事でした🥰


IMG_0220.jpeg
ル・コントワールから取り寄せたコンテ・ビオ14ヵ月
チーズ愛好家のために造られたチーズで滑らかな食感とナッツ風味、美味


o○.。o○.。o○ .。o○.。o○.。


㊗️シャンパン&スパークリングワイン世界選手権で6年連続・通算9度目となる
「年間最優秀生産者」を受賞
インフォ1.jpg
シャンパ―ニュ講座の前日、フェッラーリ本社を介して、
日欧商事・広報から嬉しいニュースが届きました!


🥂🥂🥂


フェッラーリ シリル.png


コカール.png

酸化を嫌うシリルさんのこだわり
色の抽出や澱の残り具合
来日セミナーの報告はコチラで
フェッラーリの最新の取り組みをご覧ください。


o○.。o○.。o○ .。o○.。o○.。


フェッラーリバー.png
9月16日∼22日まで開催中のイタリア展とはフロアが異なります。

🥂

インフォ2.png
詳細はコチラをご覧くださいませ!


o○.。o○.。o○ .。o○.。o○.。


10月から秋季シャンパーニュ講座がスタートします。
シャンパーニュや世界のスパークリングワインの最新情報をお伝えしながら、
月に1度の癒し時間を楽しみたいと思っています。
引き続き、宜しくお願いいたします


2026年09月08日

没50年 孤高の画家「髙島野十郎」の月と蓮と蠟燭の炎に魅せられて!


髙島野十郎展@渋谷区立松濤美術館
IMG_9876.jpeg

IMG_9931.jpeg

展覧会最終日の6日は朝から雨降りだったので、それほど人出は多くないはず・・・な~んて思いながら美術館に到着すると、あらら、傘ロッカーは、すし詰め状態、空きスペースをひとつ見つけて安堵😌 それにしても予想以上の人気



🍀🍀🍀


髙島野十郎展を知ったのは、松濤美術館が投稿したX(7月2日付)でした。
彼が描く“月”🌕と蝋燭の“炎”🔥を見て、瞬時に魅せられました。 
東京での開催中に、リアル鑑賞できたことを嬉しく思っています。

IMG_9956.jpg
画像:松濤美術館Xより

福岡県久留米市の裕福な造り酒屋の五男坊として誕生した髙野野十郎(1890~1975)は独学で絵画の才能を開花させましたが、長兄宇朗の朋友だった同郷の画家青木繁(1882~1911)やフィンセント・ファン・ゴッホから刺激を受けています。特に欧州滞在後の作風にはゴッホの影響が色濃く出ていると感じました。


IMG_9937.jpeg

クリアファイルに使われていた≪月(油彩・画布)≫は1962年の作品
ポストカードの≪蝋燭(油彩・板)≫は1948年以降の作品
ともに福岡県立美術館の所蔵


蓮との出逢いはハッピー
松濤美術館公式サイト.jpg
画像:髙島野十郎公式サイト

髙島野十郎展のサイトには展示順の説明と代表的な作品が掲載されています。
会場内での撮影は禁止、最後のお部屋「エピローグ 野十郎とともに」だけはOKでした。


エピローグのコーナー
松濤美術館サイト.png
画像:松濤美術館のXより

会場は明るい昼のイメージ


IMG_9866.jpeg
9点の蝋燭

IMG_9869.jpeg

IMG_9871.jpeg

タバコは嫌い😣
でも、このパイプの煙の“たおやかさ”は別次元
シャーロック・ホームズを連想させる品格がありました!


【勝手なひとりごと】
高島野十郎展公式サイト.png
画像:松濤美術館のXより

大阪会場は2022年に開館した中之島美術館
野十郎が遺した「月ではなく闇を描きたかった・・・」のフレーズ
その思いを反映させた会場だったと推測しています。
ライティング効果を感じます。
ゆえに、浮かびあがるような≪月≫や≪炎≫が見えたはず


余談ながら
ガレ展.png

大好きなエミール・ガレ没後120年の展覧会
2024年@松濤美術館、2025年@サントリー美術館
前者は撮影禁止、後者はOK

会場での大きな違いはライティング!

サントリー美術館ではガレの作品の透明感、緻密さ、奥深さetc
絶妙なライティングが五感を刺激、
作品たちから様々な要素を感じ取ることができました。
マジ、圧巻!

次回、≪月≫と≪炎≫に逢えるなら、
ライティングが生かされた会場での開催を希望します。


🍀🍀🍀


雨の余韻を残しつつ
松濤美術館公式サイト2.jpg
画像:髙島野十郎公式サイトより

法隆寺塔を描いた作品は晴天と降雨の2点ありました。
雨バージョンは野十郎センスの極み、素晴らしい


IMG_9879.jpeg
雨模様の美術館
トレードマークの噴水
白い糸のように見える雨脚が「雨の法隆寺塔」とリンク


千葉を皮切りに、福岡、愛知、大阪、東京と巡回した展覧会は最終会場へ移動
9月20日∼12月6日まで栃木の宇都宮美術館で開催されます。

posted by fumiko at 23:55| Comment(0) | 伝統美、日本の美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年09月05日

熱波に見舞われたフランス ~2026年上半期のワイン動向を振り返りながらの一考察~

今日(9/5)は、仏ボルドーのメドックマラソン開催日です。

7月半ばに発生したボルドーの大規模な森林火災について心配していたのですが、現地からの情報では、ぶどう畑への直接の被害は免れた由、ぶどうへの煙害(スモークテイント)もなかったようなので、一安心です😌

フランスでは5月末から猛暑が続いていました。高気圧が停滞し、高温の空気を、一定のエリアに閉じ込めてしまうヒートドームが原因の熱波は多くの人命を奪いました。
猛暑と熱波の定義について、在仏日本商工会議所のHPに「猛暑は、国ではなく県単位で定められた基準値に依るもので、最低気温と最高気温が3日間以上、基準を超える状況を指し、熱波は全国標準気温(全国30ヵ所の測定所における最高気温と最低気温の平均値)が25.3度以上になる日が1日以上あり、その日を含んで23.4度以上になる日が3日以上続くことを指す」との記載がありました。
AFP通信(8月20日付)が発表した具体的な数字は、熱波は52日間、1947年の統計開始以来最多記録とのこと、死者は7,300人超を確認しています。生活面で温暖化、気候変動の影響を受けているのは明らかです。


IMG_3816.jpeg

9月最初のブログは、ビジネスフランス、Hopscotch Japan(旧SOPEXA)関連で取材した内容(Foodex、Prowine、Medoc-Bordeaux Event等)をプレイバックしながら、上半期をお浚(さら)いしてみます。長文で失礼します🙇


フランス南西部PLAIMONT
IMG_3792.jpeg

ベレー帽がトレードマークのPLAIMONTプレモンはフランス南西部にある生産者協同組合です。昨秋、同組合の担当役員と日本の業界関係者がブラインドテイスティングをして決定した日本限定版 Le Faîteは現在カーヴで瓶熟中。年末あるいは2027年春頃までには日本上陸する予定。どのような熟成をしたか、今からとても楽しみです。

先見の明があるプレモンの生産者。古くから保存してきた固有品種を保護するため、2002年にはフランス初の私設ぶどう品種施設を設け、プレ・フィロキセラ(悪名高きぶどう害虫フィロキセラ禍を免れた)畑には樹齢200年を超える歴史的記念物に登録された唯一のぶどうの木も現存。気候変動等の課題に対しては、固有品種を活かして対応しようするプレモンの姿勢を貫いています。

IMG_3788.jpeg

ブースで試飲したYURAはピレネー山脈のふもとの丘陵地帯ジュランソンの古語ユランソワに由来するネーミング。2023ヴィンテージはグロ・マンサン60%とプティ・マンサン40%のブレンド。ちなみに、プティ・マンサンの直系の子孫がグロ・マンサン。ボルドーでは2019年に気候変動に適応した新たな品種としてプティ・マンサンをAOC規定に導入しています。南国果実のマンゴーやパイナップル、オレンジの果皮、若干樽からの燻したニュアンス、酸味もあり、酒質が綺麗。プレモンはチェックしていただきたい産地です!


🍀🍀🍀


ボルドーの新ラインナップ
IMG_9788.jpeg

ボルドー4項目.jpg

4月にボルドーワイン委員会CIVBが主催する業界関係者とプレス向けセミナーが開催されたので、最新データとトレンドについて伺うことができました。大筋はコチラにまとめてありますが、注目点は2つ
1つ目は(黄色マーカー部分の)メドック・ブランです。メドックは著名な赤ワインの産地ですが、世界的な傾向として消費者の嗜好が赤より白に移行していることもあり、2026年春から、新カテゴリーとして導入されました。対象は2025年収穫分からで、ぶどう品種はソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル等の伝統品種に加え、一部、気候変動の適応品種も認可。木樽での熟成も義務付けられています。
2つの目は(黄色マーカー部分)クレマン・ド・ボルドー、過去10年間で約3倍増加、全体の4%を占めています。安定感があるので国内外で存在感を高めています。

UNI-MEDOC
IMG_5294.jpeg

ボルドーの生産者とネゴシアンの数は4,200、生産者協同組合は29
ユニ・メドックは1934年設立の協同組合で100名以上の栽培家が約1,200㌶のぶどう栽培をしています。Prowine会場に、CIVBセミナー時、ボルドー代表団の一員として参加していたユニ・メドックの輸出担当マリー・ドミニクさんがいらしたので、「メドック・ブランを試飲したいのですが」とお願いしたところ、「新規定に関しては、これから着手するので、まだまだ時間がかかります。我々は納得できるワインができて初めてリリースします」とのお返事でした。

IMG_5289.jpeg

マリー・ドミニクさんが薦めてくれたのは、“裸ん坊”という名のワイン😆 
「黒ぶどうのカベルネ・フランから造られたブラン・ド・ノワールですが、果皮を取るので、Tout nu=裸なんです」
大胆なネ―ミングのチャーミングなワイン、丁寧な造りを感じます。
誇れるメドック・ブランを造り出す心得えが伝わってきました。

IMG_5291.jpeg

裏ラベルにはumami表記
そのこころはUM=Uni-M....+AMI=Convivialite(陽気)


🍀🍀🍀


フランスの泡もの.png

Foodexでは協同組合ボルドー・ファミリーズのクレマン・ド・ボルドーと家族経営ミューレ・クロ・サン・ランドランのクレマン・ダルザスをテイスティング。前者は1934年、126の生産者が結集してボルドーのぶどう畑の中心にワイナリーを設立。現在は300ファミリーが参画。黒ぶどうのカベルネ・フランやメルロを使ったアイテムが人気。2024年には200万本を販売、同年ノン・アルにも着手しました。ボルドーの泡ものをけん引中です。
後者は17世紀からの歴史があり、20世紀に再構築。現在は12代目のヴェロニック&トーマス・ミューレさんが継承しています。ぶどう品種は自社畑のリースリングとシャルドネ各50%、クリーミーで筋が通ったミネラル



🍀🍀🍀


VINS de PROVENCE
フランス最大のロゼワイン産地
内訳はロゼ89%、白6%、赤5%
プロヴァンスロゼの収量は10万hl
IMG_9829.jpg
source:vins de provence/2025年データ


日本市場がターゲット
IMG_5297.jpeg

プロヴァンス委員会CIVPが注力しているのがサステナブルと気候変動対策、CO2排出削減の為にボトルの軽量化や再利用を実施しています。
最新動向としてはスパークリングワインのAOP追加を準備していることです。6月12日の生産者総会の記録に、新たな消費者、特にブラジル・韓国・日本市場に期待する発言もあるので、(今後登場する)発泡性のコート・ド・プロヴァンスには注目できます。


DOMAINE DES DIABLES & MiP
プロヴァンス2.png

サント・ヴィクトワールに位置するワイナリーで、2005年にギヨーム&ヴァージニア夫妻が創設。Prowineで来日していた輸出担当アレックス・ピションさん(画像前列中央)に、「なぜ、ワイナリー名にディアブル(悪魔)?」と質問したところ、「このエリアにはSaint(聖人)が多いから」とのお返事でした、なるほど!

IMG_5299.jpeg

ロゼ専用レンジとして誕生したドメーヌ初のブランド「Diables & Co」
カリテ・プリでカジュアルに楽しめるアイテム

IMG_5301.jpeg

フラッグシップブランドのMiPはMade in Provenceの意味
清々しさを感じさせる佇まい、瓶形もオリジナル

ロール(=ヴェルメンティーノ)100%、直接圧搾、低温発酵
若さを感じさせる緑色を帯びた淡イエロー、アロマ豊か
柑橘果実やエキゾチックフルーツの要素が魅力


MAISON SAINT AIX
IMG_5310.jpeg

ヴィノラムが輸入しているメゾン・サン・テクスはプロヴァンスの中心部でロゼと白を醸造、大容量ボトルも生産しています。白ワインはレストランからのリクエスト。スタイリッシュなデザインのサン・テクスは世界50ヵ国以上に輸出されています。


🍀🍀🍀


IMG_3813.jpeg
ビタモントは100%オーガニックジュース

IMG_3809.jpeg

砂糖不使用が売りの同社
私のお気に入りはアプリコット、ネクターはどこまでも濃い味わい😋
環境への配慮の1つがキャップ、アルミニウム製なのでリサイクル可能

IMG_8833.jpeg

2026年の春にデビューしたヴァージン・スプリッツはアルコール度数0%のオーガニック・カクテル(モクテル)
同時期に発売したペルー産生姜を使ったジンジャーエールは健康志向のフランス人好みの人気アイテムになっています。
ビタモントの製品はノン・アル志向やソバキューリアスの方には興味を持っていただけると思います。


今年前半はフランスからの来訪が多かったので、多様性を再認識しました。
取材した生産者すべてが、何らかの形で、環境への配慮や気候変動対策に取り組んでいることがわかりました。
このところ、日本を含め、世界各地で自然災害が多発していますが、元凶は温暖化だと思っています。悲鳴を上げている地球をいたわる心遣い、それには、ひとり、ひとりの努力が、大きな力になると信じています!

posted by fumiko at 10:23| Comment(0) | ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする